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【淫怪夢幻想郷物語】第四話 「運命に導かれて」
―田所浩治―
日もすっかり暮れて辺りは真っ暗になった。時計はもう十一時になろうとしていた。恐らく皆もう寝ているだろう。そんな中俺は縁側に座ってぼーっとしていた。何をする気も起きていない。だが不思議と寝ようとも思えなかった。
「…。」
「まだ起きていたの。」
「ああ蛮奇さんですか。」
素っ気なく返事をする。
「一体どうしたのよ、こんな時間だっていうのに。」
「いや、星ってこんな綺麗なんだなって。」
【淫怪夢幻想郷物語】第三話 「妖怪故在るべき姿」
―赤蛮奇―
「蛮奇さんなんか腹減んないすか?」
そう田所さんは言った。人間はよく腹が減るものだな。
「お腹減ったわね。」
別に空いてないがここは一応合わせる為に嘘を言った。
「この辺に最近新作が出た美味い団子屋がある…。」
突然、何かを言い掛けた所で田所さんは黙ってしまった。動きも止まった。
「どうしたの?」
「……なんすかねあれ。」
田所さんが指差した方向を見る。そこにあったのは…透明な四角い
【淫怪夢幻想郷物語】第二話 「幻想郷の常識」
―田所浩治―
「いらっしゃい!いらっしゃい!お兄さんどうですか!」
今日の晩御飯は何にしようかと考えながら食材を眺める。料理なんてまだ蛮奇さんに任せっきりだが、何時までも親切にして貰うのは申し訳ない。料理は一度やってみたのだが、料理に関する知識が無いことに気付いた。今は教えて貰いながらやっている状況だ。本当に蛮奇さんは親切過ぎる気がする。何か裏があるのではと思う位。前は恐らくインスタント系をよく
【淫怪夢幻想郷物語】第一話 「新生活」
気が付くと俺は森の中で倒れていた。街灯等の光は一切ない闇の森。空の月だけが妖しく光っていた。俺はどうしてこんなところに居るんだろう。全く思い出せない。俺は森に居る前に何をしていたんだ?
「……。」
駄目だ、思い出そうとすると頭が痛くなる。仕方ない、兎に角歩いてみよう。もしかしたら何か分かるかもしれない。でも起き上がれない。立ち上がろうとすると全体に痛みが走った。手は少しだけ動かすことが出来た。試