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【読書メモ】顧客ポートフォリオでお客様の心をつかめ!【社長が知らない 秘密の仕組み 業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」】

窮地にあった「やずや」を救った西野博道氏が考案した「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」をまとめた一冊。

顧客と取引できる業種ならば、顧客単価が高い/低い、従業員数が多い/少ないに関わらず適用できる理論です。

「既存顧客を育成するアプローチ」が理解できるビジネスマン必読書

【おススメの読者】

  • 新規顧客の獲得に注力しているが、売上が伸びずに困っている方

  • RFM分析やABC分析などで、既存顧客を分析しているが、成果が上がらず困っている方

  • 商品・サービスに自信があるのに、既存顧客の流出が止まらず困っている方

【本書の概要】

2008年に出版された160ページ程度の書籍です。

2019年には9版が重版されている「既存顧客を維持する(流出させない)ための顧客分析・アプローチが学べる名著」です。

ビジネスを拡大させるには「新規顧客の獲得」「既存客の維持」の両方が不可欠です。その中で、新規顧客の獲得は難しく、既存顧客の維持に力をいれる企業は多いと思います。

ただし、既存顧客の分析として有名な「RFM分析」「ABC分析」は、短期的に利益貢献してくれる顧客(優良顧客)に目がいきがちで、それ以外の顧客が流出し、顧客の総数が減少するリスクがあると、本書では指摘しています。

2008年に出版された本書ですが、現在でも役立つ知見が多く詰まっています。

【本書の「なるほど!」ポイント】

自分への備忘録として、本書を要約しています(原文ママではありません。興味がある方は購入をお勧めします)

<顧客の分類方法>

  • 顧客ポートフォリオ・マネジメント理論(以下CPM)の目的は、「継続的な利益をもたらしてくれる顧客層を知る」「各顧客に対して適切なアプローチをする」「離れてしまった顧客を呼び戻す」の3つ

  • CPMでは、顧客を「初回客」「よちよち客」「流行客」「コツコツ客」「優良客」の5つに分類する。加えて、離脱期間に応じて「現役客」「離脱客」に分けることで、最大10つの顧客に分かれる

  • 顧客の分類基準は、「在籍期間(最終購入日-初回購入日)」「離脱期間(現在-最終購入日)」「購入金額」の3つから構成される

  • 購入金額の7万円は、1回当りの客単価が1万円前後を想定した場合の金額。1回当りの平均購買単価の約7倍で、切りのいい金額に設定する。在籍期間・離脱期間は、どの業種でも一律に設定する

  • CPMをゲームに例えると、初回客100人でスタートして、210日間(約7カ月)で、何人を優良客にゴールさせられたかを競い合う双六のようなもの

  • 優良現役客が20%の構成比になると経営が安定する(80 : 20の法則)。また、優良現役客が20%になると、経営利益も20%になることが多い

  • 理想的な顧客の流れは、「初回客」→「よちよち客」→「コツコツ客」→「優良客」。流行客はキャンペーンに反応する層であるため、他社に流出しやすい

  • 地味で目立たない「コツコツ客」こそ宝の山。RFM分析は、優良客を探し当てる分析であり、「コツコツ客」を見落としてしまう。その結果、優良客への最短距離にいるコツコツ客が流出しても気づかない

  • LTVは売上を顧客数で割るため、顧客が離脱するほどLTVが上がる。その結果、「1人当たりの売上が上がった=自社の業績が良くなった」と勘違いしてしまう。これは優良客ばかりの状態であり、そのうち、顧客の分母が少なくなったことに気づく

  • CPMを、継続期間(横軸)、収益性(縦軸)、顧客層の人数(バブルの大きさ)で表現したバブルチャートで10の顧客層をプロットする。毎月の動きを追跡することで「お客様から見た自社の姿(健康状態)」を把握することができる

<顧客へのアプローチ方法>

  • 顧客ポートフォリオの状態を見ながら適切にフォローすることで、顧客は喜んで商品を購入してくれる

  • 顧客フォローの最優先順位は「優良離脱客」。消費者は、過去取ってきた行動と同じような行動を今度も取り続ける傾向がある。優良離脱客が現役客に復帰したときは、優良現役客の行動に戻る可能性が高い

  • 顧客を「初回顧客、よちよち客」と「コツコツ客、優良客」に分類し、前者には「商品情報」、後者には「会社情報」を与える。加えて、優良客には「特別感」を与えることが大事

  • クロスセリングのタイミングは「コツコツ客」以降。それ以前に行っても、お客様は混乱し流出するだけ

  • 「初回現役客」から「初回離脱客」になると、いくらアプローチしても、自社に戻ってくる可能性はほぼない。初回客は90日間のうちに、合計10回のアプローチを行う。初回客はコミュニケーションをとるほど、リピート客になる確率が高まる

  • 100人の「初回客」のうち、50人以上を「よちよち客」に育てる(推移率50%)ことが最も大事。この谷を越えられるかどうかで、企業の生き残りが決まると言っても過言ではない

  • 健康食品の企業の場合、「お礼」「食べ方」「よくある質問」「体験談」「成分」「続ける理由」など。毎回新しいものを考える必要はなく、焼きまわしやアレンジでもよい

  • 引越業、住宅販売業などの購入頻度が低い業種でも、1000円で関連購入を促し、在籍期間を延ばすことが大事。リピートを前提としない企業でも、コミュニケーションを取り続けることで、「再び指名される会社」になれる

【終わりに 】

この本を読んだときに感じたのは「離脱顧客へのアプローチが企業成長に不可欠である」ということでした。

これまでのデータ分析では「優良顧客」「一般顧客」「未利用顧客」に目が行くことが多く、「離脱顧客」は優先度が低いことがありました。

書籍でも取り上げられている「消費者は、過去取ってきた行動と同じような行動を今度も取り続けがちである。優良離脱客が現役客に復帰したときは、優良現役客の行動に戻る可能性が高い」は目から鱗でした。

今後の仕事において、以下を意識して実践しようと思います。

・既存顧客を分析するときは、1人1人の「在籍期間」「離脱期間」「購入金額」を意識する
・売上を上げるために「初回現役客」「優良離脱客」といった両端の顧客層へのアプローチを意識する
・RFM分析(短期視点)とCPM(中長期視点)を意識して、顧客分析を実施することで、成長機会を見逃さない

本記事では、橋本陽輔氏の【社長が知らない 秘密の仕組み 業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」】を取り上げました。

また、読書のための専用端末「Kindle Paperwhite」もご紹介。

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このnoteでは、若手ビジネスマンのスキルアップに関する情報を定期的に発信していきます。

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