長女と一緒に、息子の学校祭へ行く
暑くもなく寒くもなく、外にいるのが心地よい秋晴れが、爽やかに続いている。
そんな穏やかな日曜日、久しぶりに長女と2人でお出かけした。
目的地は息子の通う高専だ。
学校祭での彼らのステージ発表が観たくて、長女を誘ったのだった。
息子のステージが楽しみで、長女と出かけられるのが嬉しくて、私は数日前からワクワクしていた。
4年前、息子が高専1年生の時も、長女と2人で学校祭へ行った。
その時は初めてで、どんな規模の学校祭かもわからず、ぶらぶらと飲食コーナーをまわったり、校内の展示を見たりして、難易度の高い研究発表や盛大な企画にびっくりした。
部活の模擬店のテント下で、必死に唐揚げを揚げている息子を見つけ、遠くから手を振ったら、彼はニコニコしたまま下を向いた。
恥ずかしいから近づくな、っていうサインだと思って、その日は彼の働きぶりを隠し撮りして、満足することにした。
野外ステージでは、毎年最後に、5年生が各クラスの出し物のようなことをする。
5年生と言えば、20歳。
当時16歳の息子たちと比べると、もうすっかり大人に見える。
体も大きく、女性はお化粧もバッチリで、小学1年生と5年生の差、みたいなものをしみじみと感じた。
どのクラスもクオリティの高いダンスが繰り広げられ、衣装も凝っている。
会場は大いに盛り上がって、かなり見応えがあった。
唐揚げを揚げている息子も、5年生になったらあんなステージをやるんだろうか、と、心配になったのを覚えている。
その後、コロナ禍に突入し、2年間は学校祭も中止だった。
昨年から外部を入れずに学生だけの学校祭が再開し、いよいよ今年は、例年通りの規模の学校祭が復活した。
息子たちのラストステージを、私たち保護者も観に行けることになったのだ。
*****
学校へ向かう途中で、私と長女は大人気のサンドイッチ店に並んで入り、念願のオシャレすぎるランチを食べた。
娘たち夫婦の近況をいろいろ聞いたり、なんでもないような話をしたり。
コロコロとよく笑う長女が幸せそうで、なんとも幸せな時間を過ごした。
店を出たあと、水を買いに娘とコンビニに寄った。
私たちは美味しくランチを食べたけれど、息子たちは昼ごはんを食べ損ねているだろうな、と陳列棚のおにぎりを見てふっと思った。
彼の好きな昆布のおにぎりをかごに入れる。
さらに4個、かごにいれた。
クラス全員分っていうほどおにぎりも棚に無いし、渡せるかどうかもわからないので、ほどよい数を購入する。
レジ袋におにぎりを入れていると、娘に「アホなの?」って笑われた。
「母親ってこういうもんなんだよ。」って言いながら、大事におにぎりたちを持って、高専へ向かった。
野外ステージの前は、すでに大勢の観客でざわざわしていた。
息子たち5年生は準備や着替えをしているのか、姿は見えなかった。
なるべく日陰になる場所を陣取り、息子たちの晴れ舞台のスタートを待つ。
大音量の音楽と同時に、最初のクラスのステージが始まった。
観客はみんな地面に座り込むので、私たちも慌ててアスファルトの上で体育座りをした。
ひとクラスの持ち時間は20分くらい。
次から次へ、流行りの曲に合わせて、さまざまな衣装で学生たちが踊りまくる。
ほとんど、男子だ。
きれいな女の子になって、足もツルツルにして、スカートをはいて、弾けまくっている。
そのパワーがすごい。
観客も、手拍子やコールが止まない。
そうしていよいよ、息子たちのクラスのステージが始まった。
息子は、ロングヘアでぱっちりお目目の女の子になって登場した。
あらまぁ、なんと、可愛らしいこと!
すぐ近くまで行って、かぶり付いて見たいけど、それは恥ずかしいし、息子にも嫌われてしまうし。
遠くからズームで動画を撮りながら、スマホ越しではない自分の目でも彼らが見たくて、画面から視線を外して、ステージをじっくりと見つめた。
不思議なことに、お会いしたこともないのに、息子から聞いたことがある名前の子たちが、全員ちゃんとわかる。
5年間って、そのくらい濃いのだな、と思う。
みんな可愛いなぁ。
全員が自分の子みたいな気持ちになる。
早着替えのあとで、息子はSnow Manのブラザービートを踊り始めた。
めちゃくちゃ上手いやん!
みんな、かっこいいやん!
青春やん!
彼らのステージを観られて、本当によかった。
全部のクラス発表が終わり、あぁ、息子の高専生活も、もうすぐ終わるんだなぁってしみじみと思った。
結局その日、息子とは会えず。
おにぎりも渡せないまま、持ち帰って長女と分けた。
打ち上げで焼肉を食べて帰ってきた息子は、アイシャドウがきれいに拭きとれていなくて、オレンジ色のまぶたをしている。
メンズよ、やっぱりお構いなしだな、と、クスッと笑えた。
「お昼を食べられなかっただろうと思ってさ。おにぎりを差し入れしようと買ったんだけど、会えなかったね。何個買ったらいいかわからなくて、Snow Manの人数分の8個買ったんだよ。」
と言うと。
「Snow Manは9人やけどね。」
と、息子に笑われた。
あらら…たしかに。
『今日も明日もこんがらがっちゃう🎵』
と歌いながら、踊りたい気分だよ。
でも、久しぶりに食べたコンビニの昆布のおにぎりが美味しかったから、結果オーライだな、と思うことにした。
娘ともお出かけができて、息子たちのキラキラした姿も見られて、母はとても幸せな1日でした。
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