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その服、なあに?

私の嫁様はお洒落です。
全身ハイブランドでビシッ!
・・・とキメキメなわけじゃないけど

毎日違う服を着ています。
出かけるときはもちろんですけど
家に籠りっきりのときですら着替えます。
しかも、たいてい、似合っています。

おどろきなのがエプロン。
キッチンの戦闘服たるエプロンを
嫁様はたくさん持っています。
最近はちいかわのエプロンをよく着けていますが
バリエーションが豊富です。おそるべしです。

一日中寝巻で過ごしても抵抗のなかった私ですが
そんなお洒落な嫁様を見て一緒に生活していると
(なんだか自分、めっちゃダサいな・・・)と
自分の部屋着にも気を遣うようになりました。
こうして世の夫の服のセンスというのもは
磨かれていくのかもしれません。

さて、そんなお洒落な嫁様が
見慣れない服を着ているときに
私はこう、言っていました。

「その服、なあに?」

もちろん、意味としては
「いい服だね。いつの間に買ったの。素敵だね」
という思いを心に込めて言っているのです。

ところが、ところがです。

私が「その服、なあに?」と尋ねるたびに
草原を駆ける子犬のような嫁様の顔が
土砂降りで濡れた野犬のような顔になるのです。
はて、何かがおかしい。

ある日、嫁様に聞いてみて驚きました。
「その服、なあに?」と私に問われるたび
イラッとした感情が湧き上がるとのこと。

・なあに、って何?嫌味なの?
・勝手に服を買ったことを非難してるの?
・それとも似合ってないって言いたいの?

こんな思いが頭に浮かぶそうです。
そんな、私はそんなこと微塵も思ってないのに。

そうなのです。
私がいくら頭で「良い」と思ってたとしても
正確に言葉にしないと「悪い」と誤解される。

言葉というのは仲を深める素晴らしいもの。
でも使い方を誤ると仲を引き裂くものになる。

「そんなつもりじゃなかった」なんて
つべこべ弁解しているひまがあったら
とっとと謝って言葉を学んだ方がいい。

そう思った私は封印することにしました。
「その服、なあに?」と尋ねることを封印です。

代わりに、こう尋ねるようにしました。
「似合ってるね、素敵だ!」

※この記事は私が過去に書いた記事をリメイクしたものです


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