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cometiki@画家・お仕事募集中
2020年4月30日 08:07
彼の「ごめん」は軽すぎる。 待ち合わせに2時間遅れた挙句、ドタキャンした時も終電逃すたびに、タクシーがわりに呼びつける時もバイトが続かないと、お金を何度も借りる時も 彼はヘラヘラ笑って「ごめん、ごめん」。悪いなんて気持ちは、微塵もないんだろう。 相手をどれだけ傷つけているか、一度身をもって知ればいいんだ。 ❇︎ 「ずっと見てたのに、今まで助けられ
2020年3月28日 11:15
僕には、双子の妹がいる。生まれたときから、いつも一緒。 僕たちは、赤ん坊の頃から「かわいいね」って、よく言われた。 お父さんやお母さんはもちろん、親戚のおじさんや、おばさん。近所の人たちも「かわいいね」って。 僕も妹のことが、かわいくて仕方ないから、そう言われると、嬉しくてたまらない。兄として、妹のかわいさについて語りまくっちゃうのも、しょうがないよね? でも僕の話が
2020年3月17日 07:44
誰もいない部屋に、彼女は「ただいまー」って1人で帰ってくると、手を洗い、うがいをし、部屋着に着替えた。 冷蔵庫から2人分の食材を取り出すと、晩メシづくり。2人分の食器に盛りつけ、テーブルへ。 楽しそうに2人分の会話をし、食べ終わると1人で風呂へ向かった。 好きで隣の部屋まで借りてみてたけど、さすがに諦めたよ。 #小説 #オリジナル #短編 #ショートショート #SS #シ
2020年3月13日 11:15
バイト前。ファーストフード店でコーヒーを一杯飲むのが、俺の日課だ。 席に着くとスマホの画面上から、SNSアプリを開く。 現実でブサイクだ、隠キャだと言われても。コツさえ掴めば、ネットの中では人気者だ。 やり方は簡単!検索して、よさげな画像を添付してUPするだけ。「くくくっ。フォロワー1万5千人超え〜♪」 投稿するたび、俺の人気は上がっていく。「たまんねぇな」
2019年1月5日 23:21
俺は、マンションの入り口を出るとき、必ず空を見上げる。グレーの雲に覆われてても、土砂降りの雨が降っていても、必ず。 そうすることで今、自分がきちんとここに立てていることを実感し、その日を頑張れるのだ。今日は、青空!透明感のある青色は、元気が増すからありがたい!! そのまま目を閉じて、大きく深呼吸。「よし!」気合いを入れて目を開けば、見知らぬ人と目がかち合った。 いつの
2017年12月20日 18:23
SNSで相互フォローの、A子ちゃん。彼女は俺の、くだらない日常のつぶやきにも、優しく反応してくれる、とってもいい子! そんなA子ちゃんのTLには、文字のイメージそのままな自撮り写真が並ぶ。 小柄で、柔らかそうなふわふわの髪の毛。大きな瞳は澄んでいて、笑顔がとても可愛らしい! 彼女の写真を見るうち、俺はあることに気がついた。駅前のコンビニ、商店街、公園…。それはどれも、俺の
2017年11月4日 10:07
「はぁ、はぁ」 俺は、走りながら数時間前のことを、思い返していた。〇 〇 〇ネットの掲示板で見つけた、“簡単なお仕事”。リストラされて、路頭に迷っていた俺は、日給を見てすぐさま飛びついた。 300万円。 この依頼を引き受ければ、300万円が手に入るらしい。 怪しい仕事だろうというのは、覚悟していた。だから雇い主からのメールで「この双子
2017年11月1日 21:20
俺は通勤に、バスを使っている。いつも使う時間帯の、いつも乗るバスの車両ナンバーまで、覚えてしまうほど。 「また、だ」 どれだけ空いていても、どんなに混んでいても…いつも同じ席に座っている、女性がいる。濡羽色の長い髪は、ゆるいウエーブがかかっていて、ちょっと目を惹く。 俺が乗るバス停より前に乗って、俺が降りるバス停より後に降りるらしいので、俯いている姿しか知らない。 ある
2017年10月29日 22:10
全く、お嬢様には困ったものです。一昨日お出かけ前に、あれほど折り畳み傘とショールを忘れぬよう、ご忠告申し上げましたのに。聞き入れてくださらないのですから。 結局、雨が降り。気温も一気に下がってしまったため、風邪をひいてしまわれて。 体力回復には栄養が必要不可欠ですのに、昨日は病院から戻られると、お食事もせず…すぐに寝てしまわれるのですから。 今日は私自らが腕をふるい、自慢の
2017年10月28日 23:32
最近、学校で個性的なTシャツが、流行っている。僕も1枚でいいから、一目置かれるTシャツが欲しいなぁ。 「わっ!」 ぼーっとしていたから、マンションの隣の家の人が開けたドアに、ぶつかりかけた。中から出てきた男は、僕を一瞥すると無言で立ち去ろうとする。 「あのっ!そのTシャツ、どこで買えますか?!」 男の着ているTシャツは、前から見ると普通の無地の白いTシャツ。しかし背面
2017年10月25日 22:52
私「A子ちゃん、どうしたの?なんか悩み事?」 A子「うん…んー…悩み事っていうか、彼氏のことで」 私「なになに?B君、浮気でもした?」 A子「しないわよ!アンタ、面白がってるわね!?」 私「ごめん、ごめん。だって2人とも、すっごいラブラブなんだもんー!で?何があったの?」 A子「うん。“君の綺麗な左手の薬指を指輪にしてくれないか”って、言われたの」私「すごい!プロ
2017年10月24日 23:08
今朝起きて、親友が連続殺人犯に惨殺されたことを、ニュースで知った。昨日「また明日!」と言って別れたのに…もう会えないなんて、信じられない。一体、どうして…スマホを手に取ると、メールの着信に気づく。親友からだ!!今日の…午前2時14分…?もしかして、亡くなる直前に送ったのか?!―――――――――――――――件名 なし減る仕組み 市民知る失敗るが 無くしける見知れば 酷
2017年10月23日 19:25
「最近、文通を始めたんです! 相手は多分、女のコ。会ったことはないけど、私より手が小さいから。 癖字のせいで、文字は読めないことが多いんですけど。赤いスタンプを、沢山押してくれるんですよ。やっぱり女のコは、赤い色が好きですよねー。 彼女が喜んでくれるかと思って、今度の便箋は、赤いお花がついてるものにしたんです。可愛いでしょう? あ!そろそろ帰って、お返事書かなくち
2017年10月23日 00:11
両親には不評だが、俺は今の生き方に満足している。眉目秀麗、背も高く、スタイルもいい。街を歩けば、女性たちから熱い視線を浴び。話しかけてやれば、簡単に好意を寄せてくる。仕事だって、順風満帆。経営者として辣腕を振るい、地位も名誉も、富も手に入れた。そう。この世は、俺中心に回っている。向かうところ敵無し…と言いたいところだが、停電にだけは勝てない。 #小説 #オリジナル #短編