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短歌 海老

「おいしいね」衣を纏うその海老も少し前まで生きていました

ほんとうにその貝殻は白かった? あの砂浜になにを埋めたの 

意味なんてどうせ後から好き勝手されるんだから今は笑おう


海老フライのしっぽって、食べますか? 私は何も考えずに、いつも残していました。

同僚Aとランチに定食屋に行って、Aは鮭の塩焼き定食、私はミックスフライ定食を頼みました。

ミックスフライのラスボスこと、お楽しみの海老フライをほくほくと食べ、しっぽを皿に残しておいたらAが「しっぽ、食べないの?」。

え、食べないなー。もしかしてAは食べるの?

「うん。なかなかに香ばしくてよろしい」

そうなのか。じゃあ、このしっぽ食べる?

「施しは受けん」

施し……。

そう言うAの皿には、鮭の小骨と、つるりと器用に削ぎ取られた皮が残っていました。

え、皮食べないの?

「え、食べんの?」

うーん、皮だけを積極的に食べるというより、身と皮のキワがおいしい気がするから、まるっと皮ごと食べちゃうな。

「へー。じゃあこの皮あげるよ」

施しとは……? 


ばたばたと休職中の引き継ぎ事項をまとめたファイルを作っていたら、どう引き継げばいいのかわからない分野というか性質の仕事があり、どうしたらいいかなーと、件の同僚Aにこぼしたところ、

「余人をもって代えがたいってやつだろう。さっさと治して戻ってきな」。

はーい、とへらへら笑って返事したけど、ほんとは涙が出るほど嬉しかったよ。

そんなクールビューティーリーガルレディーことAが、退勤時間直後に「アアッ!」と悲鳴を上げたので、その場にいた皆が「どうした!」とめいめいAに声をかけました。

「蚊に刺された! 手の甲!」

なんてこと……! 今日は少し暑さが和らいだせいか、蚊の奴らめも元気になってきたようです(半数は「なーんだ」とすぐに平常運転に戻り、もう半分は無駄にシリアスモードを継続。私はもちろん後者)。

掻けば描くほどしんどくなるのはわかってる。爪で十字にするやつもダメらしい。蚊に喰われた部分は、嵐が去るのをじっと待つように、粛々と痒みが引くのを待つのが、結局はベターなのであろう……。

退勤時間過ぎてて眠たい私「待てば甘露の日和あり」
涙目のA「キンカンある!? ムヒある!?」 
後輩Bちゃん「ウナしかありません!」 
私&A「「それでいいじゃん!!」」

そんな職場に、こんな仲間たちとわちゃわちゃ仕事できること自体、とても尊いことなんだと、いざ(一時的とはいえ)離れるとなると痛感します。寂しいね苦笑。

完治というより寛解を目指すので、まーなんとでもなるか、と気楽に構えてはいます。海老のしっぽ、今度は食べてみようかな。

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