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『娯』「娯楽長樂」ーこころのエンタメー

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呉は、口(さい; 祝詞を入れる器)を持ち巫女が舞う姿。巫女が神を楽しませたことから『娯』。『鬼滅の刃』、『君の名は。』からこころ模様を学ぶ!
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記事一覧

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 1心理分析

はじめに 鬼滅ファンの方々には、いまさら物語のあらすじを説明する必要はないだろう。今回「鬼滅の刃無限列車編」公開に合わせて、note 配信する。 今回の note シリーズ 「娯」が、現代の闇を生きる私たちのこころの養生ガイドとしてお役立ていただければ幸いである。 また、いつものようにネタバレの内容を含むため、本編をご覧でない方の閲覧は、ご遠慮いただきたい。 この記事が含まれているマガジン「娯」 1)鬼滅との出会い ある心理系の女性が、この漫画を絶賛していたことも

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 2邪鬼の情

この記事が含まれているマガジン 1)邪鬼の回顧「鬼滅の刃」では、「鬼」にされた人間の過去を回想するシーンがある。それらには共通した心情がある。 それは、果たされなかった過去の願いや想いがあったことだ。当たり前の日常の何気ない小さな幸せ、しかし、それすら叶わず、人知れず無念を感じた心情。 その想いは、はじめは些細であっても、他人に蔑まれ、詰られ、大切な人にさえ無視されながら、次第に大きな怒りへと姿を変えていくことがある。 そういった心情に、嫌になるほどやるせない気持ちと

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 3剣士の自我

この記事が含まれているマガジン 今回は、善逸、伊之助の物語上の役割について、心理学的な観点から話をしていく。はじめに、物語から読み取れる過去の生い立ちや経緯から、二人の性格傾向について触れる。 1)善逸の自我善逸のキャラは、非常に怯えやすく、恐怖を前にして慄き、絶叫する。いうなれば単なる「ヘタレ」だ。 作品ではこれらの感情を極端にコミカルに描く。おそらく原作者も本能的に描いているこの演出は、結果的に陰性感情に対する好転作用が生み出されることになる。そして、善逸の隠された

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 4家族の絆

この記事が含まれているマガジン 今回は、「鬼滅」の家族の絆をテーマに話そう。 社会の最小単位である家族の形。組織的なつながりや意識の成り立ちなど「社会組織科学」の知見も交えてお話する。 1)絆の描写アニメの第一話を見たとき、かなり抵抗感があった。正直あまり心地よくなかった。禰豆子を除く家族全員が惨殺される衝撃的な映像が深く印象に残る。 物語の原点を、極端にシリアスに描く。情動を揺さぶるには十分すぎる演出だ。自分がその立場ならどんな心境かを、ありありと想起させられる。

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 5累の心理

この記事が含まれているマガジン 今回は、『鬼滅の刃』TVアニメ第十六話「那田蜘蛛山」から第二十一話「隊律違反」に登場する鬼「累」の心理を解説する。 1)餓鬼道鬼の習性について、炭次郎の育手(師匠)鱗崎が「鬼は集団にはならない」と語っている。実際、物語の第十一話「鼓の屋敷」に登場した鬼たちも、屋敷の主「響凱(きょうがい)」他、三体の鬼は互いに険悪で、「稀血」(一般の人間よりも鬼にとり栄養が高いとされる人間の血)の奪い合いをしていた。 仏教では、六道といい、天上界からはじま

今更…だけど… 『君の名は。』から、こころ模様を学ぶ 第一回

note マガジン『娯』 シリーズ「君の名は。」 胸キュンとは? 第一回 胸キュンを探る!   本コンテンツは、ネタバレの内容を含みます。未鑑賞の方の閲覧はご遠慮下さい。 今更ながら、映画『君の名は。』の評論をしていきたいと思います。映画はあまり見に行かないので、滅多に映画の評論はしないのですが、この『君の名は。』は、空前の大ヒットになっていたこともあり、言いたいことが沢山あるので、ノートに残しておきたいと思います。  note マガジン『娯』の今回のテー

今、だからこそ…『君の名は。』から、こころ模様を学ぶ 第二回

note マガジン『娯』 シリーズ「君の名は。」 胸キュンとは?   第二回 胸キュンの仕組み Ⅰ.キュンな感覚ⅰ)「萌え」感 胸キュンには旬が存在する。胸キュンと同様に感応する言葉として「萌え」がある。この「萌え」は、草冠に明るいと書くが、その字のごとく、明るい草の色、つまり新緑の色を表現する。この色彩は、精神に息吹を与え気力を整え、人々に新しいことにチャレンジする活力と行動を起こすための意志を備えるように差し向ける自然の色である。  下に現時点で考案中の心の立体

今一度、振り返る『君の名は。』から、こころ模様を学ぶ 第三回

note マガジン『娯』 シリーズ「君の名は。」 胸キュンとは? 第三回 音楽とのコラボ  さて、これでnote版 マガジン 『娯』『君の名は。』シリーズも最終回となりますが、今回は映画に使われている楽曲を交えて作品全体の感想を記したいと思います。私は特に音楽の専門家でもないですし、音楽的な知識もあまりないのですが、とにかく感じたことを、ここに残していきます。 印象的な楽曲ⅰ)タイトル曲『前前前世』 私がタイトル曲を初めて聞いたのは、空の上だった。機内番組の『ANAホ