仕事の順番はPDCAなのに、仕事がデキる人になる順番はDCAPって話。

ビジネスシーンでは耳タコワードな「PDCAサイクル」。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を取ってPDCA。

Wikipediaによると、これが使われはじめたのは第二次世界大戦後らしいです。

第二次世界大戦後、日本において、統計的品質管理をウォルター・シューハートの弟子エドワーズ・デミングが日本科学技術連盟(日科技連)で講演した。この講演を聞いた日科技連の幹部がPDCAを提唱したとされる。

(『PDCAサイクル』|Wikipediaより)

ちなみにこの耳タコワード、英単語で構成されていますが、ほとんど日本でしか使われていないそうです。

最近では、「PDCAサイクルはもう古い。これからはOODAループだ」とか、言われているみたいですね。ま、その主張の是非はさておき、やはり仕事の基本は、まずPDCAをきちんと回せるようになることだと思うんです。

事業予測と行動計画をつくる。

計画通りの実行を徹底する。

その結果から当初仮説を評価して、

改善につながる次の行動をおこす。これの繰り返し。

世の中の変化のスピードはどんどん加速していますから、予測を立てたときには正しいと思われたことも、実行している間に環境が変わってしまって、まったく当初の想定通りにはいかないこともたくさんあります。

そうすると、計画なんて立てても意味がない、と思ってしまいそうです。それでも、仕事の基礎はPDCAサイクルであり、計画をつくることは大切です。経営学の父と称されるドラッカーは、計画の重要性について自著『経営者の条件』でこのように述べています。

ナポレオンは、計画どおりに事が進んで戦いに勝つことなどありえないと言った。その彼が、あらゆる戦いにおいて、歴史上例のない緻密さで実行計画をつくっていた。実行計画がなければ、すべてが成り行き任せになる。途中で実行計画をチェックすることがなければ、成り行きのなかで意味のあるものとないものを見分けることすらできない。

(『経営者の条件|ピーター・F・ドラッカー』より)

あらかじめ、綿密に練った計画があるから、行動した結果を評価することができるんですね。

計画をつくるのは、最終的には、その事業を成功させるためなのですが、もう少し短期的な視点では、実行の結果をきちんと評価するためにつくるものだと思います。想定が間違っていたのか、実行のしかたが良くなかったのか。。事業がうまくいかない理由を見極めるために、計画が必要になります。


PDCAサイクルをグルグルと回せることが、成功の肝。ただ、ここでひとつ落とし穴があります。

仕事を進める順番は、P⇒D⇒C⇒A⇒P...なのですが、仕事ができるビジネスパーソンを育成する順番は、D⇒C⇒A⇒P⇒D...でなければいけない。

つまり、仕事ができる人になるための過程は、

誰かがつくった計画通りにきちんと実行することができて、

その結果を自分や上司と振り返ることができ、

主体的な改善活動をできるようになってから、

徐々に予測を立てて、計画策定ができる人になる

ということです。


最初はぼくもこの順番を間違えてしまいました。少し前からマネージャーを育成する立場になりまして、「PDCAサイクルを回せるマネージャーになってほしい!」と思い、まずはチーム成長の計画をたてるところから任せてみました。

すると、その計画を立てるのに何週間もかかる。それから、実行のフェーズに移っても、「計画がよくなかったんじゃないか」と悶々として、計画していた行動をやり切れない。結局、成果は出せず、改善活動にもつながらない。。といった事態になってしまったんですね。

新人マネージャーの力不足でしょうか。

何がダメだったんだろうとしばらく頭を悩ませていたのですが、これまでの自分の成長を振り返ってみたとき、任せる順番を間違えていたんだなと気がつきました。

人の成長は、まず与えられた仕事をきちんとこなすことからスタートしないといけなかったんです。


たとえば、学校で勉強ができるようになった順番を思い出してみてほしいのですが、最初は先生から出された宿題をやる(=Do)ことから始まります。丸つけは、先生やお母さんが担当。自分ではやりません。

そこから、中学生になると分厚い問題集と回答集が配られて、課題の採点(=Check)も自分で任せられるようになりました。定期テストが始まります。同級生のなかで自分の学力がどの立ち位置なのか、望んでもいないのに明らかにされます。

そして、次回よりもよい点数を取るために、試験勉強の対策を改善していく(=Action)。これを繰り返すうちに、「あの先生のテストなら、これくらい勉強しておけば、だいたいこれくらいの点数が取れる」がわかってきて、試験勉強の計画を自分で立て(=Plan)られるようなっていきます。

つまり、ぼくたちはDCAPの順番で成長してきました。そのことを忘れていたんですねー。。


仕事がデキる人というのは、PDCAサイクルを回せる人。サイクルのスタートは、「Plan(計画)」からはじまります。しかし、それができるようになるのは、「D」と「C」と「A」をきちんとこなせるようになったあとなんですね。

だから、PDCAサイクルを回せる人になるためには、まずは徹底した「Do(実行)」をできる人になることから始める必要があって、行動の計画をつくるのはまだ上司側の仕事だったというわけです。


仕事の順番はPDCAなのに、仕事がデキる人になる順番はDCAPの順。ぼくはこの落とし穴に3か月もハマってしまいました。同じ穴にはまる人が1人でも減らせるといいなーと思い、最近の気づきを書いてみました。

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