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家の話をしよう-間取りは「ふるまい」がつくりだす




家の話をしよう ー そんなタイトルから始まる本のはなし。

「マイホーム」をnLDKで語るのは、もう古いのかもしれない。と思った1冊のご紹介です。



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本書は、「スケルトン」という家の躯体に、「インフィル」という中身、即ちインテリアを自分で自在に入れ込むスタイルの提案。
人口減少が始まった日本においては余剰住宅が増え、誰もいない、建築という箱がぽつんと残っていくと予測されている。にも関わらず、持て囃されるのは新築ピカピカの建築。新築って、そんなにいいの?!

・・・よくよく考えていくと、違う選択肢が見えてくるかもしれない。



若い建築が多いのは日本ならでは


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出所:(財)建築環境・省エネルギー機構、UN「Annual Bulletin of Housing and Building」


アメリカ、ドイツ、フランスなど多くの先進国では、スケルトンを売り出しインフィルを自分で考える、というのは意外と当たり前のこと。不動産会社も借主が好き勝手リノベーションすることを咎めることはしないし、返す時はそのままでいいという。なぜなら、建築も私たちと同じように年をとるもので、積み重ねがあるほど深みが出るし、信頼・実績があるという証だと考えているからである。



リノベーションの方が実はお手軽だった

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「リノベーション」というと知識のない間取りや建築材料のこと、一から自分でやるのは不可能と考えがち。そんな風に考える必要は全くなくて、わからないことは誰かに任せればいい。文中では、憧れの建築事務所に駄目元で自宅のリノベーションを持ち掛けたら予想外のリーズナブルさで拍子抜けした、という話も。

それに、あれこれ自分のこだわり条件を今ある建築から探すより、好条件のスケルトン ー 箱を中古で安く手に入れて、インフィルを思いっきり作りたいようにつくる方が効率が良く賢い。


調べたらザクザク出てきてびっくり。坪単価35万〜、意外と安い。



「住むことの美しさ」は建築のつくる部分ではない

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「どこでも住める」「自分で選べる」ことの豊かさって、古来の日本では畳・襖・障子が担っていた。

戦前は借家がほとんどで、引っ越す時は障子や畳を持って引っ越していた。客がくれば襖を締め、花を生け、個々のふるまいで客間をつくる。しかしゆるく、ふるまいで空間を仕切ることは、西洋の「壁で機能ごとに空間を分ける」という潮流に消えていった。いつかはnLDK
という発想は建築に美しさを求めるけれど、そんな必要はないのかもしれない。



建築は道具だ


「建築は資産である」というと、選ぶのに躊躇する。選択を間違えることは大きな間違いを犯すことと、慎重になってしまう。でも、建築に住むのは自分自身だし、売る目的でないのであれば自分のための道具に他ならない。

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使いづらければ一部分を変えたらいいし、使っていくうちに肌に馴染んでくるものでもある。もし自分自身が変わったなら、家も次へ変わっていけばいい。それも、スケルトンごとでなくても、インフィルを丸ごと変えるという選択肢があっていい。



終わりに

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本書の中では、お弁当は家である 旅のカバンは家である
等興味深い話が盛りだくさんで、将来の理想のスケルトンーインフィルに思いを馳せながら、良い休日が過ごせました。


本書は無印良品出版&原研哉さんデザインの美しく素敵な内容の本です。なんと発売は12年前。全く色褪せない、どころか新鮮そのものでした。(そして中古はとっても安いですよ。。)


おすすめの一冊の紹介は以上です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。



杞憂

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