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新しいチャレンジをすぐにもってくる上司になんて言えばいい?というご相談と回答

こんにちは。対話の専門家 田口淳之介です。

エグゼクティブ・パーソナルセッションで、このようなご相談をいただきました。

うちの会社には『新しいことにどんどんチャレンジする』という文化があります。この文化自体は嫌いじゃない、というかむしろ好きです。ただ、最近は違和感を覚えています。

というのは、取組みが何ひとつ定着していません。上司がどんどん新しい取組みを始めるのですが、その前に「やるぞ!」となっていたプロジェクトが中途半端なままです。

私はもう少し着実に成長していきたいので、新しいことをすぐに始めてしまう上司のやり方に戸惑いを感じています。上司になんて伝えたらいいでしょう?

30代 男性 責任者

これ、本当によくあるご相談です。

ボクもこれまで多くの経営者と会ってきて、「あれ?この間の話しどうなったんだろう?」と感じることは一度や二度ではありませんでした。

なので、相談者の気持ちはよくわかります。

と、同時にボクにも「新しいことをどんどん始める」という側面があります。そのため、上司の気持ちもわかります。

「いつまでも成果の出ないことをしていても、しょうがない」という見切りの速さに説明不足が重なると、部下に不安を与えてしまうんですよね。

それでは、「新しいことをどんどんはじめて、取組みが定着しない上司になんて言えばいいのか?」

結論からいうと「何も言わない」が正解です。


「何も言わない」が正解なたったひとつの理由

なぜ「何も言わない」が正解なのか?これは、なにも相談に適当に答えているわけではありません。

しっかりと理由があります。


「人の資質は変えられない」ことを知っておく

まず、上司がどんどん新しいことをはじめて、それ以前の取組みを定着させない理由を考えてみましょう。

  • 単純に飽き性なのかもしれない

  • 直感力が優れていて、継続しても意味がないと判断するのが早いのかもしれない

  • 継続する方法を知らないのかもしれない

  • そもそも成果をあげるためのスケジュールを立てていないのかもしれない

  • 成果をあげるためのスケジュールの立て方を知らないのかもしれない

  • 取組みを定着させることに興味がないのかもしれない

あくまでも仮説ですが、とにかくさまざまな要因が考えられます。

これらは、その人の資質です。資質があって、人は自分の思考パターンを創ります。

そして、その思考パターンから行動パターンが生み出されるのです。

相談者が「じっくりモノゴトを具現化していくのが当たり前だ!」と考えるように、「新しいことをどんどん始めるのが自分にとって普通」という行動パターンを持っている人もいて当然です。

つまり「じっくり腰を据えてモノゴトをカタチにしていきたい」という人に、「そんなこと、どうでもいいからとにかく次のチャレンジをしよう!」と言えば、ストレスを感じさせるでしょう。

逆も然りです。「資質の違い」が原因となっていることについて、自分より権限のある人に意見しても、現実的にはムダになることのほうが圧倒的に多いのが世の中。

なので、「何も言わない」が正解です。


あなたが未来に望みをかけることのできるあり方

では「新しいことにどんどんチャレンジして、モノゴトを定着させるまで成果を追わない上司」のもとでは、腰を据えた取り組みはムリなのでしょうか?

一つだけ可能性を拡大できる方法があります。

それは、「上司が持ってきた取組みについて、尋常じゃないレベルで進捗状況を伝え続ける。そして、その取組みを持ってきてくれたことに感謝を伝えつつ、スケジュールをプレゼンし『途中でこの取組みをヤメルのは死んでもイヤだ』というくらいの気迫を見せ続けるのです。

この方法が唯一、腰を据えて取り組む可能性を拡大してくれます。

もちろん、この方法でやってもダメかもしれません。

ただ、ここで大切なのは上司の号令に「振り回されているように感じている」状態から脱すること。

上記の方法は、上司の指示命令をしっかり聞いている結果なので、相手に考えてもらえるチャンスはつくれます。ここまでやれば、相談者のような状態にいる人は、必ず成長します。それだけでも意味があると思って損はない!


新しいことにすぐチャレンジしたくなる人にオススメの環境設定

「あれ?この間の話しどうなったんだろう?」と部下や仲間に思わせてしまう組織運営は、どこかで限界がきます。

そして、ここで生き残る人は疑問を抱かない人です。

疑問を抱かない部下を見てさらに上司は危機感を覚え、新しい取組みに着目します。これはよくある負のスパイラルです。

ボク自身、少しでも気を抜けばこのスパイラルにハマるタイプ。

そのため「ルーティンを崩さない」とか「プロジェクトのスケジュールと計測方法を明確にしてからでないと、新しい取り組みをしない」というようなルールをいくつも設定しています。

資質は変えられないけど、環境設定しだいで成果を受け取ることは可能だからです。


まとめ

働いていれば、ときに理不尽に遭遇し悔しい想いもするでしょう。

また、断られるような理由のない提案が聞き入れてもらえないこともあります。

それらのデキゴトに対して「自らの責任」を意識して対処していくと、人はどんどん成長します。人は理想の環境でのみ成長するわけではないところが、面白いですね。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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