【読書メモ】知らないと損する年金の真実 - 2022年「新年金制度」対応
経済コラムニストの大江秀樹氏が、公的年金にまつわる事実やエビデンスをもとに「年金の本質」をまとめた一冊。
大学教授や経済評論家、新聞の論説委員といった知的水準の高い人の中にも、年金に関して間違った理解をしている人が多いです。
本書では、日本人の9割がしている年金の勘違いを指摘する「年金版ファクトフルネス」です。
【おススメの読者】
「年金って破綻するよね」「年金はもらえない」と思っている方
老後の資金について、漠然と不安を感じている方
年金についてちゃんと知りたいと思っている方
【本書の概要】
2021年に出版された270ページ程度の書籍です。
「年金財政は赤字」「若い世代は払うだけ損」「政府は年金を無駄遣いしている」「未納者が多いからそのうち破綻する」などは誤解であり、すべて間違っています。
本書はこうした公的年金への誤解を解き、「老後のため」と投資などに手を出して痛い目に遭うことを未然に防ぐための一冊です。
著者は、本書の【おわりに】中で、
と記載しています。
【本書の「なるほど!」ポイント】
自分への備忘録として、本書を要約しています(原文ママではありません。興味がある方は購入をお勧めします)
<なるほどポイント>
公的年金制度は、万全とまでは言えまいまでも健全である。制度の改革や修正を繰り返しながら良くなっている
年金不安を煽る3悪人は「マスコミ」「金融機関」「野党」。自分達の利益を最大化することを目的に行動しているだけなので、責めても仕方ない。正しい知識を持って、彼らの思惑に惑わされないことが大事
年金の本質は(1)貯蓄ではなく保険、(2)共助、(3)将来のモノやサービスに対する請求権
貯蓄は「将来の楽しみのために自分で蓄えるもの」、保険は「将来の不幸のためにみんなで備えるもの」。保険に入るのは、何歳まで長生きしても金銭的な補償が得られる「安心感」。損得で考えても意味がない
年金は賦課方式で運用している。現役で働いている人の給料から一定割合を保険料として徴収し、その保険料を年金として支給する仕組み。賃金や物価の上昇にも対応できるメリットがある
年金制度のターニングポイントは「マクロ経済スライド」の導入。厚生年金の保険料率を18.3%に固定し、向こう100年間に入ってくる収入合計額と給付額を一致するように一人当たりの給付水準を調整する仕組み
年金財政は190兆円の貯金(年金積立金)があり、他の先進国よりも潤沢。20年間の累積収益額は100兆円、年率3.7%の収益率。マスコミはマイナスのときしか取り上げない
若い人でも支払った厚生年金の2倍、国民年金の1.5倍はもらえる。高齢者よりも少ないのは事実だが、70歳以上の人たちは、親の面倒を自分たちのお金で払い(親は年金をもらっていない)、かつ年金保険料も払う二重の負担をしていたので、世代間不公平とは言えない
1人の就業者が、何人の非就業者を支えているかをみると、2020年は1人が0.89人を支えており、1990年の0.96人よりも改善している。今後20年後もほとんど変わらない。65歳以上と65歳未満の人口比で見るからおかしくなる
公的年金は「できるだけ多くの人が制度に参加し、その制度を支えること」。高齢者や女性の就業促進だけでなく、厚生年金の適用を拡大することが大事
2020年の制度改定で、年金の受給開始年齢の選択の幅が広がった。受給開始を遅くすると支給額が増える。75歳の受給開始者は、65歳の人よりも84%増える
老後のお金は「公的年金」「退職金・企業年金(iDeCoも含む)」「貯蓄・投資」の3重構造。貯蓄・投資などの自助努力による資産形成は重要だが、順番を間違えてはいけない
多くの金融機関は「年金なんて当てにならないから、投資信託を買いましょう」とか「保険に入りましょう」と言ってくるが、それを鵜呑みにして変な金融商品を買うほうがよっぽど老後は不安になる
【終わりに 】
この本を読んだときに感じたのは「合成の誤謬は怖い」ということでした。
マスコミは不安を煽るほうが視聴率を取れる、金融機関は不安を煽るほうが金融商品が売れる、野党は不安を煽るほうが政権交代に近づくなど、個々は目的に沿って動いているが、全体でみると意図しない結果になっている。
また、短期的な視点ではなく、過去を含めた中長期的な視点で見ないと正しい判断はできないです。
今後の人生・仕事において、以下を意識して実践しようと思います。
本記事では、大江秀樹氏の【知らないと損する年金の真実】を取り上げました。
このnoteでは、若手ビジネスマンのスキルアップに関する情報を定期的に発信していきます。
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