知人によく質問されるのは、「カウンセリングの場面でネガティブをもらって、カウンセラー自身が病むことはないのか?」カウンセリングの瞬間ばかりに気を取られていると食らってしまうかもしれない。全体の中でその言動現象は何を示唆しているのかという間主観の態度でいれば、当然多少は食らうものの、カウンセラーの内的世界まで侵されることはない。「強いですね」と言われるが、強さではない。理論であり、技術であり、経験からそれができるようになっただけだ。私は世の中で人間以上に面白くて飽きない対象物はないと思っている。対人援助職を行い続けるため、また好きであり続けるためには、他者から自分を守る術も身につけないといけない。
「イメージの心理学 新装版」河合隼雄著(2020)