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もったりとした、重いカーディガンを見つける ノエルというコーヒー 赤ワイン

雪国の田舎のデパートには
たまに古着屋さんが巡回してやってくる

今は金欠
古着は好きだけど
買えるような懐ではなかったんだ
でも覗くだけ覗こうと思ってそーといくと
師走だからか人が結構いて見てるだけで楽しい

さらりとワンピースを何着かみる
女性ものの古着って少ないよなぁと思う
でもそれでも宝探しは楽しい

ワンピースにピンと来るものはなかったけど
それでも会場が設けられたのが素敵だなと思いつつ
ふと、振り返ると運命みたいに、欲しいなとずっと思っていたカーディガンをそのまま取り出したような厚手のカーディガンが…!

最近めっきり寒くなった雪国で
なんにでもあうカーディガンが欲しかった
厚手のものはお高めだしセールになるまでは
手に入れることは難しいとおもっていた
なによりよりちょっと昔を思わせるような
もったりとした厚手のカーディガンは今は少ないし
何より独特な、デザイン性のあるお洋服はお高いので、初めから見つけるのは諦めていた節があった

そんななか、ほんとうに突然、その1着は現れた

白をベースにした毛糸に、裾や袖に植物のような模様が編まれていた

値段表を見るとレディースは少しお安い価格になっている
それでも今、お洋服を買うのは得策ではない
それでも気になって、値段を尋ねるとなんと1,500円だった

買わずにはいられなかった
厚みがあるので当然重みがある
普段なら買わないけれど、古着ならアリと思える不思議な思考
私は財布を開いていた

買ったお洋服は新品でも必ず洗ってから袖を通すが
今回はちょうど初めて着た古着のシャツにとてもあいそうで袖を通して見た

ぴったりだった

昨日は晴天で
今日は曇天だったけど
心が明るくなるようなピカピカしたきもちになった

今日初めてきたシャツも10月の小旅行にて古着屋さんで購入したものだった

なんだかすごく嬉しい
自分が古着でコーディネートできるなんて

ウキウキした気持ちのままいつものお店に行って、コーヒーを注文するとノエルというブレンドとのこと

これが私の好きな酸味のすっきりとしたコクがはっきり感じられる一杯でとてもおいしかった

マスターと少し話すと女性が来店されて、偶然隣に座った

お店ではお話ししたい人は自然とお話しすることがあるのだけれど、その方も数年前まで東京に暮らしていたとのこと

お話があって、近所の飲食店の話をしていたら一緒に行きましょうよと誘われて、ちょっぴり緊張したけど2人でお店を満喫したあと、私のおすすめのお店に行った

偶然、席は空いていて座れて、その素敵なバンコクを主としてアジアミックスのお料理を出す夜カフェのようなお店のメニューや雰囲気を気に入ってくださり、お話も弾んだ

私たちは田舎に住んでいても、どこかに一度出られるなら出た方がいいよね、という結論に達した
東京じゃなくても近くの主要都市でもいい
でも地元から出たくなければそれはその人の自由だけど、もし出るチャンスがあるなら出て見たらきっと視野が広くなって、地元をもより好きになれる、良さがわかるよになれるよね、という結論に達したのだ

今日の雪国の夜は暖かく、もったりとした重いカーディガンだけでも歩けそうなくらいだった

連絡先を交換し忘れたけどきっとまたいつもの店主さんのお店で会えるからその時は交換したいと思って、わたしは帰路に着いた

素敵な香りのする、深い藍色の夜だった
師走に向けて人がそぞろ歩く夜だった



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