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【イベントレポート】ただ絵を描くだけじゃない。感性と向き合い、自分の創造性に出会う

COLOR Againは7月12日、二度目となるアート体験イベントを実施しました。今回は、前回イベントを体験してnoteを執筆したりょかちが、イベントの全体像をイベントレポートとして改めてご紹介します。

イベント後には、発起人である2人にインタビュー。COLOR Againの活動に込めた思いを聞きました。「COLOR Againってどんな活動をしているの?」「アート体験イベントって何をしているの?」「雰囲気を知りたい」という方は、まず読んでほしい内容です。

ときめきと自信をくれるコスメ。課題は「使い切れない」という常識

日々、人々の日常を彩っているコスメにも課題があります。

それは、「使い切れないことが当たり前になっている」こと。

株式会社モーンガータの調査(調査対象:5,423人)では、コスメを使い切れずに捨てる人は86.3%にものぼるそう。コスメの廃棄量は国内化粧品企業上位5社だけで年間2万トン。誰かを幸せにするために生まれてきた大量のコスメが、その役目を果たせないまま廃棄されているのが現状です。

COLOR Againは、コスメを色材に変える技術を持つモーンガータと、プロジェクトの社会的意義や広がりを生み出すエフアイシーシーが中心となり、様々な企業や業種の垣根を超えて、コスメが持つ課題解決に取り組むプロジェクト。企業や消費者が使いきれずに余らせてしまうコスメを、別のモノや体験へと生まれ変わらせることでコスメの利用率100%を目指します。

さらに、COLOR Againはコスメのアップサイクルにとどまらず、コスメが心にもたらす影響にも着目します。一人ひとりの中にある固定観念や既成概念よりも、自分にとっての豊かさに出会い、生活に取り入れていくことを軸とした活動を、様々な企業や個人の方と共創しています。

「コスメに本来宿っている創造性や自信の力で、社会によって色あせてしまった個人の色を取り戻す」

COLOR Againが目指すのは、一人ひとりの可能性や多様性を尊重し合える社会です。

COLOR Again statement

実際に、イベントに参加していた男性は、自分の使いきれなかったコスメを使ってアート体験をした女性たちを見て「女性が一人でこんなにコスメを持っているとは知らなかった。コスメは(ただ毎日同じものを着けるだけの)他のモノとは全く違う気持ちで使われているのだと気がついた」と話していました。

様々な切り口での活動を通し、コスメが抱える課題や本質的な価値を多くの人が知るきっかけもつくっています。

自分の心と体と向き合う。アートイベント体験レポート

2回目となる今回のアート体験イベントでは、前回と同じく「ワークショップ(冒頭と最後に一回ずつ)」「サウンドバス」「アート体験」が行われました。

前回、筆者は参加者としてイベント会場にいたので気づきませんでしたが、冒頭のワークショップから、初対面にも関わらず、真剣に自分の思いを共有する人達の姿が印象的でした。

「Encolor yourself !(自分自身で色を取り戻す)」という今回のイベントコンセプトを掲げたCOLORAgainに共感し、イベントに集った人たちだからこそ、成立した時間なのかもしれません。

ワークショップで心を開いたら、毎回多くの人が体験後に感動し、私も体験レポートにその素晴らしさを書いたサウンドバスがスタート。HIKOさんが奏でる音を浴びながら、改めて言葉を忘れて自分の心と向き合います。

サウンドバスで自分のイマジネーションを全力で感じた後は、いよいよアート体験。これまで何度も “ときめきや自信” をくれた愛用コスメで自由に描いていきます。

「そのコスメ可愛いですね!私も持ってました!」「その色素敵ですね」など、コスメをお互いに愛でる会話で溢れる会場内。

描かれたのは、「サウンドバスのときに見た砂漠」「サウンドバスで見えたヘビ」など、自由でイメージ豊かな作品ばかり。冒頭真っ白だったそれぞれのキャンパスが、全く異なる創造性で描かれたカラフルな絵でいっぱいになっていました。

絵を描いたあとは、自分が描いたものについて、周りの人たちにシェア。

「実際に肌に塗っていた時は薄いブルーだったアイシャドウが、絵具になると夜空の色になったんです」
「実際に絵具として使ってみて、改めてこのコスメの可愛さに出会い直しました。コスメとしてもう一度使ってみようかな」
「すごく楽しかった。アート体験だけではなく、事前にワークショップやサウンドバスをしたことで、自分の内なる感性をそのまま表現することができました」

参加者の声

ただ、コスメで絵を描くだけじゃない。イベントが終わった後には、参加者の皆さんのカラフルな発見と、思ってもみなかった自分の創造性との出会いに溢れた感想があふれていました。

COLOR Againが目指すものとは

(左より株式会社エフアイシーシー 伊藤真愛美、株式会社モーンガータ 田中寿典)

——今回はお二人にインタビューする時間をいただいてありがとうございます。イベントの冒頭でもお話されてましたが、再度、このプロジェクトをはじめたきっかけを教えてもらってもいいですか?

