棲まう者



「なあ、お前は何者だい?」

「さあ? 少なくとも、少年とも少女ともつかない化物に名乗る名は持ち合わせちゃいないな」

ランドラはそう言い放ちつつ、ゼロを待たせておいて正解だったと内心安堵していた。
嫌な気配を感じて来てみれば、とんだやぶ蛇だ。

肉の削げ落ちたような肢体と木漏れ日に照らされる真白の髪。
ニタニタと嗤う口元とは対照的に、こちらを射殺さんばかりの瞳は一度として瞬きをしない。

人間では、ない。
疑いないと彼の本能が告げていた。

「お前は運が良い。今日の僕は、少々虫の居所が悪くてね」

ざわりと肌が粟立つ。
ここまであからさまな殺気、早々向けられることもないだろう。

「それのどこが良いんだか」

「すぐ楽になれる、という点においてかな」

木の葉が舞う。

「言ってろ」

交錯の瞬間、ランドラもまた化物染みた、その実化物そのものの笑みを浮かべて、吐き捨てた。


#リプ来たうちの子とよその子で今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一シーンを書く

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