保管場所。

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o川*゚ー゚)oストロベリー・カルテットのようです

 食べちゃいたいくらい可愛い女の子をね、食べたいの。  それはまた突飛なお願いごとだな。  具体的に言うなら食べれるようになりたいわ。  それじゃあ君が化け物になってしまうよ。  なら、それが当然のような世界に行きたい。  残念ながら世界は一つしかないんだ。ごめんね。  そんな、謝ることじゃないわ。  これはただの夢物語なんだってことくらい、知ってるもの。  待って、違うんだ。  謝ったのはそうじゃない、僕は叶えられないなんて言わない。  え?  それに、夢

    • 「星(わたし)に願いを」(前編)

      こつこつ、と音がした。 ベッドに腰掛けて、音楽ラジオを流し聞きしていたリコは反射的に音のした方向へ顔を向ける。 そちらは、窓だ。 もちろんなんの変哲もない。 気のせいかな、と思うともう一度音が鳴った。 「誰かいるの?」 問いかけて、リコはあれ、と首をひねる。 夜も深い、こんな時間に窓を叩くのは誰だろう――いや、そもそも。 リコの部屋は2階だ。 庭に幾つか木はあれど、窓に直接繋がるような場所には無かったはず。 なら、なら、窓を叩くということはそもそもあり得ないというこ

      • 湖面月華とほうき星

        「花の魔法使い?」 「まだ、見習いの称号しか持ってないんですけどね」 森の奥、小さな湖のほとりで、二人の少女は水面の月を眺めながらぽつぽつと話していた。 彼女達の周りには不自然なほど花が咲き、注意して見てみれば雑多な植物が今もなお二人を囲うように生えてきているのがわかる。 「綺麗だね」 一人がその内の一輪に手を伸ばし、優しくなでながらそう言うと、もう一人は表情を曇らせた。 「私には、なんだか、不気味に思えます」 「ユメコの魔法なのに?」 「こんなのは魔力暴走の結

        • 棲まう者

          「なあ、お前は何者だい?」 「さあ? 少なくとも、少年とも少女ともつかない化物に名乗る名は持ち合わせちゃいないな」 ランドラはそう言い放ちつつ、ゼロを待たせておいて正解だったと内心安堵していた。 嫌な気配を感じて来てみれば、とんだやぶ蛇だ。 肉の削げ落ちたような肢体と木漏れ日に照らされる真白の髪。 ニタニタと嗤う口元とは対照的に、こちらを射殺さんばかりの瞳は一度として瞬きをしない。 人間では、ない。 疑いないと彼の本能が告げていた。 「お前は運が良い。今日の僕は、少

        o川*゚ー゚)oストロベリー・カルテットのようです

          居候の友人

          「すごい、同年代の男の子の部屋なんて新鮮だわ! ねえねえ、私知ってるのよ? ベットの下には宝物があるのでしょ」 お友達に教えてもらったの、と胸を張る紗良に星(ショウ)は苦笑いを浮かべた。 もう少し緊張してくれてもいいんだケド、なんて思いつつも居候がいつの間にか作ってきた世間知らずの友人は、なかなかどうして面白い。 「そんな偏った情報どこで手に入れてくるのさ。いや、あながち間違っちゃいないんだけど」 「ほら! 見つけたわ!」 「……へ? ってそれただの道具箱だよね、もは

          居候の友人

          月下美人

          「寂しく、ないの?」 「あら、どうしてかしら」 ほたるは言いにくそうに俯いて、それでも確かに言葉を紡ぐ。 「ここはまるで闇の底みたい。こうして立っているだけで、おいてけぼりにされたような気分になるんだ」 彼女の世界は、誰もいない夜の街。 誰かがふらりと訪れることこそあれ、自ら賑わうことは決してない。 それは永遠にも思える夢の中のようで、その実それそのものだったから。 「ねえ、あなた」 豊かな黒髪が闇の中でなお艶めく。 月下さんが悪戯っぽい微笑みを浮かべると、右目の

          月下美人