Jリーグは日本国内だけのものか?Jリーグクラブのグローバル戦略(北海道コンサドーレ札幌編)
Jリーグクラブは元々ホームタウンと呼ばれる、地域に根差し、地域貢献を目的としていました。
もちろんこれからもそうでしょう。
しかし、国内の市場は縮小し、ファン層の高齢化も続く日本でホームタウンだけで収益を伸ばし続けるのは厳しいと言えます。
そんな中果敢にグローバル戦略を取り、収益を伸ばし続けているクラブがあります。
それは北海道コンサドーレ札幌(以下コンサドーレ)です。
コンサドーレは北海道にホームタウンを持ち、2021年現在J1リーグに所属するチームです。
かつてはJ2リーグにいることも多かったですが、2017年からJ1リーグに定着すると上位に食い込むほどのチームになりました。
そして変わったのはチーム力だけではありません。
ビジネス面でも飛躍を遂げております。
2014年にはわずか10億円程の収益でしたが、2019年には36億円となり約3.6倍になりました。(*参考 北海道コンサドーレ札幌 決算公告より)
この劇的な成長には、コンサドーレのグローバル戦略が隠されていたのです。
コンサドーレのグローバル戦略、それはアジア有名選手の獲得です。
2013年:レ・コン・ビン(ベトナム)
2015年:イルファン(インドネシア)
2017年:チャナティップ(タイ)
2013年のレ・コン・ビン選手の獲得を皮切りに、コンサドーレは積極的にアジアで英雄と呼ばれるスター選手を獲得してきました。
スター選手を獲得してくることで、その国でのコンサドーレの認知度向上を図ろうとしたのです。
その為、当初は戦力的観点というより、ビジネス的な観点が強かったと言えます。レ・コン・ビン選手もイルファン選手も目立った活躍はできませんでした。
しかし、今ではチャナティップ選手がベストイレブンを獲得する程活躍し、貴重な戦力となっており、ビジネス・競技力の両側面で非常に重要な役割を果たしています。
ではチャナティップ選手を獲得したことで、どのような効果があったのでしょうか。
主に4点あると考えられます。
①タイでのチームの認知度アップ
②タイからのインバウンド需要獲得
③タイでのスポンサーの認知度アップ
④新たなスポンサーの獲得
まず①タイでのチームの認知度アップ。
かつて中田英寿さんがセリエAに移籍したことで、日本人がセリエAを観るようになったそうです。中田さんが移籍したペルージャの日本での認知度は非常に高まったのではないでしょうか。
そのようにタイの英雄と言われるチャナティップ選手がコンサドーレに移籍したことでタイでのコンサドーレの認知度は非常に上がりました。
続いて②タイからのインバウンド需要獲得。
タイでのコンサドーレの認知度が上がったことにより、当然試合を観に行こうとするタイ人は増えました。
そして試合だけではなく、札幌などを含めた北海道に来るタイ人が増えました。つまりインバウンド需要を獲得することができたのです。
3番目が③タイでのスポンサーの認知度アップです。
タイの人がチャナティップ選手を観るためにコンサドーレの試合を観るということはユニフォームのスポンサーを目にすることが増えるわけです。
例えばコンサドーレのメインスポンサーである石屋製菓の人気商品、白い恋人がタイで売れるようになったと言います。
石屋製菓のCMにもチャナティップ選手が出ている影響もあり、タイ国内での石屋製菓の知名度は抜群です。
このようにチームだけでなく、スポンサーに対しても効果があったのです。
最後が④新たなスポンサーの獲得です。
「ガリガリ君」でおなじみの赤城乳業はタイでの商品販促を目的にコンサドーレと「アジアプロモーションパートナー」を締結しました。
タイ国内での商品イメージキャラクターとしてチャナティップ選手を起用することで、同国での商品の認知度向上を目指しました。
これはスポーツの力で企業の海外進出を手助けした成功事例となっています。
いかがでしたでしょうか。
コンサドーレは早くからアジアの有名選手に目を付け、戦力向上だけでなく収益向上にも繋げてきたのでした。
そしてこれからもその挑戦は続くことでしょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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