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不安と可視化の心理学|ココカリ心理学コラム

臨床心理士資格の更新が来年やってくる。研修参加や執筆などの心理士活動を行い、5年間で15ポイント以上を貯める必要がある。領域指定などもあるので、管理は少し複雑だ。私はこの3年半で数ポイントを獲得しているはずだが、どの領域で、結局何ポイント持っているのだろう。この夏にいくつかの研修や学会に参加予定なのだが、それはどの領域の何ポイントになるのだろう。あと何ポイント稼いでおけばいいのだろう。数ヶ月前から不安を感じていた。

「不安」を辞書で引くと、「何かが気がかりで、落ち着かない(安らぎが得られない)心の状態」と書いてある。不安は、漠然とした危機に対し、自分がそれに対処できないかもと感じた時に生じる気分である。言い換えれば、明確な対象をもたない怖れの感情である。

ここでのポイントは「漠然とした」「明確な対象をもたない」であろう。反対に言えば、対象が、「判然とした」「明確な対象」となり、対処できるかなと見通しが立てば、不安は霧散するということである。

では、我が身を用いての実証実験に移ろう。臨床心理士資格ポイントの可視化である。ネット検索したら、臨床心理士の先輩がエクセルで管理シートをフリー配布していたので活用させてもらった。改めて資格規約を読み直し、過去に取得したポイント通知書を確認し、今夏の学会HPを調査した。判明したのは、私は現在2P獲得しており、9月までに6〜8Pまで積み上がるらしい。さらに気になっているオンライン研修を受講すれば領域問題はクリアし、あとはポイント数だけ管理していけば大丈夫なようだ。

さて結果であるが、昨年からそこはかとなく胸にあった得も言われぬモヤモヤ感が見事に消失した。すごい効果である。今年から自営で仕事をしていて、収入も支出も雇用時代とガラリと変わり、お金の巡りが把握できてない部分がある。ここについても漠然とした不安があるので、あとでこちらも可視化してみようと思う。

「不安」という気分と、それを「可視化する」ことの心理学的な関連性は、5つの観点で説明ができる。(以下、ChatGPT参考)

1. 外在化と距離感の創出

不安を書き出す行為は、不安を外在化させるプロセスである。この手法は、認知行動療法(CBT)や、書くことによる感情の表出(ジャーナリング)においても利用される。不安を内在化していると、それが自分自身の一部のように感じられるが、外在化することで不安と自分自身の間に距離を作り、客観的に捉えることができるようになる。

2. 問題解決の促進

不安を書き出すことで、その原因や具体的な要素を明確にしやすくなる。これは問題解決指向の思考を促進し、不安を漠然としたものから具体的な問題に変えることで、対処可能なものとして捉え直すことが可能になるからである。

3. 認知の再構成

不安を書き出すことで、自分の考えや信念を再評価し、それが現実的かどうかを検討する機会が得られる。これは「認知の再構成」と呼ばれ、非現実的な思考パターンを現実的なものに修正するのに役立つ。

4. カタルシス効果

書くことは感情の浄化(カタルシス)を促進する。内在化している問題や不安を書き出すことで、感情的な解放を感じることができ、心理的な負担が軽減される。

5. 情動の調整

書き出すことで、感情を表現し、調整することができる。研究によれば、感情を言語化することで、感情の強度が減少し、心理的な安定感が増すことが示されている。この過程は、感情のラベリングと呼ばれる。

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不安を低減させるために、問題や気持ちを可視化することは有効である。紙やエクセルに書き出し、概念を具現させよう。心理カウンセリングで最近私が多用している「認知療法」も「インナーチャイルドワーク」も書くことが大切で、書くことで事象や気持ちが整理されていくのだ。整理されたものや、その後に掲げたアクションプランを、何度も繰り返し眺めたり、読み上げたり、実行していくことで、自分の認知が上塗りされていくのである。

可視化することは、つまり問題を直視することなので、そこへの恐怖心はあるでしょう。心理屋とともに一歩踏み出し、新たな価値を生んでみませんか。

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