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人事評価へのナットク

人事評価を行っている企業の経営者、人事の皆様に1つ質問があります。

皆様の企業の社員は人事評価に納得していますか?

何でこんな質問をしたのかと言うと、人事評価に納得感が低い社員が多くなると、その企業が立ち行かなくなってしまう可能性があるからです。

例えば、「公正に評価されない場合」は納得感が得にくいと言われています。公正ってなんだ?と思う方もいると思いますので、少し書きますが、
2つあると言われています。

・S評価の自分もC評価の彼も、殆ど同じ昇給額、昇進昇格であれば「なんでやねん?」となる「分配の公正性」。

・事前に基準とか説明されんし、上司が変わったら評価良くなるとかあるし、全然評価内容について説明もされないし、異議申し立ても出来ひんし~とかだと、同じく「なんでやねん」となる「手続き的公正性」

特に「手続き的公正性」が確保されていない評価は、評価の納得性からどんどん離れていくという研究結果も多く出ており、もし皆様の企業の社員が評価に納得していないという事であれば、手続き的公正性が原因なのかな~と当たりをつけて考えてみても良いかもしれません。

しかし、筆者は人事評価制度の公正性の確保って正直ムリゲーだと思っており、近年の評価制度の建付け自体に少々無理があると思っています。
現に、学習院の守島教授をはじめ何名かの学者も、論文の中で評価制度だけだとムリゲーだから、それとは別に納得感を醸成する施策が必要だと言っています。
それが評価者研修であり、フィードバック面談であり、場合によっては1on1でありなわけですが、同じ条件(ムリゲー人事評価×その納得性を上げる施策)でも、納得する人としない人がいるのはなんでなんですかね?
というのがこのコラムの主旨であります。

▶上司が好きか嫌いか問題

納得感には上司と部下の関係性が関係しているのではないか?という研究もあります。業界用語ではLMXなんて言ったりしますが、上司との交換関係と上司のリーダーシップの観点から評価の納得感を研究したのが吉田(2016)の研究です(会ったことはありませんが)。
結論としては「部下が上司を信頼している場合、人事考課への納得感が向上する」という、まあ、そうでしょうねという結果なんですが、嫌いな上司にいくら公正に評価されても納得しない~という結論にもなり、改めて面白い研究なのかなーと思い始めてます。

▶色々やった方が納得感高まるか問題

同じく吉田(2016)によれば目標管理も、フィードバックも、評価者研修も、苦情処理も、多面的評価も色々やった方が納得感高まる~という研究結果は中々面白いな~と思いました。仮説ですが、どこが納得ポイントになるのかわからないので、タッチポイント×タッチ総量を増やすということだと思います。

▶1on1は評価とは関係ない?

これは、エンゲージメント等の話で出てくるんだと思うんですけど、全部繋がっている話だと思います。評価もエンゲージメントもキャリアもバラバラに考えていては、問題が捉えづらい。
だから、1on1は直接は業績の話をしないとか、評価の話をしないとか定めていても、結局関係ある話なので、経営サイドはトータルで捉えておいた方がよいと思います。量的な実証研究で寄与率等を出せれば面白いと思いますが、大企業でどこかやらせてくれませんかね?

▶結局評価の納得感の話は?

「公正だから納得する」はちょっと違うと思っていて、「公正だと被評価者が知覚しないと納得しない」と言うのが私の思っていることです。本来の目的である査定(教育も目的なんですが、お茶を濁す感じが否めないので外します)がある程度出来れば(このある程度というのがどの程度なのかも難しいのかもしれませんが、誰が見てもこれおかしいだろ?と言われない程度が最低レベルなんですかね)、あとは被評価者の納得だけだと思うので、被評価者がどのようなことに対してアンテナをはってるのか、敏感なのかなど、タイプ別の施策になるような気がしています。まずは、社員個々のキャリア観(バウンダリ―レス、伝統他2タイプ)と公正だと感じるポイントの関係について研究を始めてみたいと思います~。

カトキチ@人材・組織開発コンサルタント

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