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国による災害誘発と自己責任

国による災害誘発

国による災害誘発とは


日本各地で多発している地震だけでなく、近年、頻繁に日本を襲っている水害も無視できないリスクになってきており、2018年の西日本豪雨、2019年の台風19号など、ここ数年は、大規模な水害が毎年のように起こっており、地球温暖化の影響により、被害は収まるどころか、年々、酷くなっていっています。 これは、堤防が整備された結果、かつて人が住んでいなかったような場所に住居ができたこと、これまでは台風や豪雨が少なかったため被害がでていなかった場所でも、被害がでるようになっていること、が理由として挙げられますが、近年では、北海道や東北など、いままでは「台風が来ない」と言われていた地域でも台風が上陸するようになってきており、現在の日本では「日本中どこでも災害が起きる可能性がある」という発想の切り替えが必要であり、ひとたび、堤防が決壊すれば甚大な被害が出ることは証明されています。

首都圏水没



関東や東北地方を突如襲った記録的な豪雨により、鬼怒川の堤防が決壊し、茨城、栃木、宮城の3県で計8人の死者を出す惨事が2015年に起こりましたが、この災害は、南北500㎞、東西200㎞という広範囲で積乱雲が帯状に連なる大型の「線状降水帯」が、被災地区の上空で発生したからです。
近年では、地球温暖化の影響による気候変動で、昔では考えられなかった大水害が起きる可能性が高くなっており、この雲が、もう少し南にずれていたら、首都圏も被害に遭っていた可能性があり、首都圏住民にとっても、この災害は、他人事ではありません。
 実際、内閣府の中央防災会議が2010年にまとめた報告書「首都圏水没」では、恐るべきシミュレーションが示されており、首都圏を流れる利根川、江戸川、荒川の3川の堤防すべてが決壊した場合、浸水深は、最大5m以上、死者数は、利根川氾濫では最大で約6300人、荒川氾濫では墨田区、江東区などを中心に最大約3500人になる、と想定していますが、想定される浸水区域内の人口は約663万人ですので、国が、算出した死亡者数は非常に甚大ですが、表現は悪いですが、この人数で済めば御の字かもしれません。
荒川の堤防が決壊すると周辺の家屋は当然、流されますが、それに加え、都市ならではの被害として、高い確率で濁流は、地下鉄などのトンネルを伝って銀座など都心にも水が溢れることになるので駅地下の商店街は水没し、荒川沿いに多いタワーマンションは、下層階が浸水するとエレベーターが動かなくなるので、武蔵小杉のマンション群のように、水が引くまで1週間ほど孤立する可能性が高いなど、住民の避難は難航を極めることは容易に想定できます。


機能不全


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