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「充分ではない」の呪縛

人間は、生まれ落ちた瞬間から

「言葉の海」に放り投げられる。

その「言葉の海」の中では、

評価、批判、意味付け、良し悪し、

過不足、損得、敵味方、有害無害、

義務、比較、不信

などの価値観が渦巻いている。


自分が何かを発しようものなら、

その海の中で

あらゆる価値観がうごめき、

とたんに

「あなたは○○な人」

と枠組みを決められる。


そんな風にして、

小さなころから

何千、何万と

「○○はこうだ」

「△△はそうに違いない」

「◇◇が××だからだめなんだ」

言葉の海の中に溶け込んでいる

価値観を知らず知らずのうちに受け継ぎ、

それに倣うように

様々なことに

意味を付けてきた。


そんな価値観のうちで代表的なものは、

おそらく誰もが捉えられている、

「そのままでは不十分だ」

というもの。


「そのままでは不十分だ」

という価値観は、

どんな自覚症状があるかというと、

たとえば、

サボることに対して罪悪感を感じたり、

誰かが自分を責める言葉をずっとささやいてくるような

不快感を覚えたりする。


周りには誰もいないはずなのに、

自分の頭の中では、

常に常に

誰かの言葉が再生され続けていて、

そのノイズは

一瞬たりとも

消えることがない。


そして

人生の選択は

自分の意志で決めたように見えるが、

実はそのほとんどが

頭の中の誰かの声によって

選ばされたものなのだ。


人間は

目には見えない

強力な

言葉の海の呪縛に支配されている。


そこから逃れるには、

自分がその海の中を泳いでいるのだという

客観的な視点を持つようにすることと、


誰かの声は

しょせん幻なのだと

我に返ることだ。

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