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Collable周年祭に参加して改め感じた、インクルーシブデザインの重要性【後編】

寄稿していただいた周年祭イベントレポートを連続で載せていきます!
今回はイベントの後半「おとなと多様性」についてです!
前編はこちら、中編はこちらから!

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目次
1.Collableさんについて 
2.インクルーシブデザインとは
3.今回のイベントについて 
└概要
└タイムスケジュール別レポート
 17:00 開場、受付スタート
 17:30 オープニングトーク
 18:15 スペシャルトーク session.1
 「こどもと多様性:学校でつくる遊びと関係性」
 19:00 スペシャルトーク session.2 ←今回はここ
 「おとなと多様性:インクルーシブデザインのこれからの可能性を語る」
   ・彼らが語るインクルーシブデザインとは
   ・インクルーシブデザインと混同して考えられがちな言葉との比較
   ・インクルーシブデザイン事例
4.参加してみての感想


19:00~ スペシャルトーク session.2
おとなと多様性:インクルーシブデザインのこれからの可能性を語る」

▲京都大学総合博物館准教授の塩瀬隆之さん

Session.2では、インクルーシブデザインについて最前線で研究されている、京都大学の塩瀬先生とCollable代表の山田さんの対談が行われました。

はじめに、混同されて考えられるワードと比較してインクルーシブデザインについて教えて頂きました。

例えばバリアフリーデザイン。障害のある人やその他特別なニーズのある人たちのための特別なデザインは「バリアフリー」と呼ばれることが多いですよね。

そしてユニバーサルデザイン。「誰かのため」と限定せず、多くの人が使うためのデザインとして、対象が広がります。

そしてインクルーシブデザイン。インクルーシブデザインはマイノリティの眼差しからスタートして、そこからより多くの人に届くアイデア・デザインを考えます。

しかしどれも共通する理念は「みんなのためのデザイン」という考え方。dれが良い悪いという話ではなく、プロセスやあり方が異なっているだけに過ぎません。

また、インクルーシブデザインがもたらす可能性を、多くの事例からご紹介いただきましたが、特に印象的だった理科の授業の事例をあげたいと思います。それは「理科の授業で、見えない人にも衛星の大きさを説明する」という事例について。間々田先生という、視覚支援学校の先生が開発した教材の事例です。

視覚に障害のある人と一緒に理科の授業行うとき、口頭説明と板書だけでは星の大きさは理解しづらい。そのため、1ミリ、3ミリ、30ミリの玉を用意し、触ることで大きさの比較をする。一方、目が見えている人は知っているつもりになってしまっていることが多いので、大きさの比較を聞かれても「太陽は一番大きい」と曖昧な表現で表してしまう。だからこそ、一緒に触ってみることで、全員が大きさの違いを知ることができるというもの。本来は見えない人たちに惑星の大きさを触覚的に伝える目的の教材ですが、結果としてより多くの人たちの学習を支援できるかたちになっています。

様々な事例を俯瞰しながら、塩瀬さんと山田さんが語るインクルーシブデザインの話になりました。手法や事例についてたくさんの話がありましたが、結局のところインクルーシブデザインとは「物の作り方」ではなく、「社会が変わること」だといいます。世の中に出てくるインクルーシブデザイン事例は、確かになにかモノのデザインにどうしても着地します。しかし大切なことは、そのデザインが生まれたとき、どう環境が変わって、関係が生まれていくのか、ということ。

障がいのある方を英語で表記すると「disable person」ではなく「disabeled person」。周りの環境が整っていないが故に「出来なくさせられている人」という考え方が言葉にも宿っています。

何かができない理由はその人にあるのではなく、社会にある。だから、インクルーシブデザインは社会を変えていく、社会をデザインしていくという考え方が大事なのです。

他にもたくさんご紹介したいのですが、書ききれないので一部のご紹介でした!

4、参加してみての感想

私はこれまでにCollableのインクルーシブデザインワークショップに参加させていただきましたが、今回ほど多様な意見を学ぶことができた日はありませんでした。

多様性という同じ目的をもっていたとしても、インクルーシブなデザイン手法を知っているかどうかで成果物がこんなにも違うのか、と改めて感じさせられました。

Collableは周年祭以外にもインクルーシブデザインに関するワークショップや勉強会を開催されています。商品開発にも生かせる考え方のため、具体的に知りたくなった方はこちらから問い合わせをお願いいたします。

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と、ここまで3編の長編でお送りしました。さがみちゃん(と山田は呼んでいます)が熱量たっぷりの記事を送ってくださり、その気持ちが本当に嬉しく思いました。

さがみちゃんにお願いしたいと思ったのは、毎回たくさん自分で考えながら手を動かして、いつも自ら学びを深めようとしてくれている姿勢が、「何か彼女と一緒にできないかな」と思わせてくれました。

会うたび会うたびにわたしたちとインクルーシブデザイン的面白さを共有できる仲間のような存在になってくださり、今回お願いする運びとなりました。

文字にするとおそらく書ききれない面白さがあったのですが、字数に限りもありますので、今回は少しだけ垣間見える記事になったらと思っています。きっと来年も、周年祭を開催しますので、またぜひ遊びにいらしてくださいね!(山田小百合)

コラム執筆:相模 和恵 編集:栗野紗也華・山田小百合 撮影:加藤甫

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