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オリジナル短編集

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オリジナルの短いお話を、まとめてゆきます。
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【note百物語2017】かくれんぼ×かくれんぼ

【note百物語2017】かくれんぼ×かくれんぼ

 お友だちと、たくさん遊んどいで
 だけど、かくれんぼはやっちゃいけんよ―…
 けっして、かくれちゃあいけんよ

大きい山がいっぱいあるところに、1人で住んでいる、おばあちゃん。
ぼくとおかあさんが遊びに行くと、いつも大きな声でわらってくれる。

「遊びにいってくるね!」

ぼくはリュックサックを玄関におくと、ここでできた友だちに会うため、またすぐ出て行こうとした。

「覚(さとし)!かくれんぼは

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オリジナル短編『コエゴト』vol.01

オリジナル短編『コエゴト』vol.01

最近、彼女の様子がオカシイ―…。

お見合いで出会って、4ヶ月。
順調にデートを重ね、想いを重ね合ってきたというのに。
なぜかここへ来て、ビミョーに避けられている…気がする。

気がする…というのは、オレには全く避けられる理由がわからないからで。
なにか問題があるのなら、言って欲しいのだが…おとなし過ぎる彼女に、それを求めるのはちょっぴり酷なように思う。

なので…ちょっとづつ確認してみるのだが。

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日常

日常

7時33分41秒。

「いい加減にしなさいよ!草太!早く、起きなさい!」

母さんが、ヒステリックに俺を起こす。
ベッドの中から手を伸ばし、カーテンを開ければ、目が痛くなる程の青空が広がっていた。

8時17分15秒。

「今日のテストどうしよー!」

「私もー!絶対ヤバイ!」

通学する女子高生たちの声をきっかけに、通勤のために動き出した、車の音が増えていく。
俺はのんびりと食卓に座り、「人間っ

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片想い~l'amour non partagé~ Spin-off『Cupressus』

片想い~l'amour non partagé~ Spin-off『Cupressus』

仕事がしたくないなんて、大きな声じゃ言えないけどね。
決して、サボってる訳じゃないんだよ。
待っているんだ、その時を。

「あんたねぇ!本当にやる気あるんスかっ!?」

僕の頭の上で吠え立てる、白いモコモコ。
あ、白いモコモコにしたのは、僕だった。
「パチンッ」と指をならすと、そいつは真っ黒い元の姿に戻る。

トゲトゲした耳と、長い尻尾、目の形も尖っていて、おまけに声もしゃがれていて…本能剥き出し

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片想い~l'amour non partagé~ Spin-off『ANSER』

片想い~l'amour non partagé~ Spin-off『ANSER』

「瑠璃ちゃん!これを歌わないで、どうすんの?!」

居酒屋のバイトを終えた私は、深夜のファミレスで、バンド仲間の文音ちゃんと久しぶりに話してた。

文音ちゃんは、un quadernoっていうバンドのヴォーカル。
やわらかく伸びやかな歌声は、聴いててとっても心地がいい。
パワーをもらえるっていうのかな?
落ち込んだときとか、絶対聴いちゃうもん。

今夜はiPhoneから聴こえる、文音ちゃんの歌声だ

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片想い企画『待ち人』スピンオフ小説

片想い企画『待ち人』スピンオフ小説

私は、忘れっぽい。

一緒に仕事をした人の名前。
何度も行ってる場所。
自分で書いた歌詞さえも、忘れてしまう。

「え?なんで?」

せっかく書き上げた新曲の歌詞を、柳に突き返されて私は目を丸くした。
自分で言うのもなんだけど、今回はかなりいい仕上がりだったと思う。
それなのに、柳は大袈裟なくらい深いため息を吐いて、私を睨むのだ。

「いいか。心をまっさらにして、もう一度よく見直してみろ!」

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地獄の沙汰も金次第 [後編]

地獄の沙汰も金次第 [後編]

<前編より>

「…死に方?」

天城の言葉に、藤村の足が止まる。壊れたコンピュータが、デタラメな計算式で、出るはずの無い答えを弾き出そうと必死になっていた。

天城はそれを察して、革靴の音を響かせながら、藤村の隣へ移動する。
そして、フリーズしている男の目にも映っているであろう、眼下に広がる景色を見た。

昭和を感じさせる商店街の各軒先は、古びていたがどこかしら味がある。
平日の午後だが、馴染み

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地獄の沙汰も金次第 [前編]

地獄の沙汰も金次第 [前編]

「100万?」

「ええ。税込で」

古い十階建ての雑居ビルの屋上に、早春の匂いを含んだ風が吹いたが、降り積もった埃を舞い上げただけで、そこに居た2人の男は少し咽た。

1人は20代後半。
着古したジャケットに、くたびれたジーンズ。
履き潰したスニーカーは、所々穴が開いている。
髪の毛は寝癖がついたままで、顔色が悪い。
手摺を握り締めたまま、呟いて声の主を見る。

後方に居る、もう1人の男はベーシ

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[short×short]504910816 #AVFTribute

[short×short]504910816 #AVFTribute

「ゴホッ、ゴホッ」

咳をするたび、君への想いが募る。
数えたことはないけれど、もう504,910,816回は君のことを想った。

その数は、1秒ごとに増えてゆく。
僕の愛は止まらない。

消毒液とわずかな潮の香りの中で、溺れながら君を想う。
これは、愛。多分、愛。きっと、愛。

だって、肺胞を218,324,567個握りつぶされたみたいに、胸が苦しいから。
こんなに苦しいのは、君を愛している証で

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キュン♪ときたら「スキ」ください。

キュン♪ときたら「スキ」ください。

「好きだ!」

真正面から至近距離で、あなたに言われた。

仕事の打ち合わせが終わると、赤ちょうちんの居酒屋で一杯。
メンバーは、いつもの4人。
上司の城田さんと、先輩の池野さんと皆木さん、そして私、佐倉久美。

男の中に女が1人なんて、浮いちゃいそうだけど、もはや家族みたいなものだ。
それなりに言いたいことを言い合って、笑って、泣いて、受け入れてくれる。
もしかすると本当の親よりも、私のことを理

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洋菓子店の彼女と花屋の僕 #ハピバレ2015

洋菓子店の彼女と花屋の僕 #ハピバレ2015

「あの、さ」

もう何百回も声を掛けているのに、口が渇いて上手く声が出せない。
それは、今日という日だからだ。

「はい?」

僕の声に振り返る彼女も、すっかり見慣れているのに、見惚れてしまう。
それは、覚悟を持って呼び止めたからだ。

「これ…どうぞ」

一輪の赤いチューリップを、差し出す。
彼女を想ったときに浮かんだ、赤いチューリップ。

「え?どうしたんですか?コレ」

もう何万回もラッピン

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少女とハートとドラゴンの話

少女とハートとドラゴンの話

何もない、固い茶色い土の上に、一人の少女がおりました。
音も色もほとんどなく、静かな静かな世界です。
少女はいつも、なぜ自分がここにいるのかわからずに、蹲って泣いていました。

そこへ一匹のドラゴンが、やってきました。
まだ幼いドラゴンは、人懐っこい声で少女に話しかけました。

「やあ!お待たせ!」

少女は驚いて顔をあげ、小さな声でたずねました。

「あなた、だぁれ?」

ドラゴンは瞬きを二度し

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