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『オルタネート』は人を好きになる瞬間を思い出させてくれる

こんばんは!

久しぶりに読書感想文を書こうと思う。

昨日『オルタネート』を読み終わった。少しずつ読もうかな…と思っていたのだがあまりの面白さに一日で読んでしまった!

感動が冷めないうちに感想を纏めておこう。😎

『オルタネート』とはアイドルグループNEWSに所属する加藤シゲアキさん作の小説である。
第42回吉川英治文学新人賞受賞作品で他にも2021年本屋大賞ノミネートされ、直木賞候補作にもなった話題作だ。

まず本のタイトルにもなっているオルタネートとは高校生専用のマッチングアプリの名称である。

高校生からマッチングアプリなんて!!と思ってしまうのは私がもう若くないということなのだろうか。😌

マッチングアプリを使ったことのある私は高校生たちも自分と同じような目に遭っていてとても複雑な気持ちになった。会ってみたら「あれなんか違う」ってお互いに思う現象なんだろう。😁

高校生からマッチングアプリの何とも言えない虚無感を知ることになるとはすごい世の中だなと思った。

物語の中でオルタネートを使用していない高校生はLINEをやっていない人と同じくらい驚かれるほどにマッチングアプリが高校生の間で普及しているという設定になっている。

このオルタネートを通して様々な高校生の立場で物語は進んでいき、所々で繋がるのが面白い。登場人物たちが生き生きとしていて爽やかな小説だとおもった。

まるで真夏に飲むキンキンに冷えたカルピス!😁

炭酸水が良いかもしれないと思ったけど私は炭酸が苦手なのでカルピスにしてみた。

『オルタネート』という小説は人を好きになる瞬間って何だっけというのを思い出させてくれる小説だと思った。
初心にもどることができる。

例えば登場人物の1人、新見 蓉(にいみ いるる)はオルタネートをやっていない珍しい高校生だ。けれど三浦 栄司は高校生の調理バトル企画で蓉と出会ったことをきっかけに彼女に告白し付き合うことになる。

私は栄司同様、蓉が好きだ。笑

蓉は料理にたいして真面目に向き合う。去年の調理バトルでは栄司のチームに負けてしまい涙を流すぐらいに悔しがるほどに一生懸命だ。

そんな姿に惚れない人はいないだろう。料理好きの栄司が蓉を好きにならないはずがない!(笑)

人は何かに一生懸命な人、夢中になっている人に惹かれる。

更に今年も栄司と対戦することになった蓉は正々堂々と料理で戦いたいということを理由に栄司と一時的に距離を置くのだ。

カッコよすぎる!!

栄司の告白シーンは是非本編を読んでドキドキして欲しい。

そんな素敵な出会いがある一方オルタネートを信奉する女子高生、伴 凪津(ばん なづ)は数値による運命の出会いに渇望していた。

まさしく婚活に熱をいれる女性そのものだった。

私も一時期マッチングアプリのパーセンテージを気にしたりしていたので凪津の気持ちはよく分かる。マッチングしても相手と会わないとか、マッチングアプリを紹介した友達の方が先に彼氏ができるとか…当てはまりすぎて心が痛んだ。

しかもオルタネートには「ジーンマッチ」という遺伝子レベルでのマッチングが可能なのだ。

ここで疑問に思うのが果たして数値で人を好きになるかどうかということである。

結局人は蓉と栄司のように何かに一生懸命で輝くような魅力を放っている人を好きになるのではないかな…と思った。

数値にすることができない、解明することのできない無意識のうちに生まれた「ああこの人いいな」という気持ちがあって初めて人を好きになることができるのでは?

なんて考える。

多分人を好きになるのにアプリは必要ないし、解析も必要ない。そもそも人を好きになるのに理由なんてないのかもしれない。

人と出会うきっかけにはなるかもしれないが好きになるかどうかは別問題だ。

もう一人の登場人物である 楤丘 尚志(たらおか なおし)も高校を中退しているためオルタネートを使用できない。

そんな身でありながらも大阪から東京へやってきて色んな人と出会い、好意を持たれたり人を好きになったりしている。

尚志のようにオルタネートに頼らずとも幅広く人間関係を築くことのできる人もいる。

オルタネートを信奉する凪津との対比が痛いくらいに胸に来る。凪津のように多くの人は確かなものが欲しいのだ。絶対的な何かが。

誰だって損したくないし失敗したくない。

残念ながらどれほど技術が進歩しようともこの世に絶対なんてないのだ。完璧なものなんてないんだってことに気が付く。

凪津はオルタネートで出会った「何か違う」とおもった男子生徒に放った台詞が私の心に残っている。

「わたしはやり直さないよ!今までの自分を否定したりしない!」
「もっともっと自分を信用することにする!もっと自分を好きになる!そのために、私は私を育てる!」

 ↑『オルタネート』加藤シゲアキ 351ページより抜粋

凪津はオルタネートを辞めて園芸部の活動に力を入れるようになる。凪津の心の成長に私は感動した。きっとそんな凪津を好きになる人が現れるだろう。

人を好きになるにはまず自分を好きになることから始まる…のかもしれない。


オルタネートは人を好きになる瞬間を思い出させてくれる素敵な作品だった。

この世には数値化できない、解析できない何かがあって当然!ちゃんと目の前の人を見て、自分を見つめ直そうと思う。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!😌

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