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【読書メモ】一流のマーケターが実践する原則をインストール。【世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則】

著者の足立光氏は、P&G、戦略コンサルティング会社、ヘンケル、ワールド、マクドナルド、ファミリーマートなどで経営とマーケティングのスペシャリストとして活躍されている方です。

30年に及ぶ最前線の経験を通じて、足立氏は「どんなに商材や業界が違っても、そこで考えるべき「商売の原則」は同じだということに気がつきました」と断言しています。

その原則を一冊に凝縮した本です。

【おススメの読者】

  • 一流のマーケターが実践するマーケティングの原則を知りたい方

  • マーケティングの全体像を理解し、大局観をもって判断できるようになりたいリーダー層

  • 自社商品・サービスの売上をあげたいと思っているビジネスマン

【本書の概要】

2020年に出版された370ページ程度の書籍です。

著者の足立光氏 、土合朋宏氏は、2004年に「マーケティングゲーム―世界的優良企業に学ぶ勝つための原則」を翻訳されています。

この書籍もマーケティングの名著ですが、アメリカ企業の事例が多く、日本のビジネスマンにはイメージが付きにくい部分もありました。

本書は、両氏の実務経験をもとに、書き上げたマーケティングに関わる人には必読書となっています。

【本書の「なるほど!」ポイント】

自分への備忘録として、本書を要約しています(原文ママではありません。興味がある方は購入をお勧めします)

<マーケティング戦略>

  • コンセプトこそマーケティング活動のすべての中心。コミュニケーションが複雑になっている現代では「コンセプト」の重要性が増している。

  • コンセプトは「ターゲット(Audience)」「消費者便益(Benefit)」「カテゴリー(Category)」「差別点(Point of Difference)」「トンマナ(Emotional Character)」で考える

  • 自社の提供価値を明確に規定し、社員と共有できていると、意思決定の判断基準がブレない。ブランド価値を長く維持するには「これはやる、これはやらない」といった判断基準の明確化が大事

  • 使用頻度の高いセグメントにフォーカスすると、マニアックなものになり、縮小均衡になる。構成比が大きい潜在顧客への施策も同時に行い、顧客基盤を拡大しないとビジネスは拡大しない

  • 最初に理解すべきは、顧客のセグメントボリューム、特徴、売上や利益への貢献度。顧客の状態とマーケティング施策の成果の関係が大きいのは「認知」「使用経験」「使用頻度」「今後使用意向」の4要素

  • 製品・サービスそのものを変えない限り、新たに便益や訴求点は訴求できないというのはマーケティング担当者の言い分けであり、怠慢

  • 使用経験がないセグメントに訴求して効く便益を開発するには、便益のアイデアを50~100案考えて、そのセグメントにリサーチし、効果の高い訴求内容を導き出すのが最も確実。買っていない理由を聞くのではなく、その人になりきって「何をやったら響くんだろう」と一生懸命考える

  • 業界2位、3位がリーダーと同じことをしても勝てない。業界で重要とされる便益を変えてしまうことで、リーダーを切り崩す。自分がナンバーワンになれそう、かつ消費者が重要と考える便益を見つけて、それを訴求する

  • 買わない人たちは、現在のブランドの要素に対して響いていないから買わない。その事実に気づかずに、同じ訴求を繰り返しても意味がない。ますます買わない意思を固めるだけ

<消費者理解・新製品開発>

  • 仮説を検証するのが調査。仮説のない調査は時間と金の無駄。仮説を見つけるための調査は「定性調査」がほとんど

  • 定性調査では「バイアス」に注意する。お金をもらって会議室にきている。本音はどうでもいいことでも「いい」「悪い」「その理由」を無理やり言っている。定性調査で何かを決断してはダメ。仮説を作る、または仮説を磨くためのヒントを得るにとどめておくべき

  • 定量調査では、結果の良し悪しを判断するための「基準値」を設定する。定量調査の結果を予想する「仮説」を持っておく。そうすると、結果をもとに修正のヒントがスムーズに見つかる

  • データドリブン・マーケティングだけでは、消費者理解にも、長期的な優位性にもならない。データドリブン・マーケティングだけで消費者のことが理解できるか、差別化のための企画・施策が作れるかと言うと、答えは「ノー」

  • ユニークな仮説やコンセプトは、どんなにデータを集めても作ることはできない。原則としては「仮説のほうがデータを集めるより先」。仮説を検証するためにデータを活用するのが成果を上げるマーケティングのやり方

