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珈琲店なら「ファンのニーズ」を徹底的に想像しろ【MEMO】

珈琲に関するニュース/情報をインプットし、
噛み砕いてアウトプットするマガジン。
「COFFEE_MEMO_365」のマガジン記事です。

2020.6.15

【今回の引用記事】

【概要】
コーヒーチェーン最大手のスターバックスは、
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言期間中、開業25年で初めてとなる約2カ月におよぶ長期休業営業休止を余儀なくされた。
そして、
その長期休業によって、店と顧客との関係にも変化が生まれた。
同社はオンラインでの販売を続け、
同時にウェブサイトやSNSを通じて情報発信を行い、
「スターバックスの味わいをご家庭でも」を掲げて、自宅でのスターバックス体験「Starbucks at Home」としてオンラインで訴求した。
もちろん、
いくらブランド力の高いスターバックスとはいえ、商品をオンライン上で並べて説明するだけでは、売り上げ拡大にはつながらず、
むしろ実店舗以上の創意工夫が必要だった。
そんな中で、
公式Twitter、Facebook、Instagramなどの
SNS投稿を実施し、
その時々のお客の気持ちを思い、それに寄り添った発信をし続けた。

具体的に注力したのは次の3つだ。

「ご自宅でのコーヒーのいれ方」
SNS上で「自宅でのおいしいコーヒーのいれ方」に関する質問を募集。
同社のコーヒースペシャリストが、寄せられた質問に回答する形で情報交流を行った。
「Message on the mug」
自宅でコーヒーを楽しんでいる様子の写真をフォロワーから募集。
そのマグカップに、休業中の店舗パートナー(従業員)がメッセージを載せて投稿。
「早くバリスタさんに会いたい」などポジティブな反応が集まった。
「バリスタたちのおうちコーヒー」
パートナーが、自宅でのコーヒーの楽しみ方やアレンジレシピを紹介する企画。
休業中のパートナーが社内SNSなどで自発的に投稿していた「Stay Home」の楽しみ方が発端。

もともとスターバックスが掲げるのは、
「サードプレイス」としての存在である。
当時の広報担当は、
「サードプレイスとは、自宅(ファーストプレイス)や職場・学校(セカンドプレイス)以外に、快適に過ごせる場所の意味だ。」
と話したが、
今回は次の意識で「サードプレイス」と向き合った。
「デジタル上でも店舗と同じ、ぬくもりのあるつながりを持つため、
(特に休業店舗の)パートナーにも活躍してもらい、コンテンツの制作を行った。
たとえ店頭に立てなくても参加の舞台を提供し、お客様とのつながりを保ち続けてほしい、という思いもあった」
それが前述した3つの企画に代表される活動だ。

人が集まり・交流する場が、今回のコロナウイルスにより絶たれた。
それが一部の店で営業を再開した折には、Twitterで『#スタバ再開』がトレンドワード入り(5月19日 10:30時点)。
『待ってました!』『ありがとう』などのコメントが多数寄せられ、大きな反響があった。
コロナの第2波が警戒される中、
お客の衛生意識の高まりや、店の環境にもよりケアしなければならない。
スターバックスもそれに準じたサービスを拡大していくという。
スタバに限らず、カフェの役割である「サードプレイス」は実店舗だけではない。本質的には、自宅で過ごす顧客の心の中にも存在するだろう。
それでも「外食の楽しさ」や「町のうるおい」として、店舗の存在は欠かせないのだ。

【MEMO】
新型コロナウィルスの感染拡大によって、
多くの業種、企業、お店が今までになかった変化や対応に迫られました。

今回の引用記事は、
その中でも国内コーヒーチェーン最大手である、
スターバックスの取り組みについて書かれています。

スターバックスといえば、
日本でもコロナが広まり出してかなり早い段階で長期休業に入ったのが印象的でしたね。

多くの企業が時短やテイクアウトに切り替えて、お店でのお金の流れを止めないよう試行錯誤していた中で、完全なる休業。

さすがスタバというか、「潔さ」を感じました。

今思えば、
あのタイミングでスパッと完全休業することで、
普段からスタバを利用していた顧客はもとより、そうでない層の意識にも、
逆に「スターバックス」の存在が改めて刻まれた気がします。

ここで、
まずは「店舗」という顧客との接点が無くなったという状況です。

この状況で売上を作るには?

答えはオンライン販売ですよね。

となると企業が打つべき手は、
オンラインで顧客に訴求する手段とは、

SNSの利用です。

そしてこの使い方が、
顧客がスタバに何を求めているのか。という本質的な理解も含めて、

さすがスタバやな!

と思わされました。

引用記事でも主に3つの注力ポイントの具体例がまとめられていましたが、

それが結果、顧客の何に刺さったのか?
という切り口で改めて紹介します。

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①交流を止めないこと

企業がSNSを使う上での多くは、
新商品の紹介最近の出来事といった、
いわゆる企業から顧客(ファン)への一方通行的なものです。
その点で、スターバックスは、

・「自宅でのコーヒーの淹れ方」についての質問受付と回答
・フォロワーが自宅でコーヒーを楽しんでいる写真を募集し、そのマグカップにバリスタがメッセージを書いて発信

といった、相互の交流に特化した使い方をしています。
そしてこれは単なる交流ではなく、
その軸に「自宅で珈琲を楽しむ」という前提条件がごく自然に入っています。

質問をするには、家で珈琲を飲む。
写真を挙げるには、家で珈琲を飲む。

じゃあその珈琲、どこの買う?

