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登壇を提案する準備の実例

たまたま会う機会があった人の話がなかなか面白く、登壇をお願いしようと思ったので、どんな風に考えるかを書いてみます。

自分を相手の記憶に残しておく

登壇を打診しようと思っても、必ずしもすぐにできる訳ではありません。また、何の前置きもなく突然お願い事をされても、ちょっと面食らうか不快に思われるでしょう。会った時に自然な流れで「講座作りをしていて、今日の話はとても興味深かったので、ぜひ企画を提案させて下さい。」と頭出しをしておくだけで、受けてくれる確率は高まるでしょう。

より上級者になれば、その場で以下まで口頭で1分もかけず話して、その場で内諾を得るでしょう。

・仮タイトル
・想定参加者
・コンテンツとその特徴出し
・人数x参加費→登壇条件
・登壇を通じて登壇者が得られるベネフィットの仮説と根拠

これは別に正解である必要はなく、相手のニーズを把握するために、具体的な仮案を当てる意図もあります。「登壇して下さい」への返答はYesかNoになりますが、「こういう内容だとどうでしょう」なら「ここはこう」という反応がある場合もあります。もちろん、にべもないこともありますが、一喜一憂する必要もありません。

登壇動機を把握する

相手の立場や状況、直近の活動、記事やSNSなどの言動で、登壇動機の当てをつけます。分かりやすいのは本を出した時で、私も最近自分で本を出したので気持ちがよく分かりますが、出版プロモーションのために露出を増やしたいという動機もあります。また、本を書いてすでにコンテンツはあり、負荷も高くないので、登壇しやすいのです。この場合、PRができるとか、認知や売りにつながる要素が乏しいと断られるので、それがあると言える要素を集めておくといいでしょう。

コンサルティングのようなビジネスは知名度が重要で、また、人によりレベルにばらつきがあり、人となりや言っていることから力量を把握したいというクライアント側のニーズもあり、セミナーのような場を求めているかもしれません。その場合、主催者側のリーチできる層が登壇者のターゲットと近い層であることを示す必要があるでしょう。

スタートアップの経営者や新規事業の責任者であれば、自分が今立ち上げている会社や事業の成功につながることをしたいと思うでしょう。単なるサラリーマンであっても、将来的に独立や起業を考えているかもしれません。人や企業とのつながりを求めているなら、登壇者という立場を使えるようにパネルを組むこともできます。近いうちに本を出したいのでまずは人前で話しておきたいのかもしれません。

大企業の会長やエグジットした経営者などは、お金のためではなく、後進のために役立ちたい、メッセージを伝えたいなどの社会貢献的な動機で話すことも多いです。

言動などを調査して推測したり、前に述べたように、動機を想定した軽い打診をしてみると、その反応や返答から、動機がわかるかもしれません。

また、動機はタイミングによっても変わります。例えば本を出すタイミング、新規事業を立ち上げたタイミングなど、外に露出したいタイミングを捉えられるかどうかでも確率は変わるでしょう。

キャラクターを把握する

手短で機能的なコミュニケーションを好む人、判断に必要な情報が全て揃った提案を好む人、関係ができているかどうかで提案の可否や優先順位を変える人、熱い気持ちに反応しやすい人など、人には色々なタイプがおり、それに応じて提案文面の構成、内容、分量や、送信手段を変える必要があるでしょう。

過去の例でも、メッセンジャーでの簡単なやりとりでOKをもらった有名人もいる一方、秘書や広報を経由することを想定して、スタッフ用の検討材料まで書き込んでお願いしたこともあります。これが逆になると、片や「冗長すぎ」となり、もう一方は「情報がなさすぎる、無礼」となったかもしれません。

交渉材料を編集する

相手が求めるものを推測したら、それがあると相手が判断する根拠を揃えられるだけ揃えます。もちろん一々新規にはできないので、自分の主催する場の過去の客層や登壇者、メディアなどとの関係性などに落ち着くのが現実的なところでしょう。

それらは立ち上げの時点では何もなく、何もないから登壇が実現しにくいという「鶏と卵」状態に陥る可能性はあります。しかし、少なからぬ人が明確なベネフィットの担保がなくてもOKしてくれますし、企画の本気度や出来が交渉材料になる人もいます。要は相手のタイプを見極め、少ない中でも自分の材料を洗い出すことです。

今はないが将来材料にしたい、あるいはすべき要素が見えてくれば、その構築に向けてアクションすることも大事でしょう。事業開発部門のマネージャークラスへのリーチを求める登壇者を口説きたいなら、そういった層が集まるような場に行って関係を構築し、その人たちが行きたがりそうな企画案を打診してみて、その反応を「顧客の声」として、交渉するという手もあります。

驚きを仕込む(企画を作っておく)

大抵の登壇者は色々な人からアプローチを受けているので、条件、知名度やブランドの押し上げ効果、想定される客層の質・人数や関係性の質といったことを勘案して、登壇するかどうかを決めます。

大企業などのブランドもなく、予算も多くは出せず、飛び抜けた客層がいるとは言えない中で、あっと驚く違いを見せるには、今の自分のもつ材料で何ができるのか色々考えると、ひょっとすると提案が通るかもしれません。

私がよくやるのは、会う前から講座の案内文を作っておくことです。上に述べた相手の今のニーズと主たるコンテンツをベースに、具体的なタイトル、案内文、略歴、ターゲットと内容まで書いておくと、本気度を感じてもらうことができます。それで受けるかどうかは相手のタイプ次第ですが、無駄にダラダラとした依頼文を書いてなんどもお願いするよりは、「こんなものを企画してみましたがどうでしょう」と一回で判断してもらう方が、確率は良いと思います。

一回断られても、外に発信したいタイミングになった時にOKしてくれることもあります。

依頼する

依頼は上に述べたとおり、相手のタイプや立場に合わせて書きます。最も丁寧に書くときでも、要素としては概ね以下の通りでしょう。

・自己紹介:何者か、経緯、接点など
・依頼事項:回答してもらいたい最重要のこと、期限
・相手のベネフィット
・相手の負荷
・条件や制約
・主催者:氏素性、動機
・その他相手の気にしそうなこと

これを、最適な通信手段を選んで提案します。公式で分量が多いならメールが無難でしょう。立場のある人で複数の人々に転送するならメールの方がやりやすいというのもあります。端的な内容で即決ができる人ならメッセンジャーの方を好む可能性もあります。

まとめ

企画を打診するときは、相手の動機や好みを把握し、それに合わせて価値を設計して、伝わるような手段で届ける、という視点で整理すると、臆することなく良い提案ができるでしょう。

ぜひ気軽に試してみてください。

オンラインセミナー企画の方法論

ここで述べたような様々な考え方やTipsを書いたので、よろしければご覧ください。







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