見出し画像

初期のチーム作りに必要な5つのポイントと誰もが陥る6つの罠

近年、成果を出すために機能するチームを作ることがより注目されてきています。それでは機能するチーム作りとは何か?管理職が置かれている時代的背景を紐解きながら考えていきたいと思います。

1.管理職が置かれている4つの現状

現代の管理職は負担が過重になっており、その負担の多さは年々増えるばかりに感じます。何がそれほど負担を増やす要因となっているのでしょうか?大きく4つの環境要因が上げられるかと思います。

1.VUCA時代

現在はVUCA時代と言われておりますが、元々は軍事用語で
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)
の頭文字から取った言葉であり、2010年代よりビジネス界隈でもよく使われるようになりました。それがこの10年でIT革命やニューエコノミーなど、経済や産業の構造的変化により年々スピードを速め、もはや誰の目から見てもVUCAは自分の身の回りに起こっている出来事となり、その中で成果を出していくことが求められるようになりました。

2.働き方改革

2018年に働き方改革関連法が成立し、2019年4月より順次施行が始まった働き方改革。そもそもの人口減少による労働力不足を解消するための法律ですが、その原因となっている

・残業などが多く働きたいと思えない労働環境
・働きながら子供を育てるのが困難な労働環境
・労働生産性の低さを生み出している労働環境

など、労働環境を改善することが狙いとされており、その解決のために、今までより残業に制約がある状態の中で生産性を高めることや多様な働き方の人材をマネジメントするなど、前例のない高度な能力が求められるようになりました。

3.労働観の変化

人生100年時代と言われる中で、若者を中心に労働観に変化が生まれてきました。学校を卒業後は働きに出て、定年まで勤めあげるという考え方から、卒業後に働きに出てから改めて学生に戻り、卒業後NPOに所属し、独立する、など単線型キャリアから複線型キャリアへの転換です。会社社に所属し続けるという価値観を持っていない、いつ辞めるかわからないメンバーを抱えて指示・管理型のマネジメントをすることが通用しなくなった時代の始まりとも言えます。

4.テレワークの普及

コロナによるテレワークの普及で、相手の状況が見えない中でのマネジメントを強いられるようになりました。今までは「職場」という組織と人、人と人をつなぐ場があったことで、意図せずとも強制的につながってきたものが、この「強制」がなくなったため、「職場」にかわる何かしらの「つなぐもの」を代替する必要が出てきています。

いかがでしょうか?

これらの環境要因に全てに対して解決策を投じていかなければならないのが現代の管理職です。しかし、その管理職自体が、今まで自身が受けてきたマネジメントと異なるマネジメントを行わなければならないというのが一番の困難を生み出している要因と言えます。

マネジメントを考えた際に、求められる役割や考え方はいつの時代も実はそれほど大きな変化はありません。しかし、今までであれば知識やスキルがない中でも何とか成果を出せてきた、何とかチームを束ねてこれたのが、これからは間違いなく知識やスキルがなければ成果を出せずチームを束ねることはできません。

それが現代の管理職がおかれている現状です。

そのような現状を踏まえ、これからは管理職自身がマネジメントにおける必要な知識とスキルを持つ必要があります。それではそもそも管理職が求められる役割とは何か?特に組織運営に不慣れな新任管理職が陥る罠と押さえるべきポイントとは?チームを早期に立ち上げるための秘訣とは?次の章以降でお伝えしていきます。

画像2

2.管理職に求められる4つの役割

管理職が置かれている4つの現状を踏まえて、今まで以上に管理職自身がマネジメントにおける必要な知識とスキルを持つ必要がある時代となりました。その上で、今回は現代の管理職に求められる役割とは何かについて考えていきたいと思います。

1.管理職の役割を果たす第一歩とは 

管理職研修で問われる問いとして、「管理職の役割とは何か?」ということを考えるセッションがあります。それは、多くの管理職の方々が、管理職の役割定義を明確にせずにその職を担われていることが多く、そのため、企業側の基準値とのギャップが生まれていることがよくあるからです。

では、「管理職の役割とは何か?」そう問われて皆さんなら何と答えますか? 

今までじっくり考えたことはないけれども、改めて問われたら、どの管理職の方も何かしらご自分なりの定義をお持ちです。一方で、問われない限りは、自分の中で明確な基準を設けず、当然、上司や組織と認識を合わせることもないため、気が付いたら大きな認識のズレが起こっている、というのはよくある話しです。

最近ではプレイングマネジャーが多いこともあり、管理職はプレイヤーの延長線上であると考えている方も少なくありません。しかし、管理職はプレイヤーとは全く異なります。プレイングマネジャーは、プレイヤー業務も担いますが管理職であり、チームを率いる責任者です。

特に異なる点は、プレイヤーから管理職への意識の転換が求められることです。管理職である以上は、「自分一人」の力で成果を出すという意識から「チーム全体」の力で成果を出すという意識に転換が図れているかどうかが問われます。

自分で成果を出すというのと、組織を動かして成果を出すというのは、全く異なるスキルを要します。今まで第一線で走ることが評価されてきたのが、これからは、他のメンバーに第一線をいかに走らせるかが評価の対象となります。今までやってきたやり方が通用しなくなるため、心理的ハードルも生まれます。

