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本当は望んでないことを追いかけていた

私は

美容師として

海外就職することに

長いこと憧れていた。


開放的なイメージ、

英語が話せるカッコよさ、

他の人が真似できない生き方。


そんなステータスを手に入れたかった。


実際、

夢を叶えるために

行動もした。


語学の習得に向けて努力したり、

技術の高い店に見習いとして働かせてもらったり、

メンタルトレーニングのプログラムに参加したり。


そして

海外からの求人を見つけては

その都度応募し、

面接を受け、

チャンスをものにしようとしてきた。


しかし、

なぜかいつも機会を逃してきた。


寸前のところで

ライバルに先を越されたり、

渡航前の技術チェックで

担当者とぶつかって

内定を取り消されたり、

ビザの審査で落ちたり、

肝心なところで

車で事故を起こしてしまい、

それがきっかけで海外には不適切だと判断されたり。


とにかく無我夢中で、

何よりも夢を最優先して、

自分のできることは捧げてきた。


自分が出せる最大限の勇気と努力。

この二つを夢の実現のために重ねてきた。


しかし、

いつもいつも

望みは叶えられなかった。


それでも

次の機会を狙って

何度も挑戦した。


しかし、

これでダメならあきらめる、

という機会でも、

結局その夢を実現することはできなかった。


周りの人にも、

いつか自分は海外で活躍すると

言いふらし、

尊敬を集めたがっていたが、

そのぶん

彼らに合わせる顔が無くなった。


最後に挑んだチャンスは、

アメリカでの就職。


面接に受かり、

渡米へ向けて

まずは福岡県にある支店で研修を受けるよう指示された。


私は二つ返事で

地元から遠く離れた福岡へ移住した。


結論は先ほど書いた通り、

ダメだったわけだが、


そこで

私は

完全にあきらめた。



今まで何よりも大事に思っていたことを


とうとうあきらめた。


夢半ばであきらめた。


私の人生は空っぽになった。


大口叩いて出てきた地元には

帰りたくなかった。


夢を諦めて

空虚な時間を過ごしていると、

ふと、

支えてくれている人の存在に気付いた。


誰よりも私のことを

心配し、応援し、支えてくれる人。


夢を諦めて

しばらくしてから、

その人と一緒に暮らすようになった。


何でもないけど

今まで味わったことの無い幸せを感じた。



自分に足りないものを

カッコいいステータスをつけ足すことで

補いたかっただけなのだと

とうとう気づいたのだ。


なあんだ。

必死に追いかけていたものは

本当は望んでなんかいなかったのだ。







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