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意味がわかると怖いかもしれない話

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「意味がわかると怖い話」を知り、自分でも書いてみたくなりました。あまり怖いお話は書けないかもしれませんが、是非マガジンをフォローして読んでいただけると嬉しいです!
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記事一覧

ごめん

ごめん

彼の「ごめん」は軽すぎる。

待ち合わせに2時間遅れた挙句、ドタキャンした時も
終電逃すたびに、タクシーがわりに呼びつける時も
バイトが続かないと、お金を何度も借りる時も

彼はヘラヘラ笑って「ごめん、ごめん」。
悪いなんて気持ちは、微塵もないんだろう。

相手をどれだけ傷つけているか、
一度身をもって知ればいいんだ。

       ❇︎

「ずっと見てたのに、今まで助けられ

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シスコン

シスコン

僕には、双子の妹がいる。
生まれたときから、いつも一緒。

僕たちは、赤ん坊の頃から「かわいいね」って、よく言われた。

お父さんやお母さんはもちろん、親戚のおじさんや、おばさん。
近所の人たちも「かわいいね」って。

僕も妹のことが、かわいくて仕方ないから、そう言われると、嬉しくてたまらない。
兄として、妹のかわいさについて語りまくっちゃうのも、しょうがないよね?

でも僕の話が

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片想い

片想い

誰もいない部屋に、彼女は「ただいまー」って1人で帰ってくると、手を洗い、うがいをし、部屋着に着替えた。

冷蔵庫から2人分の食材を取り出すと、晩メシづくり。
2人分の食器に盛りつけ、テーブルへ。

楽しそうに2人分の会話をし、食べ終わると1人で風呂へ向かった。

好きで隣の部屋まで借りてみてたけど、さすがに諦めたよ。
#小説 #オリジナル #短編 #ショートショート #SS #シ

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フォロワー

フォロワー

バイト前。
ファーストフード店でコーヒーを一杯飲むのが、俺の日課だ。

席に着くとスマホの画面上から、SNSアプリを開く。

現実でブサイクだ、隠キャだと言われても。
コツさえ掴めば、ネットの中では人気者だ。

やり方は簡単!
検索して、よさげな画像を添付してUPするだけ。

「くくくっ。フォロワー1万5千人超え〜♪」

投稿するたび、俺の人気は上がっていく。

「たまんねぇな」

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空

俺は、マンションの入り口を出るとき、必ず空を見上げる。
グレーの雲に覆われてても、土砂降りの雨が降っていても、必ず。

そうすることで今、自分がきちんとここに立てていることを実感し、その日を頑張れるのだ。

今日は、青空!
透明感のある青色は、元気が増すからありがたい!!

そのまま目を閉じて、大きく深呼吸。
「よし!」
気合いを入れて目を開けば、見知らぬ人と目がかち合った。

いつの

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好奇心

好奇心

SNSで相互フォローの、A子ちゃん。
彼女は俺の、くだらない日常のつぶやきにも、優しく反応してくれる、とってもいい子!

そんなA子ちゃんのTLには、文字のイメージそのままな自撮り写真が並ぶ。

小柄で、柔らかそうなふわふわの髪の毛。
大きな瞳は澄んでいて、笑顔がとても可愛らしい!

彼女の写真を見るうち、俺はあることに気がついた。
駅前のコンビニ、商店街、公園…。
それはどれも、俺の

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簡単な仕事

簡単な仕事

「はぁ、はぁ」

俺は、走りながら数時間前のことを、思い返していた。

〇 〇 〇

ネットの掲示板で見つけた、“簡単なお仕事”。
リストラされて、路頭に迷っていた俺は、日給を見てすぐさま飛びついた。

300万円。

この依頼を引き受ければ、300万円が手に入るらしい。

怪しい仕事だろうというのは、覚悟していた。
だから雇い主からのメールで「この双子

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濡羽色

濡羽色

俺は通勤に、バスを使っている。
いつも使う時間帯の、いつも乗るバスの車両ナンバーまで、覚えてしまうほど。

「また、だ」

どれだけ空いていても、どんなに混んでいても…いつも同じ席に座っている、女性がいる。
濡羽色の長い髪は、ゆるいウエーブがかかっていて、ちょっと目を惹く。

俺が乗るバス停より前に乗って、俺が降りるバス停より後に降りるらしいので、俯いている姿しか知らない。

ある

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執事

執事

全く、お嬢様には困ったものです。
一昨日お出かけ前に、あれほど折り畳み傘とショールを忘れぬよう、ご忠告申し上げましたのに。
聞き入れてくださらないのですから。

結局、雨が降り。
気温も一気に下がってしまったため、風邪をひいてしまわれて。

体力回復には栄養が必要不可欠ですのに、昨日は病院から戻られると、お食事もせず…すぐに寝てしまわれるのですから。

今日は私自らが腕をふるい、自慢の

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Tシャツ

Tシャツ

最近、学校で個性的なTシャツが、流行っている。
僕も1枚でいいから、一目置かれるTシャツが欲しいなぁ。

「わっ!」

ぼーっとしていたから、マンションの隣の家の人が開けたドアに、ぶつかりかけた。
中から出てきた男は、僕を一瞥すると無言で立ち去ろうとする。

「あのっ!そのTシャツ、どこで買えますか?!」

男の着ているTシャツは、前から見ると普通の無地の白いTシャツ。
しかし背面

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プロポーズ

プロポーズ

私「A子ちゃん、どうしたの?なんか悩み事?」

A子「うん…んー…悩み事っていうか、彼氏のことで」

私「なになに?B君、浮気でもした?」

A子「しないわよ!アンタ、面白がってるわね!?」

私「ごめん、ごめん。だって2人とも、すっごいラブラブなんだもんー!で?何があったの?」

A子「うん。“君の綺麗な左手の薬指を指輪にしてくれないか”って、言われたの」

私「すごい!プロ

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最期のメール

最期のメール

今朝起きて、親友が連続殺人犯に惨殺されたことを、ニュースで知った。

昨日「また明日!」と言って別れたのに…もう会えないなんて、信じられない。
一体、どうして…

スマホを手に取ると、メールの着信に気づく。
親友からだ!!
今日の…午前2時14分…?
もしかして、亡くなる直前に送ったのか?!

―――――――――――――――

件名 なし

減る仕組み 市民知る
失敗るが 無くしける
見知れば 酷

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文通

文通

「最近、文通を始めたんです!

相手は多分、女のコ。
会ったことはないけど、私より手が小さいから。

癖字のせいで、文字は読めないことが多いんですけど。
赤いスタンプを、沢山押してくれるんですよ。
やっぱり女のコは、赤い色が好きですよねー。

彼女が喜んでくれるかと思って、今度の便箋は、赤いお花がついてるものにしたんです。
可愛いでしょう?

あ!
そろそろ帰って、お返事書かなくち

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世界の王

世界の王

両親には不評だが、俺は今の生き方に満足している。

眉目秀麗、背も高く、スタイルもいい。
街を歩けば、女性たちから熱い視線を浴び。
話しかけてやれば、簡単に好意を寄せてくる。

仕事だって、順風満帆。
経営者として辣腕を振るい、地位も名誉も、富も手に入れた。

そう。
この世は、俺中心に回っている。
向かうところ敵無し…と言いたいところだが、停電にだけは勝てない。
#小説 #オリジナル #短編

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