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山梨に消えた思い出(12月20日)

先日最近知り合った友達と山梨へ出かけたときに、持っていったカメラのうつるんですを見事に山梨に置いてきてしまった。このカメラには10月インドにひとり旅に行った時の写真がたくさん収められており、残り数枚が余っていたので山梨で消化しようと持っていったものだった。無くしたことを悟ったとき心底絶望した。初めてのひとり海外、初めてのカメラ、このカメラの中に自分の目で見たあの景色がどんな風に収められているのか想像するのが楽しみで仕方なかった。あの中にはお金では決して買えない貴重な思い出が詰まっている。そんな大切なものを信じられないぐらいあっさりと無くした。しかもどこで無くしたのかまるで見当がつかない。

でもどうしても諦めきれない。無くすとしても全力を尽くして納得した上で無くしたい。そこで今日僕は5時半に起きて6時の電車に乗り、カメラを探しにもう一度山梨に向かうことにした。電車で往復5時間越え。お金も時間もかかる。しかも行った先にあるとは限らない。というか無い可能性の方が大きい。我に帰った瞬間バカバカしくてやってられなくなってしまうので一旦考えるのをやめて、このことは誰にも言わずにこっそりと計画を実行に移した。

本当は電話で確認するべきなんだろうが、もしまだ誰にも見つかってないとしたら。道に落としてきたら。知り合った友達もまだ日が浅いのであまり面倒ごとには巻き込みたくない。そんなことばかり考えてしまうので自分で確かめるのが一番納得できると思ったし、友達に連絡するのはそれからで良いと思った。

タイムズで借りたカーシェアの中(予約者しか開錠できないのでこのために新規会員登録までした)、歩いた道、行ったお店、近くの交番全て見て回ったがカメラの発見には至らなかった。カメラは見つかりさえすれば全ての行動が報われたのに、見つからなかったと分かった途端、本当に何のためにここにいるのか分からなくなった。行きの電車は映画を見る余裕があったのに、帰りの電車はその元気もなく、ただただ車窓から見える田舎の冬景色が心の寂しさを助長した。

なんて生きるのが下手くそなんだろうか。大事だと分かっているものほどよく無くす。カップラーメンを買った時にポットの横に財布を忘れ、数分後どこぞのおばちゃんにまるまる盗まれ財布の中身が全部返ってこなかったり、携帯だって当たり前のように忘れるのでいつからかGPSをつけた。トートバックやクラッチバックやビニール袋などの手提げタイプは気づいたら手からから消えているのでリュックタイプしか持ち歩けない。なのにそのリュックですらたまに忘れる。

今頃僕のカメラはどこで何をしているのだろうか、山梨の澄み切った寒さに凍えていないだろうか。犬みたいに首輪しておけば良かったな〜。あの写真使ってインドのこと書きたかったのにな〜。納得するつもりが余計に愛着が湧き、あれから2日経ってもいまだに立ち直れていない。

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