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【ライブレポート】[Alexandros]「AREATORIC ARENA 4 DAYS」日本武道館ファイナル 2021.10.27

6月から4ヶ月続いたツアーも早くもファイナル。この日の座席はアリーナAブロック上手側。

昨日とセットリストはほとんど一緒だが、2階席からは視点や感じ方も見え方も大きく違っており、また昨日スピーカーで演出が見えなかった部分もあるため演出に関してはファイナルであるこちらの記事の方が詳しく書けているかもしれないことを前置きする。

↓1日目のライブレポート

ライブレポート

照明が落ちるなり暗闇の中登場すると、1曲目からオリジナルのインスト曲で開始、スクリーンに映し出されたトマトから満月に変わるとそのまま「ムーンソング」で幕開け。

昨日は楽曲の持つ神秘さに「明鏡止水のような気持ちになった」と書いたが、会場の真ん中であるアリーナ席で聴く「ムーンソング」は真逆で、その空気を作る中心部である心臓や骨に触っているようで、神秘さよりも音楽を鳴らす生命力の方が強く感じだ。

直後はスピーカーの音がズシンとなるように始まったのは「RunAway」、軽く挨拶を挟み「FISH TACOS PARTY」ではスクリーンに煉瓦の壁に”FISH TACOS”と書かれたネオンサインが浮かび上がる。

スクリーンのネオンが「Are You Ready?」に変わる。ここでこの3曲は準備運動だったのかと納得、ワイルドに「Beast」を炎と共に鳴らし、とここから昨日と変更し「GirlA」「アルペジオ」を演奏。

チルアウトタイムの「Thunder」では、家具が水に溺れるような映像をバックに「Swan」を瑞々しく歌い上げる。

洋平さんがアコギを持ったまま「city」「Waitress,Waitress!」「spy」「空と青」を一通りワンフレーズだけ弾き「一昨日誕生日だったリアドに」とリアドへ1フレーズ演奏。そして先日解禁されたセンタクプロジェクトのCMソングを1番だけ披露した後に「拍手は無しでいいです、昨日言葉を間違えちゃったんだけど」と歌い出したのは和訳した歌詞を背に歌い出した「Travel」をアコースティックバージョンで演奏。

ライブに行く日によってメンタルのコンディションが違うため、グッと来る曲や全身に染み渡る曲というのはその日のライブによって違う。

「Travel」は個人的に大好きな曲で、ヒロさんが「バンドを組まないかと誘われた時「洋平が作った曲が素直にいい曲だと思ったから加入した」というエピソードをよく話しているが、この曲を聴くとヒロさんが「素直にいい曲」と思った感覚に近いのかもしれないとよく思う。

人生は旅である。そしてコロナで旅行も気軽に旅行がしづらくなった今、この曲は今まで以上にとても染みるのだと思う。

洋平「改めまして[Alexandros]です、武道館ファイナル来てくれてありがとう!武道館はワンマンで3回目で意外と回数は少ないんだけど、個人的には客でボーイズツーメンとノエル・ギャラガーのライブできた事あって。ノエルのライブにまーくんと一緒に行って2人で肩組んで歌った(Don't Look Back In Anger)のを覚えてます。もうその時はデビューしてたと思うけど、まーくん覚えてる?」

まーくん「今思い出しました。」

(客爆笑)

洋平「ヒロもリアドもTシャツなのに1人だけスノボ帰りみたいなパーカー昨日から着てるよね、暑くないの?」

まーくん「うーん、そんなに暑くない。」

洋平「そうそう、まーくん武道館やるまで喋らないとかやってたよね。」

まーくん「武道館やるまではMCをしないとかライブでは無口を貫いてきて、いざ武道館やるとなった時、前日風呂で喋る練習してましたね。何喋ろうか考えたり。次もこういうことしたいな。やらないとか、やるとか、東京ドームでライブやったら次は犬飼うとか」

ヒロ「そしたら早いうちに実現させましょう」

まーくん「そうだね、続けて横アリ(本当はライブハウスツアーから歌っている)からの恒例なんですけど歌います」

Blankey Jet Cityの「赤いタンバリン」をカバーした後は「You Drive Me Crazy Girl but I Don’t Like You」」

回るミラーボールが武道館に星空を作る「月色ホライズン」では同じく間奏でメンバー紹介。
リアドさんには「新しい仲間で一番歳下でいいやつ」とドラムソロ、ヒロさんには「大学の時からの腐れ縁」とベースソロ、まーくんは「高校からの大親友」とメタリカ風のギターソロ、最後に「愛するメガネ、タンバリンたまに鍵盤」とロゼと紹介するなりキーボードソロを、最後に「この仲間を引き連れてきたのは俺!」と洋平さんが楽器ソロを披露するメンバーと対照的にフリーハンドの仁王立ち。

直後「Philosophy」を演奏、この曲を客席で歌えていたのはおそらく九州ツアーが最後だろうなとふと思い出す。

ライブハウスツアー同様「This is Teegnage」「Starrrrrrr」「風になって」を巧みで秀逸な曲繋ぎで爽やかに沸かす。

この曲繋ぎはライブハウスツアーからのお決まりで、ツアーに行った後「閃光のハサウェイ 」を見に行ったのだが、上記の記事に書いたようにこの3曲の繋ぎは「[Alexandros]のツアーは「閃光のハサウェイ」へのリスペクトでもあった」と思っている。

