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コスチュームジュエリー展で心を洗ってきた

美しいものを求めて京都まで

京都文化博物館で開催中の特別展「コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより」を観に行ってきた。

ここのところ、気分がふさぐ出来事が立て続けに起こっていた。なーんでこんな状況になっちゃうんだろうねえ。そう思うことが多かった。

ならば! 美しいものを観に行くのだ!

まず形から入る私。

コスチュームジュエリーっぽいものを……と思い、手持ちアクセサリーのなかからJacqueline Singhジャクリーヌ・シンのピアスを選んだ。

淡いコーラルピンクです。

東京で働いていた頃、伊勢丹で購入したもの。その後、ジャクリーヌ・シンは国内での取り扱いをすっかり見かけなくなった。なので、お揃いのネックレスとともに大切に使っている。

これを着けて、いざ。

京都文化博物館にくるのは3回目、かな?
毎回、駅の出口を間違えてしまいます(私のせい)。
そして別館から入ってしまうという……。

コスチュームジュエリーとは

貴金属(金やプラチナなど)、天然の宝石を使ったジュエリーをファインジュエリーと呼ぶ。対して、貴金属や宝石ではない素材を使用してつくられたジュエリーは「コスチュームジュエリー」と呼ばれるそう。

その先駆者が、ポール・ポワレ。女性をコルセットから解放したと言われるデザイナーだ。さらにシャネルスキャパレッリ、ディオールなどが続く。イミテーション素材ならではの自由さ、デザインの多様さが多くの女性に支持され、コスチュームジュエリーはジュエリーの一分野として大きく発展した。

メッキや金張りパーツに人造パールや樹脂、ガラスなど、素材はさまざま。ファッションパーツとして、洋服に合ったデザイン性が最重要視されるとか。そのため、ブランドの精神や美学を映した作品も多い。

華やかなデザイン、優雅な装飾に見惚れる

会場内に展示されたコスチュームジュエリーの総数は約450点。草創期から成熟期までの作品が揃う。

すべてコスチュームジュエリーコレクター、研究家である小瀧千佐子氏のコレクションだそうだ。

ケースに陳列されたコスチュームジュエリーたちはどれも大胆なデザインで、装飾性も豊か。観ていて楽しい。

たとえば、色鮮やかなクリスタルガラスが連なる、優雅なネックレス。鎖骨から下を広く覆うその形状ゆえ、ビブネックレスという名がついているとはじめて知った。

どんな女性のデコルテを飾ることを想定してつくられたのだろうと思うと、わくわくする。

シャネルに作品を提供していたことで知られる名門メーカー、メゾン・グリポワのカメリア(椿)モチーフも素敵だった。

ほかにも花々はもちろん、松かさやえんどう豆など、ユニークなモチーフづかいにデザイナーの自由さとちゃめっ気を感じるジュエリーがたくさん観られた。

戦後、コスチュームジュエリーはさらに自由に美しく

第二次世界大戦後のスキャパレッリの作品群は、エレガンスとモダンさが融合した印象で、目を奪われる華やかさ。

また、大粒のカボションガラスがふんだんにあしらわれたダミアン・シュラーのネックレス。着けたらさぞ気分が高揚するだろうなあ。

ヨーロッパで誕生したコスチュームジュエリーはアメリカに渡り、また趣の違った作品たちを数多く生んだようだ。一部、サイケ味やエスニック味をおびたものも見られた。アメリカンコスチュームジュエリーと言ってもいい独自のセンスが感じられ、楽しかった。

アメリカのコスチュームジュエリーブランド、トリファリケネス・ジェイ・レーンの展示にもうっとり。より自由に、美しく進化した世界が広がっていた。

わくわく、うっとり、うきうき。輝く小さな品々を愛する者にとっては至福のときが過ぎていった。

コスチュームジュエリーの精神に触れて

コスチュームジュエリーは自由を求める女性たちの心を牽引する存在でもあっただろうと思う。

デザイン性、ファッション性を重視していることから、着ける人のセンスをよく表す。自己表現のためのアイテムとしても愛されてきたはずだ。

上流階級のみが手にできるファインジュエリーではなく、みずからの個性を表すコスチュームジュエリーを愛した女性たち。そういう女性たちがいたからこそ、現代の私たちはファッションを思い思いに楽しめるようになった。

なにで自分を飾るか、または飾らないかを決めることは、生き方を決めることでもあると思う。

ジュエリーの世界に新しい風を呼びこんだ「変革者たち」は展示で取り上げられたデザイナーたちであり、コスチュームジュエリーを選んだ女性たちでもあった気がする。

美しいものが心の濁りを払ってくれた

京都に着くまでの電車内では、どよーんとした気分を引きずっていた。

それが、コスチュームジュエリーの美しさを堪能してすっきりと心が晴れた。胸のなかに沈殿していたにごりが、ジュエリーの輝きとともに昇華したような感じ。

「行ってよかった!」のひと言に尽きる特別展だった。もう一度行きたいほど。

京都文化博物館での展示は2024年4月14日(日)まで。その後は愛知県、栃木県、北海道への巡回展示が予定されているとのこと。

みなさんも、ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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