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初めて海外とつながった日

約30年前。中高一貫のプロテスタント女子校に通っていた私たちの間で、海外文通が流行っていました。日本人との交流を希望する人たちのリストから、文通相手を選択。人気が高かったのは英語圏の国々でした。なんとなくその輪に入った私には選択の余地なく、目の前に残されたのはハンガリー人の連絡先。

ハンガリーがどこにある国か調べるところから始まるという、あまりにも無知な私でしたが、友人たちと違う世界に足を踏み入れることにワクワクし、文通を始めました。

何も知らない私に彼女が送ってきたのは、ブダペストを紹介する本。

当時ハンガリーは、ヨーロッパ社会への復帰を目指す改革開放運動が盛んでした。ソ連やドイツの社会的・政治的圧力など、のうのうと暮らしている私にはわかるはずもなく、その本の中に繰り広げられるまだ見ぬ世界がただただ煌びやかに映り、その文通相手と将来会うことになろうとは想像だにせず、返事を待ち望みながら10年間の文通が続いたのです。

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