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まとめの達人

「君は、何が好きなの?」

「私は、嫁と珈琲が好きです」

他人から尋ねられたときに一言でまとめる技術。
この技術を追及していくと
“まとめの達人”になります。
今回はその技術向上のコツのお話です。

誤解のないようひとつ先に言っておきます。
仲良しの友達同士の会話だったら
この技術は出番がないということです。

「私は、食べるのが好きだねえ。
あと、静かに本を読むのも好きだし
君とこうやって話するのも好きだよ。
そうそう、珈琲にもこだわりがあるんだ。
雑貨屋とか、そういう店を回るのもいいね」

こんな風に、ぼんやりと頭に浮かんだものを
そのまま口に出して話すだけで楽しい。
それを聞いたのが仲の良い友達だったら
嬉しいリアクションをしてくれるし
私の一言が呼び水となって自分のことも
話してくれて、それがまた楽しくて。
話が合う人との会話は最高の娯楽なわけです。
だからまあ、お互い会話を楽しんでいるのに
「嫁と珈琲が好き。以上」
で終わらせてしまうなんて無粋もいいとこ。
ひじょうにもったいなくてできやしません。

つまり、話をまとめる技術というのは
楽しむ会話には全然向いてない技術。
じゃあ何に向いている技術なのかというと

・ビジネスの場の会話
・初対面の人との会話

こんなところで役に立つ技術なわけです。

たとえば仕事の話。
「あの仕事、どこまで進んでるの?」

「あ、あの仕事ですか。実は昨日のうちに
全部終わらそうとしてたんですよ。
でも、別の仕事がたてこんでて・・・
だからまあ、ほとんど終わっているんです。
ただ、最後の詰めがまだできてないって所」
こんな風に頭に思い浮かんだものを
そのまま時系列に沿って話していたんでは
伝わらないどころか混乱してしまいます。
相手がカリカリしていたら
「結局どうなの!?」と怒られかねません。

ビジネスの場ではあれこれ情報を増やすよりも
「終わっていません。進捗は7割程度です」
と一言にまとめたほうが好印象。

これは『結論から話す』という技術。
わりかし有名な技術なので
知ってる人も多いと思います。

抽象化でまとめる

今日ピックアップするのは
『抽象化でまとめる』技術です。
でも、抽象化と言ってもいまいち
ピンとこないかもしれません。

でも『具体的に話す』だったら
なんとなく分かるんじゃないでしょうか。

たとえば『ペット』を例にしてみましょう。

ペットを具体的に突き詰めていくと・・・
犬→柴犬→雄の柴犬→3歳で雄の柴犬→
名前はタロウで人懐っこくて3才で雄の柴犬

このように細かい情報が増えていきます。
情報が増えるとイメージし易くなります。
これが具体化で話すメリットです。

では『ペット』を抽象化するとどうなるか?
犬→哺乳類→動物→生物

このように具体的な性質が省かれていきます。
具体的な性質が省かれることで
多くの人に伝わるメリットが生まれます。

たとえば、初対面の人に
「ウチのタロウがさあ・・・」
と切り出してもうまく伝わらないです。

「ウチの哺乳類がさあ・・・」
と切り出しても当然伝わりません。

でも、「ウチのペットの犬のタロウがさあ」
と切り出したらすぐに伝わるはずです。

何を言いたいのかというと
具体的な所だけを言っても伝わらないし
抽象的すぎることを言っても伝わらない
ということです。

「人懐っこい3才で雄の柴犬でペットで
優しい目をして茶色がかってて太り気味で
毎朝4時に散歩をせがんできて手がかかる」

このように
具体的に話せば話すほど伝わりそうですが
多すぎる情報はかえってノイズになります。
そもそも
初対面の人は細かい情報を求めていません。

『具体』と『抽象』の
程よいバランスが必要だということです。

それをふまえて
「好きな食べ物は何ですか?」と
私が初対面の人に尋ねられた場合。

「私は甘いものが好きです」と
答えるのが良い回答例になります。

実は、この回答に至るまでに
あるプロセスを踏んでいます。

それが「具体→抽象」のプロセス。

まず「好きな食べ物は?」と聞かれた時に
一度頭の中で具体化しています。

・お菓子
・ケーキ
・生クリーム
・チョコレート
・スタバのフラペチーノ
・あんバター
・ソフトクリーム
・珈琲に合うもの
・嫁の料理全般

このようにある程度具体化したら
そこから共通点を探します。

具体的に挙げたものをよく見ると
糖分を含んだものが多いことが分かります。
つまり総合的に見て「甘いもの」の
一言でまとめることができるのです。

よって、一つ一つ具体的な食べ物の名前を
口に出して伝えるよりも
「甘いものが好き」と伝えることで
相手にバシッっと大まかな輪郭が伝わります。
これが抽象化でまとめるという技術です。

まとめの達人は、抽象化が抜群に上手い。
抽象化が上手いということは
実は具体化も抜群に上手いんです。

私もそんなまとめの達人になるべく
具体と抽象を意識した伝え方をしています。


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