だからこそ、この「管理職の役割は何か」を曖昧にせずに定義づけし、上司や組織と共通認識を持つことが管理職の役割を果たす第一歩となります。

2.管理職の4つの役割

管理職の役割には大きく4つあります。①長期と短期という縦軸②仕事と人という横軸で考えた場合、

・長期で仕事を重視した「仕事の革新」
・長期で人を重視した「人材育成」
・短期で仕事を重視した「仕事の管理」
・短期で人を重視した「人間関係」

が挙げられます。(下図参照)

4つの役割

この4つの役割を見た際、「具体的にどこに一番時間を割いているか?」という問いに対して一番多く回答が挙がるのが「仕事の管理」であるように、短期や仕事を追いかけて人や組織がおろそかになってしまうのが現場の実態です。

焦りやプレッシャーから短期や成果を追い人や組織をおろそかにするのはよくあるケースですが、短期を狙うのが悪いということではなく、ここをいかに戦略的に考えて、「今は両方追う時期」「今は短期のみ集中する時期」などと、考えてやれているかどうかが大事になります。

どこにどのタイミングでどの程度の時間を割くか。

ここを考えるのが、管理職の役割において大事なことと言えます。ただ、漠然と目の前のわかりやすい成果を追い求めるだけでなく、自部署が何のために存在し、どこを目指し、今後どのようなチームになっていくかを踏まえた上で、与えられた権限の中で、最大の有効活用の方法は何かをひたすら考え続けるのがマネジャーの役割となります。

3.新任管理職が陥る6つの罠

「名選手、名監督にあらず」

スポーツ界で言われる言葉ですが、プレイヤーとして成果が出ていた人が、マネジャーになって成果を残せるとは限らないという事象は多くあります。「仕事のスター」から「管理職の初心者」へと言うメッセージがあるように、プレイヤー時代の強みややり方に固執せず、管理職として新たなやり方に転換することが大事です。その中で、なぜ上手く行かないのか、どこを押さえれば良いのか、についてまとめてみたいと思います。

新任管理職になった際に陥る罠

新任管理職になった際に以下の6つの罠に陥り、上手く行かない管理職が多くいます。

1.目標への過度な固執

初の管理職で「部署目標を達成しないと」と意気込むあまりに、短期的、業績志向になってしまう方が多くいます。見るべきポイントやかける工数が業績追求ばかりになり、チーム作りや組織運営自体が上手く行かなくなるのです。その結果、人・組織面の課題が増え、結果的に目標達成が厳しくなります。
2.上司とのグリップの弱さ

管理職になると、その上司との関係性は、自分が若手だったころと比べて、任され、距離ができるものです。その状況に甘え、勝手に大丈夫だと捉えてしまうことで、上司との間に、目標自体や評価面、進め方や協力体制に対する認識の差が出てしまい、手戻りや余計なストレスが発生し、結果的に組織運営が厳しくなります。

3.メンバーの得意・不得意

メンバーマネジメントが慣れていない中で、どうしても自分と合うメンバーとのコミュニケーションが増え、頼ることが多くなります。その結果、そうでないメンバーとの距離が離れ、組織運営を進めていく上でのボトルネックなメンバーとなってしまいます。

4.風土づくりの失敗

「一人ひとりをしっかりとマネジメントしないと」という意識が強く、個別対応に時間を注ぎ続けてしまいます。その結果、メンバー同士の関係性が良くなかったり、チーム全体での一体感が欠如して、組織としての脆弱さが出てしまいます。

5.他部署などの後回し

目標達成や自部署の組織運営に目が行き過ぎて、他部署や主要顧客とのコミュニケーションが後回しになってしまいます。その結果、他部署や主要顧客からクレームが出たり、いざお願いしたい時に協力してもらえず、自部署として孤立してしまいます。

6.自分のやり方への固執

自分自身の過去のやり方に自信があり、固執することで、メンバー1人ひとりの独自のやり方を認めることが出来ず、メンバーが受身的になってしまいます。その上で、自分自身がプレイヤー業務に注力してしまい、組織全体としてのパフォーマンスが高くない状態になってしまいます。

このようなことはありませんか。新任管理職になった際は、これらを打破する必要があります。

画像3

管理職着任時に収集すべきポイント

今までいた部署で昇格した場合と、違う部署から異動&昇格した場合で強弱は違いますが、着任時に収集すべきポイントをまとめてみたいと思います。

1.上司(&上位方針)

部署のマネジメントを行うにあたり、上位者との認識にズレが無い成果を出すことは大事です。そのため、

・経営方針含めた上位方針とその背景理由
・上司が自部署に求めること(問題意識や意向含む)
・進めて行く上で重要な上司のタイプ(性格や進め方の好み)

を早い段階で収集する事が大事です。

2.メンバー(&部署風土)

部署を運営するにあたり、一人ひとりのメンバーの状況やチーム状態を把握することは大事です。そのため、

・メンバー1人ひとりの強みや意向、仕事状況
・メンバー同士の関係性の良し悪し
・部署特有の風土(意思決定の癖や優先すべき行動等)