「This is Teenage」=冒頭シャトル内でのセリフ
「Starrrrrrr」=宇宙に出た時の星空
「風になって」=靡くギギの金髪や戦闘時の爆風

「閃光のハサウェイ」を観た後から考えると、不思議とタイトルから「ガンダム」を連想させる曲が連なる。

そう思うのは個人の勝手で、実際彼らが裏話として話していたわけではないがどうもそう思ってしまう。

そんな「ハサウェイへのリスペクトかな?」と思った後に「閃光」は寒色を中心にしたライティングがより一層ガンダムの世界を連想させる。昨日同様、ゲストにギタリストを招き洋平さんがボーカルに専念。続けて「Kick&Spin」ではライブハウスのような白熱の武道館にし、「PARTY IS OVER」ではサビで銀吹雪が舞い、華やかに本編が終了。

スクリーンに映し出された文字が「PARTY IS NOT OVER」に変わると颯爽と再登場しアンコール、「あまりにも素敵な夜だから」を演奏。

洋平「アンコールありがとう、最高です、帰りたくないな。また声を出せたりするライブがすぐ来ると思っています。だからもう少しだけマスクして声を出さないように、あとちょっとだから我慢しよう。そして約半年のツアーを支えてくれた音響や照明さん、全てのスタッフさんに大きな拍手を。全員ステージにあげたいけどみんなシャイなんで...」

ヒロ「大変なことになるよ(笑)数百人とかになる。」

洋平「入り口で警備している人とか含めると凄い人数ですから。未来はすぐそこだと思ってます、これからも主催者側として歌えてリフトやモッシュやダイブが出来るライブも提供していきたい。」

常に未来を見据えるバンドが歌う「ワタリドリ」は掲げられた武道館内の日の丸の国旗が風に靡くように伸びやかに、残すはラスト1曲「未来で会いましょう」と言い残し新曲「Rock the world」で彼らは武道館を後にした。

客電が付きツアーファイナルもこれで終了...

かと思いきや、名残惜しかったのか洋平さんだけ再登場。場内BGMの「かえりみち」に被せて生歌を歌うサプライズで静かに沸かせた。

「ありがとうございました、また会いましょう」と観客に見守られながらステージを本当に最後にした。

映し出されたQRコードには来年公開のオリジナルアニメ映画「グッドバイ、ドン・グリーズ」の主題歌担当の告知が解禁。声優は「東京喰種」「鬼滅の刃」などの歴史的ヒット作の主人公を担当した花江夏樹さんなど豪華声優陣が勢揃いの期待作だ。

江ノ島には龍神伝説があり、大昔鎌倉に住み着いていた龍の素行の悪さに鎌倉一帯に住む人々が困り果てていたところ、突如現れた島に天女が降臨した。その島が現在の江ノ島である。一方龍は、天女の美しさに一目惚れし結婚を申し込むも、素行の悪さを理由に断られてしまう。龍は天女に振り向いてもらうため改心、津波や台風など人々を災害から守り結婚することが出来たが、災害から人々を守るたびに龍は衰えていった。龍は命尽きる前にこのまま人々を守りたいと自ら山になり今でも人々を守っている、という伝説が一番有名だ。

江ノ島の伝説は関係無いことは関係ないのだが、災害から人々を守ったという”力強さ”の点を強調したくて書いた。後半の怒涛の畳み掛けは、もし古来より描かれている龍が実在するとすれば、龍の持ってる迫力やパワーに近いかもしれないとも思ったからだ。特に「閃光」や「Kick&Spin」の疾走感やパワフルさは特にこの武道館を思う存分取り巻き、バズドラムやベースが響かせる地鳴りが底から力が渦巻くようで、その躍動はライブだからこそ感じられるものだと思った。

リアドが正式メンバーになったのがすっかり遠い昔のようだが今年の4月の話だ。2年以上前からサポートに入ってくれているので今更なんだという話でもあるし、正式加入した当初は私もなんだかんだ言っていたが、今は本当にドロスに入ってくれて良かったと思っている。

これを書いている今もライブ終了後から1日2日経っているが、ツアーが終わってしまった喪失感や虚無感は一切なく、多幸感に満ち溢れたツアーファイナルを届けてくれるバンドは他に知らない。

食べ尽くしたトマト、幸せを運ぶどんぐり

ライブの多幸感はライブ以外に変えられない、ライブに行くたびにそう思う。

今ツアーのメインタイトルであるトマトの花言葉は「感謝」。そして情報解禁されたばかりの映画「グッドバイ、ドン・グリーズ」に因んだどんぐりの花言葉は主に「永遠の愛」。冬を凌ぐ動物たちの貴重な食糧源として実や栖を与え続けたため、その花言葉が付いたとされている。

ドロスはそんな”どんぐり”のように幸せを私たちに撒くのだと思う。「Rock the World(世界を震撼させる)」という野望をロックバンドとして抱きながら、そして近い未来スクリーンで会えるはずの「ドン・グリーズ」と共に走りながら。

ちょうど選挙期間である今「未来」は日本中のキーワードである。最後に洋平さんが言い残した「未来で会いましょう」、私たちが望んでいる未来でまた彼らのライブに行ける日は本当に近いのかもしれない。

こちらこそありがとう、次は思い描いていた未来で会いましょう。

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ベストのアナログレコードはライブ会場での購入者限定でメンバーの直筆サイン入りのアナザージャケットが特典で頂きました。レコード4枚分の重量は凄まじいものだ。

セットリスト(公式URL)


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