伊藤:私は2020年まで、化粧品のプロモーション企画を仕事にしていましたが、資源を大切にしなければならない現代において、商品が使い切られていないにも関わらず、販促だけにアプローチしている現状に違和感を感じていました。「売る」ことについつい注力しがちですが、「売った後」のことをもっと考えられないかと思っていたんです。

私はアートも好きなので、自分の課題感とアートを組み合わせられないか考えていた時、Twitterで田中さんがコスメを水溶性の絵具に変える『magic water』を開発されていると知って。すぐに声をかけさせてもらいました。

田中:僕はもともと化粧品メーカーで働いていたので、コスメの作り手として自分が一生懸命作ったものを使い切ってもらえない悲しさがありました。開発職時代は、使い続けるのが楽しくなるコスメも開発したのですが、もっと違うアプローチができないかと思ってつくったのが、『magic water』だったんです。

——田中さんの会社である株式会社モーンガータは、コスメを色材に変える技術を活用して、様々な活動をされていますよね。その中で「COLOR Again」の特異性、気に入っている部分があれば教えて下さい。

田中:COLOR Againは、プロダクトアウトでもマーケットインでもなく “イシューイン”なんです。コスメが抱えている課題を作り手と消費者の両方の視点から考えている。一方で、コスメの価値に関しては、経済的価値と社会的価値の両面から捉えています。だから、コスメの本質的価値である「ときめきや自信をもらえる」「楽しい」って気持ちが沸き上がってくる活動ばかりになっているんだと思いますね。

——COLOR Againの活動の中でこだわっている部分はありますか?

伊藤:COLOR Againのビジョンに共感してくれる企業や団体・個人の皆様と活動に取り組むことを大事にしています。そうでなければ、企業の表面的なブランディングに私たちの活動が利用されてしまう恐れがある。COLOR Againは、特定の企業のためにあるのではなく、業界全体が目を背けることができない課題に向き合っています。直接的に商品に携わる企業ではない私たちから生まれた純粋な気持ちや、フラットな視点を大事にするために、この方針は守るようにしていますね。

——今回2回目のイベント参加を経て、改めてワークショップやサウンドバスが行われているのが素晴らしいなと思いました。ただコスメをアートとして楽しむというだけではなく、コスメが持つ本質的な価値である、自分の創造性を刺激してくれるようなイベントになっていますよね。

伊藤:アート体験をする前にワークショップやサウンドバスを経験してもらうことで、「○○に所属しています」「○○の仕事をしています」といったような肩書きから解放されて、自分の一個人としての感性に向き合えると思っているんですよね。HIKOさんのサウンドバスのおかげで、COLOR Againの意味にも込めた「自分自身を取り戻そう」「自分と向き合う時間をつくる」ということが実現できていると思います。

田中:自分のコスメを使って絵を描く事自体が、自分と向き合うことでもありますよね。

伊藤:自分のコスメで絵を描いてワークショップをして、自分や「自分の意志による選択」に向き合うことが、コスメの外的な “装いをつくる” という価値だけでなく、内面に与える影響に気づくきっかけになるのではないかと思っています。

——ありがとうございます。最後に、今後はどんなことをCOLOR Againで実施していくんでしょうか?

田中さん:COLOR Againの認知度をどんどんあげていきたいですね。そのためにも、もっと汎用的に使える商品の開発に取り組みたいです。最終的には、自分の周りにある彩りが、コスメから生まれていることが当たり前になってほしいです。

伊藤:参加型の展示や、化粧品の存在意義を考えるイベントなど、やりたいことはたくさんあります。イベントはもちろんですが、化粧品業界の垣根を超えた取り組みとしてサプライチェーンやバリューチェーンにも、関わっていきたいですね。

COLOR Againに触れて気づく、自分の中にある彩り

今回イベントに再び参加し、レポートを作成することで、参加者の皆さんが普段の “周りから期待される姿” から解き放たれて、自分の感性を自由に描いている姿を見ることができました。

参加者の皆さんが、子供のように目を輝かせながら絵を描き、その絵について語る姿に、こちらもワクワクしてくる。これからも多くの人に、言葉からも解放されて、自分の感性に身を委ねる、このアート体験をしてほしいと改めて思っています。

前回の私を含めて、イベントの後に「コスメの彩りはやっぱり可愛くて美しい」と感じた方は多いでしょう。しかしその思いだけではなく、「私達が持つカラフルな個性や創造性といった彩りって、こんなに楽しくて美しかったんだ」という思いを抱いた人もきっと沢山いたのではないでしょうか。

COLOR Againの活動に触れること。それによって出会えるのは、化粧品業界が抱える課題に関する知識だけではありません。コスメが本来持っている “ときめきと自信” をくれる価値の再発見だけでもない。きっと、自分の中に眠っているカラフルなパワーにも、出会えるきっかけになるはずです。

次回イベント参加者募集中

今回のイベントのオンライン開催が決定しました。会場に行きづらい皆様や、おうちでゆったり自分と向き合ってみたい皆様は是非この機会にご参加ください。参加申込は8月2日まで。詳細はリンクを御覧ください。

<概要>
クリスタルボウルを始め様々な楽器から奏でられる音に心と身体を委ねることで深い瞑想へと導くサウンドバスで自分の心と向き合い感じたことを、コスメを色材に変える魔法の水「magic water」を用いて表現することで、固定観念からの解放を目指す取り組みです。
COLOR Againの体験をご自宅でもお楽しみいただける機会をご用意いたしましたので、ぜひこの機会にお楽しみ下さい。


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