認知療法はメンタルに強い心身を育む|ココカリ心理学コラム
汎用性が高く、多くの方に効果が期待できる心理療法に、認知行動療法(以下CBT)があります。
CBTを語る上で外せない概念が、認知行動モデルです。ここでは人に起こる問題は「環境」と「個人」の相互作用、つまり環境という刺激に対し個人が反応することで生じる、という前提に立ちます。個人の反応は認知・行動・気分・身体に表れます。このうち、自分が統制できないのは気分と身体です。悲しい気持ちをこの瞬間に楽しいに変えてと言われても無理ですし、動悸を止めましょうと言われても止めることは難しいです。CBTでは、自分で統制が可能な「認知」と「行動」にアプローチします。この4要素は相互に影響しあうため、1箇所に変化を起こせば連動によって統制不可能な部分の変化も期待することができます。
認知変容、つまり物事の捉え方に柔軟性をもたらすことで、問題を減少させたり解決に向かおうとする心理療法が「認知療法」です。
認知療法
認知療法は、精神科医アーロン・ベックによって開発された心理療法で、主に認知(思考)のパターンが感情や行動に与える影響に焦点を当てます。この療法は、うつ病、不安障害、パニック障害、強迫性障害などのさまざまな心理的問題に効果的であるとされています。
臨床で私が多用している心理療法です。科学的に効果が立証されていて、厚労省のお墨もついているので、現場で出しやすいですし、やはり多くの方に効きます。
私がこれを好きな理由は、刺激にさらされた時にぱっと自分の中に出てくる認知(=自動思考)を否定しない、という姿勢です。ぱっと出てくるものは仕方がないじゃないですか。それを「ダメな思考だ」と言われるとしょんぼりしちゃいますよね。そうではなくて、自動思考は自動思考として、私にはそういう自動思考が出る特性があるに留めて、でもその自動思考で問題が起こるのであれば、自動思考以外のバランス思考をさっと出せる体質に変容させれば、問題が小さくなるかもね、問題として表出しない心身になるかもね、という構成に共感しますし、実際に効果を実感した方々を見ていくにつれ、これはいいと確信を得るに至ってます。
認知療法のプロセス
認知療法の典型的なプロセスは以下の通りです。
評価と目標設定
初回のセッションで、クライアントの問題や目標を明確化します。
教育と認知の理解
クライアントに対して認知療法の基本原則を説明し、自分の認知パターンを理解したもらいます。
認知の特定と再構成
「7ステップ認知再構成ワーク」を使い、バランス思考を獲得するトレーニングを行います。
技法の適用と実践
トレーニングを通じて得た新しい認知パターンや行動を日常生活で試し、その効果を評価します。
進捗の評価と調整
定期的に進捗を評価し、必要に応じて目標調整をしていきます。
終了とフォローアップ
目標が達成されたらトレーニングを終了し、必要に応じてフォローアップセッションを設定します。
7ステップ認知再構成ワーク
このワークを何回も繰り返して行っていきます。数回行っていくと、自動思考の癖を把握できるようになりますし、バラン思考の出し方のコツも身についていきます。やがて日常生活の中で何かしらの刺激に出会った時にも、スムーズにこのフレームに沿った思考が巡らせるようになります。受ける傷を最小限に抑えることができますし、そもそも傷つきにくい心身になっていきます。
ひとりでも行えるワークですが、専門家と二人三脚で行った方が、効果に至るスピード感は早いでしょう。というのも、⑤反証⑥バランス思考あたりは、ひとりでは出しにくいからです。人は主観で生きているので、そこから外れている反証情報などは記憶にとどまっていません。他者がいることで客観視を得ることができます。
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認知療法は、思考パターンの変容を通じて感情や行動を改善する効果的な心理療法です。ネガティブな認知を特定し、それを現実的でバランスなものに再構成することで、自己評価や心理的健康を向上させることができます。このアプローチは、様々な心理的問題に対して広く適用され、多くの人々に効果をもたらしています。
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オンライン心理カウンセリングルーム|cocoro no cacari|こころの健康で気になることがありましたら、まずはお問い合わせからどうぞ。多くの方の何かしらのお役には立てると自負しています。認知変容についてご興味ありましたら、ぜひ一度コンサルテーションしましょう。お話しできるのを楽しみにしています。