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なぜ人事評価は曖昧か?

 会社の仕組み

 社会人になって一番驚いているのは、こんなにも人事評価がいい加減かということ。これを長い時間かけて自分なりに考察したので、こちらに書こうと思う。

 そもそも会社というのは、人事評価をつけることで給料が上がる仕組みとなっている。そのため、会社としては人件費が膨張しすぎないように経営的に経費全体に対しておおよその人件費の割合が決まっている。そのため評価され昇給できる人数というのは自ずから決まってくる。それを会社全体で算出し、各部門に落としていくと今年は○○人が評定が上がって、昇進できるという具合になる。

 じゃあ各部門で評定をつける時にどうするかというと、各課の管理職が話し合いをして決めるということ。表向きは評価表があって、勤務評定としての点数がいくつ、何をやってどんな成果をあげたかという風になっているが、それは表向きの言い訳に使うだけで、裏ではその数字を使って管理職間の政治的な争いの一つに使われるだけなのだ。

 若くして出世したやる気のある管理職は、自分と同じように若手抜擢方針で若手にチャンスを回す人もいる。そうすることで、職場で若手に活気が生まれ、課としての成果に繋がる。そういういい循環だと、お前の課をフォローしたから、評定は俺のいうことを聞けという風になって評定を獲得でき、良い循環が生まれる。

 逆に年功序列で年齢が上がって自動的に管理職になった人だと、やる気が無いので、いろんなところでその課は失点が生まれる。その落ち度を埋めるために、評定では譲るから、今後もよろしくねという風になる。そうすることで、若手もやる気がなくなり、ともすれば辞めていき、どんどん課としては弱くなって、他の課からやりたい放題となってしまう。

 なぜこんなひどいことになっているかというと、人事評価に人の感情が入ることが大前提となっている日本企業そのものの欠陥がこの結果を導き出している。

 失敗の本質

 じゃあなぜそれが起こるのか?それが長い疑問であったが、いろんな本を読んでいくうちになるほどねという風に感じてきた。その本の名前が名著である「失敗の本質」である。この本は、太平洋戦争で日本軍が敗れた理由を米軍との物量の差だけでなく、組織的な違いがあったからだという考えて、考察して書かれた本である。まだ読んだことが無い人はお勧めしたい。またこの本の解説書として「 「超」入門失敗の本質 

という本がわかりやすく書かれているので、こちらもお勧めしたい。

 米軍と日本軍との違い

 失敗の本質に書いてる組織論はこうだ。米軍は人事・評価に人の感情が入り込まない仕組みとなっている。そのため選抜試験(昇進試験)に

①選ばれた人はその結果に自信を持ってリーダーシップを持って戦う

②選ばれなかった人は、次に選ばれるように努力をする。

といういい流れとなっている。また作戦で結果が失敗に終わった人に関しては、感情が入り込む余地がなく、機械的に首になる。これは現在のアメリカ企業では今も続いている。失敗すれば首になるから、みんな努力する。そのためにアメリカ企業では雇用契約時にあなたの成果はこれですとしっかり規定されているし、面談で年3ー4回行い、都度、管理職との意識合わせが行われている。これの弱点としては、本人が悪くなくても、失敗が起こればその責任を問われるというもの。日本の社会では考えられない。

 一方、日本軍は、思いや気持ちや人間関係、また年功序列が重要視されていた。日本軍の場合は結果よりプロセスが重要視される。そうすることでやる気さえ見せていれば失敗しても責任は問われない組織となり、保身と無責任が蔓延した組織となっていった。これは今の日本企業そのものだと感じませんか?日本企業の評価プロセスも人間関係や年功序列で決まり、失敗しても責任は問われない。つまり終身雇用を表しています。年功序列や終身雇用は終わったと言われますが、日本の企業の大部分はそのままの形で残っているのが実情です。採用面接では、学生時代にどう頑張ったかのプロセスを説明するのが大事とか言われますよね。入社前から日本的な発想で採用しているのです。

じゃあどうするか?

 日本企業で働いている限り、100年前から残っている伝統的な人事制度はそう簡単には治らないでしょう。日本軍の思考はいまだに日本企業のあちらこちらに生き残っているのです。治らないものを個人が戦っても無駄であり、個人として組織から攻撃されるでしょう。それならば、その流れに従うしかないと思います。ただ従うだけではダメで、日本の伝統的な文化である年功序列・終身雇用を理解した上で働くことが、重要になります。頑張れば評価されるという夢物語を持たずに日本企業はこんなもんよと思えば気が楽になります。その上で、自己実現を達成するためにその組織文化を逆手に取る行動が重要になると思います。

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