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オンラインセミナーはワンオペで始めるべき理由

オンラインセミナーも日常化してだいぶ経ちました。とはいえ、これから自分でやるという人もまだまだいるでしょう。

そんな人の「考えるヒント」として、まずは一人で始めよう、というお話をしてみます。

イベントやコミュニティの継続性を妨げるもの

そもそもなぜ継続が大事かというと、どんなにプロであろうとも狙って必ず当てることはできないからです。

よって、仮説検証とチューニングを繰り返し、ターゲットのニーズにコンテンツが刺さるように仕上げていき、安定した確率で成果が出るようにする必要があります。

さて、継続を妨げる主な要因は下記となります。

1)赤字
2)調整(心理負荷)
3)工数(物理負荷)

赤字なら「止めよう」となる

投資対効果で考えると、10%の確率で100万円のリターンが出るものに投資できるのは10万円より少なくなります。しかも、これからやるということは、効果(ROI)など見積れません。

将来的な効果が分からないなら、単体収支で見るしかなくなります。参加費なら単価x人数ですが、最初は集客力もないでしょうし、実績のないものになかなか人は対価を払わないでしょう。そんなものにスポンサーなどはつかないので参加費以外の収入も望めません。そもそもプロモーション目的なら、参加費自体取れないかもしれません。

お財布を預かる人の視点に立てば、そんなものはそもそもやらないか、試してみても効果が見込めないならすぐ止めようという判断になるでしょう。

絶対赤字にならない方法

理屈上「固定費ゼロ」なら参加者ゼロでも赤字にはなりません。もちろん、関係する人の人件費や機会損失など、厳密なことを言えば実質的には赤字ですが、キャッシュアウトがなければ、少しくらいは目をつぶってくれるでしょう。

さて、一般的なイベントの主な固定費は以下になります。

・会場費
・講師謝礼
・スタッフ人件費

オンラインであれば会場代はかかりません。自社講師なら謝礼は不要。ワンオペなら人件費もかかりません。仮にスタッフがいても社内の人員で賄えばキャッシュアウトはありません。

費用対効果も見えず、単体収支の成立もおぼつかないなら、固定費を極限まで絞るべきで、自社講師のワンオペ・オンラインセミナーは理にかなっています。

人との調整で心が折れる

セミナーを成立させるときに最も大変なのは人との調整です。登壇者、決裁者、スポンサー、会場提供者、スタッフ、委託先などなど、関係者が1人増えるごとに、調整は乗数的に複雑さを増していきます。

他人はコントロールできません。コントロールできないことが増えれば、ストレスが増えます。数式で表せば、n人いる場合のやり取りのパターンは「n(n-1)」通りで、2人なら2*1=2通り、3人なら3*2=6通り、4人なら4*3=12通りと、人が増えるほど複雑さが加速度的に増します。調整する相手が増えるほど、あっちを立てるとこっちが立たず、という要素が増え、思い通りにならないことも増えるのです。なので最初は調整に関わる人を減らしたほうがいいのです。

関係者を極限まで減らすと以下のようになるでしょう。

・自分や自部門の講師が登壇
・一切キャッシュアウトしない
・スポンサーは取らない
・オンラインか自前の会場でやる
・スタッフや外部委託は使わない

こうすれば、自分一人の判断で実施できてしまいますし、止めろと言われる可能性も減らしてくれます。

「誰でもできる化」で自分も楽になる

もう一つの心を折るものが過負荷です。セミナーが本業という人はあまりいないでしょう。営業やマーケティングのメインの仕事があり、それらを補完する施策として、オンラインセミナーをやるのだと思います。

いわば本業の隙間の時間を使うのであり、その限られた時間の中でこなさねばなりません。その負荷が稼働可能時間を上回り、本来の仕事を圧迫するなら、止めようと思うでしょう。

そうならないためには効率化を極めるしかありません。「一人で全て回す」観点でプロセスを根本から見直すと、大幅に改善点が見つかります。

無駄の大半は「不要なことをやる」ことにあります。そして、空いている人手があるとつい無駄な仕事を割り当ててしまいます。ワンオペはそれを強制的に防ぎます。

効率化する際の観点は以下です。

・やめる
・誰でも(訓練せず)できる化
→テンプレート化、マニュアル化
・省力化、自動化

まずはやらないことです。工数やお金の掛かるすべてのことに「目的や目指すゴールの達成、参加者価値にどの程度寄与するか」を逐一考え、見合わないものはやめます。

誰でもできる化とは、私はよく喩えて「たまたま目の前を通った、社会人経験のない大学生に30秒説明して、期待通りの成果が得られ、問題も起こらないようにすること」と言います。

オフラインイベントではありますが、分かりやすい例を挙げると、私は受付、出欠管理、収支計算を「誰でもできる化」しました。Peatixからダウンロードした参加者のCSVをGoogleスプレッドシートのテンプレートにコピペし、ふりがな列を「あいうえお順」で並べると名簿が1分で完成します。受付は名前を聞いて出欠欄に「1」を入れるだけ。出欠や収支は自動計算されるように式が組んであるので、最後の参加者の受付をした時点で出欠と収支がほぼ出来上がっています。オンラインファイルに直接打ち込むので転記も必要ありません。事前決済が前提ですが、領収書も「Peatixよりダウンロード下さい」の一言で済みます。

そうすると「その日たまたま早めに来ていた人」にその場で受付をお願いし、その1人だけで、参加者が100人でも滞ることなく受付ができます。

全てにおいてそのようにすれば、自分でも楽にできますし、特定の誰かに頼る必要なく、気軽に人に頼めます。

「同時にできるのは1タスク」

1人の人間が同時にできることは原則1つです。登壇しながら受付はできません。話をしながらPCやスマホをいじるくらいはできそうですが、大事なことをしているときは失敗を招くリスクがあります。

1つの時間軸に1つのことしかできない制約条件があることで、より多くの「改善」のアイデアが強制的に出されます。

・重要でない方を止める
・改めて自動化の知恵を絞る
・乾いた雑巾を絞るような改善
(簡素化、テンプレ&マニュアル化)
・自分がやらずに済むセルフ化
・前始末:予防、事前処理
・事後対応

そこまで簡単にし尽くしたものなら更に「誰でもできる」ものに近づいているはずです。

本当は複数人必要

実はオンラインイベントを一人で運営するのは大変です。配信を管理する人、講師のアシスタントがいないと、講師は話や参加者とのディスカッションに集中できません。

具体的な役割分担は、やや本格的ですが、以下のガイドラインが参考になると思います。

敢えてワンオペを勧める理由

それは初心者が、無駄なものを削ぎ落とせず、本質以外に精神、手数、お金を使わないためです。

仮説検証段階なら、本質ではないことに手間暇をかける前に、プロトタイピングをして、ターゲットを理解し、コンテンツを洗練させ、オペレーションをこなれさせるべきです。

そうなる前に、無駄に人をアサインし、目的不明のプロセスに工数を投じないために、敢えてワンオペにするのです。そうしてコンテンツや方法論を確立させてから本格展開した方が、結果として安定的に効果を出せるようになります。

トライアルなら、本当の見込顧客を沢山呼ぶのはリスクが高いので、関係値のある少数の人に付き合ってもらいましょう。

そう思えば気楽ではないでしょうか。まずは試してみてください。

オンラインイベントの知見を共有するグループ

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ご紹介:オンラインセミナーの方法論をまとめた書籍

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