を早い段階で収集することが大事です。

3.関係者

自部署だけで完結する仕事は無いため、他部署や顧客、外部パートナーとの関係性を理解することは大事です。そのため、

・そもそもどのような関係者(ステークホルダ)ーがいるのか
・今期推進していく上で影響度の大きいステークホルダーは誰か
・それぞれのステークホルダーのタイプ(関係性の良さやリスク)

を早い段階で収集することが大事です。

4.前年度状況

新設部署ではない限り、前年度何らかの近い業務が行われています。前年度のやり方はどうだったのかを押さえておくことは、今年度を推進する上で貴重な情報になります。そのため、

・前年度の戦略と結果の良し悪し
・業務上の問題やリスク、過去からの経緯
・前任者のマネジメントスタイル

を早い段階で収集することが大事です。

4.チームを早期に立ち上げるための5つの観点

新任管理職が陥る6つの罠でもあった通り、新 しく管理職に着任した際は、どうしても業績目標に目が行き、チーム作りが後回しになったりします。そのため、事前にこのタイミングで何を行うかを明文化していおくことが大事です。収集すべきポイントを理解した上で、進めていく上でのポイントやタイミングについてまとめてみたいと思います。

着任前後に推進していく5つの観点

着任前後に組織を動かしていく上で注目すべき観点が5つあります。「上司」「ビジョン」「メンバー」「チーム」「関係者」です。初期段階で行うことをそれぞれ考えていきたいとおもいます。

1.「上司」と「ビジョン」

部署のマネジメントを行うにあたり、間違いのない方向性を明確化することはとても大事です。

1.上位者である上司の意向や制約条件を確認し、すり合わせを行うこと
2.具体的に到達すべき「目標」とメンバーを動機づける自らの意志がある「ビジョン」を明確化すること
3.上司と目標やビジョンに認識のズレが無いかを確認して合意すること
4.上司のタイプを把握して信頼関係を築き、これからコミュニケーション取りやすい状態を作ること
5.ビジョンをメンバーに発信し、浸透させること

2.「メンバー」と「チーム」

メンバーをマネジメントし、部署全体で成果を出すことが求められる管理職。一人ひとりのメンバーの力を引き出し、かつチームとしての力を最大化することは主たる役割です。

1.メンバーが前向き働くためにも、一人ひとりの意向や状況を把握して、信頼関係を築くこと
2.把握した情報を踏まえた体制や戦略を立案すること
3.ビジョンや戦略、体制面やチーム規範を共有し、納得感を高めること
4.一人ひとりと目標と評価方法に対して合意を得ること
5.感謝や称賛を行い、また困っているキーとなることをフォローする事で信頼関係を築くこと
6.定期的にチームで振り返りを行い、一体感を作り出すこと

3.関係者

自部署だけで完結する仕事は無く、他部署や顧客、外部パートナーと良好な関係を築くことは、成果に向けて組織を推進する上で大事です。

1.関係者(ステークホルダー)を洗い出し、それぞれの情報を収集すること
2.早い段階で先手を打って挨拶をすること
3.特にキーとなる関係者とMTGなどで今後について議論すること
4.現在の関係者以外に、将来を見越してネットワーキングすること

着任前後に推進していくタイミング

組織の状況にもよりますが、理想のイメージとしては以下の通りです。

「内示~着任日までの期間」

・「上司」との関係性を強化し、目標や注意点等のすり合わせを行う
・前任者から「ステークホルダー」の状況や前年度運営状況を聞く
・メンバーの中でもキーとなる人と面談し、事前に関係を作る

「着任日から2週間以内」

・「メンバー」の気持ちを掴む所信表明を実施する
・「メンバー」全員と面談をして、意向を収集し、信頼関係を築く
・把握した情報をもとに「ビジョン」や戦略、体制・チーム規範等を設定し、「チーム」に伝えて対話する
・他部署や外部パートナーなどのキーとなる「関係者」と今後について議論する

「着任日から1か月以内」

・「メンバー」と目標や評価方法を合意する
・「メンバー」や「チーム」に感謝や称賛を伝える
・「チーム」で振り返りを行い、「ビジョン」に向けた手応えを感じる

「着任日1か月以降」

・「上司」や「チーム」と定期的に振り返りを行う
・「メンバー」や「チーム」に感謝や称賛を伝える
・今までとは違う「関係者」をネットワーキングする

いかがでしたでしょうか?

事前にこのタイミングで何を行うかを明文化しておくことが大事ということで、何をどのように進めていくかポイントやタイミングについてお伝えしました。理解はしたけれど意識し続けることは難しい、実際に業務に忙殺される中で大事なこれらのことを思い出せるかどうか、という不安もあるかと思います。そこで積極的に活用したいのがココラボ(Cocolabo)セットアップ 。新しいチーム作りのためのアクションをお知らせしてくれるためのツールです。上記のような明文化された人や組織づくりに必要なアクションを必要なタイミングでお知らせしてくれます。

チームを任されることが決まったら、まずはココラボ(Cocolabo)セットアップ に登録し、力強いサポートアイテムを手に入れましょう。

画像4



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?