  • 「自分のビジネスを脅かすもの」こそが新製品のヒント。今自分が携わっているビジネスをいったん離れて考える。時代遅れになっている自社の既存ビジネスを伸ばすことに注意を奪われ、新しいビジネスチャンスに乗り遅れることを避ける

  • 他社がやられて最も嫌なことは、自社が強いプロフィットセンター(最も利益を生んでいる事業)を責められること


<具体的な戦術>

  • ネーミングは、最も頼りになるコミュニケーション。ネットではパッケージ画像が表示されないことがよくあるので、ネーミングだけで製品やサービスの特長がわかることが理想的

  • 価格で勝負しない。いかに高く売るかを考えるのがマーケティング。競合より高い・安いではなく、お得感を感じてもらえる価格を設定する

  • 原価から売価を決めるのではなく、理想的な売価から適切な原価を決める。原価に必要な利益率を足した価格は、その製品の価値とは関係ない

  • 価値ある情報を付加すれば、価格競争に対抗できる。製品やサービスに付帯する情報が、ネットも含めて増えており、消費者はその情報の多寡や優劣を含めて、価格および製品の価値を評価するようになってきた

  • 強いブランドであれば、製品ミックスの拡張は効果的。業界1位は細分化するとシェアが伸びる。二番手、三番手は細分化すると、かえって競争力が弱くなる。弱いブランドの細分化は、ブランドの競争力を落とすだけ

  • パッケージは、消費者コミュニケーションの重要な要素。格好良さではなく、わかりやすさを追求する。製品が実際に並んでる環境、実際に使われる場所で、パッケージ・デザインを評価する

  • 「新製品」という訴求だけでは意味がない。リニューアルには「新しさ」と「カテゴリーらしさ」のバランスが重要

  • 1つの広告で伝えることができるメッセージは1つか2つ。広告には印象に残るような「インパクト」や、見た時に感情に刺さる「違和感」が不可欠

  • 関与度が高い製品・サービスほど、多面的な情報を伝えるトンマナで、消費者に「私に関係あるものかも」と感じてもらう

  • クリエイティブ・ブリーフの内容が、広告制作のプロセスや成果を左右する

  • どのメディアを使うかを決めるのは、コミュニケーションの中身(メッセージやターゲット)が決まった後、プロモーションやキャンペーンの最後の最後

  • オウンド→アーンド→ペイドメディアの順番でプランニングをすることにより、投資効果が最適化できる

  • ロイヤリティプログラムは、割引ではなく付加価値を提供する

  • CRMは、オペレーションの改善や、競合に差をつけられないために有効だが、継続的かつ大きな競争優位は築けない。自社の購買データだけでは、本当に有効な施策は打てない

  • マーケティング・オートメーションは差別化にはなりにくい

  • 有効なアイデアや仮説がないまま、ビッグデータを集めるのは無駄な投資

  • CSR活動は、自社のブランドや製品・サービスの提供価値に近い分野で、大きな露出があるものでなければ、ブランドイメージの向上には貢献しない

  • 戦略的提携の魅力のひとつは、違う分野の企業と組むことで、お互いが違う消費者にリーチできるようになること

【終わりに 】

マーケティングは「消費者理解に始まり、消費者理解に終わる」と、先述した「マーケティングゲーム―世界的優良企業に学ぶ勝つための原則」でも記載されています。

ビッグデータの時代でも、その本質は変わっていないと認識させられます。

また、認知・未利用顧客に、優良顧客が感じる価値をそのまま訴求しても刺さるとは限りません。顧客をセグメンテーションして、彼らに「何を訴求すれば動くのだろうか?」を徹底して考えることの重要性も再認識させられました。

今後、以下を意識して実践しようと思います。

・いきなりデータを集める/分析するのではなく、仮説から考えることを徹底する
・適切に消費者を理解してこそ、CRMやマーケティングオートメーションなどのツールが活きてくる
・目の前のビジネスも大事だが、数年後の「自分のビジネスを脅かすもの」を考える機会を定期的に持つ

 本記事では、足立光氏、土合朋宏氏の【世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則】を取り上げました。

また、読書のための専用端末「Kindle Paperwhite」もご紹介。

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このnoteでは、若手ビジネスマンのスキルアップに関する情報を定期的に発信していきます。

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