そう、スタバですよね。

もちろん全てがそうではないかもしれませんが、
ここに集まるフォロワーはかなりの高確率でスタバの商品を購入します。

交流への参加から、オンライン販売にしれっと導線が引かれています。

少し購買心理のほうに話が逸れかけましたが、
こういった交流を続けていると必然的にSNSでの露出頻度が高まります。
すると顧客もそうでない人も、
むしろ休業する以前よりもSNS上でスタバを見かける機会が増えます。

このように、
交流を止めないことで、スターバックスから顧客が離れないようにしているんです。

②顧客の求めているものは何かを掴む

上にもありましたが、
スタバの取り組みの中で、
SNSに挙げた画像のマグにバリスタがメッセージを添えて発信するコンテンツがあります。

もともと、
店頭に立つバリスタが商品にメッセージを添えて提供するスタイルはスタバの中でも満足度の高いサービスです。

このサービスがスタバの楽しみ。
という顧客も存在します。

つまりスタバに求めるニーズのひとつですよね。

そしてこれをSNSに持ち込むことによる利点は何かというと、

店頭よりじっくりバリスタと交流できる

という点です。

ちょっとイメージしてみて下さい。

いまあなたはスタバのお店に入り、
カウンターに並んでいます。
前の人のオーダーが終わり、あなたの順番です。
オーダーを注文して、出来上がりを待ちます。
後ろには次のお客さんが列を作っています。
商品が仕上がり、バリスタから手渡されます。
軽く会話して受け取り、自分の席へ向かいます。

これが、
基本的にお客さんがスタバの店舗でバリスタと関わる持ち時間です。

ちなみに僕は、どうしたらメッセージを書いてもらえるのか分かりません。
ストレートに言ったら書いてもらえるのでしょうが、「どうしよう?」と悩んでる間に持ち時間が終わってしまうって人も少なくないと思います。

その点で、
SNSではこのようなスクロール式な流れがないため、メッセージの行き来も出来ます。
店舗での刹那的な出来事でもないので、SNS上にも記憶にも残っています。
メッセージを書いてもらったバリスタに、後日店を訪れた際に話しかけるきっかけにもなります。

もうひとつ、
「バリスタのおうちコーヒー」というコンテンツがあります。

これはもともとバリスタが社内SNSで共有していた楽しみを、ソーシャルに提供したかたちです。こうした発信も、バリスタの素顔が見られることでの顧客のニーズを捉えているし、
バリスタ個人のブランディングにも作用しています。

スタバ側からすると、
バリスタ1人ひとりのブランドを高めることにもなりますし、来店してくれるファン層の獲得にもつながります。

これは、
SNSの仕組みを利用して、顧客の求めるものを叶えることが出来ているからです。

そして、
スターバックスがこういった展開を行う理由の根本に、同社が掲げる「サードプレイス」という考え方があります。

「サードプレイス」とは、
自宅や職場・学校以外に快適に過ごせる場所
と意味付けられていますが、
今回の長期休業という状況下において、

店舗と同じくデジタル上でもぬくもりのあるつながりを持つこと
という意識で向き合われました。

「場所」ではなく「つながり」
これがサードプレイスの本質。

そこに気付いたスターバックスと、
そこが響いた顧客だからこそ、
長期休業下においてもスターバックスはファンを増やしました。

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このように、
「自分の価値と顧客の求めるもの」を徹底的に想像したからこそ、
スターバックスのSNS展開は成功したんですね。

事実、スターバックスが営業再開すると、
『待ってました!』という声が上がりました。
一気に店を休業したことと、
その間再開を望むファンを増やしていた差の大きさですね。

例えば、蛇口に繋がれたホースがあります。

今回スタバは、
ホースの先端をギュッと握りましたが、蛇口の水は止まっていませんでした。
むしろ、蛇口の水の勢いを上げることに力を入れました。

時が来て、ホースの先端を離したとき。
溜まっていた水が一気に吹き出しました。
これが今のスタバの感じです。

例えはわかりますよね?

蛇口から出る水が「新規客」
ホースの中が「店と客とのつながり」
ホースから出てくる水が「顧客(ファン)」
ホースの先に「店」があります。

一方で、
営業再開しても客足が戻らない店のホースの水の勢いはどうでしょうか。
ホースの先端を握る力加減を考えることに必死じゃなかったですか。
蛇口からの水は弱まってなかったですか。
実はホースに穴が空いてて、ちょっとずつ水が外に漏れてないですか。

珈琲は嗜好品です。
最悪、無くても困らないものです。
それでも、無くなったら困る!
そう思うのがファンです。
無くなったら困る!それはなぜか。
珈琲店はファンのニーズを徹底的に想像しないとダメです。






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