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#40 かたちには理由がある




特別な人との出会いは
一度に一人ずつ。

それも振り返れば崖っぷちの時、
変わりたい抜け出したいと思っている時に、
出会えているとおもいます。



松浦弥太郎さん。
20代はじめに出会ってからずっとずっと好き。

この本は繰り返し読み返しているもの。

目に見えない部分を初々しく保つ__
これが新鮮に生きていく方法だと僕は思います。
「成長しなくてもいいけれど、いつも新しくありたい」と願うのです。


弥太郎さんに
どれだけ育ててもらえたでしょう。

ハートがわちゃわちゃ落ち着かなく、
拠り所を探していたときに
ピタッと出会えたの。

日々の暮らしをていねいに過ごすヒントを
あたらしい一日をおくる秘訣を
やさしい言葉で、おまけにさりげなく、
そっと教えてくれる心地よさ。

ちいさな心がけ、工夫ひとつで
こんなにも日々の暮らしを
豊かにしていけるんだと
うっとりしながらも、
とにかく理想のかたまりでしたから、
弥太郎さんのような、"凪" のひとになりたい。
そう思ったのが大きかったなぁ。

それからも、
弥太郎さんエッセンスを自分の血肉にしていくべく、弥太郎bookを愛読書にする日々。

20代のたくさん回り道をする時期に
人生の指針となる
歩む人生の方向を示すコンパスに出会えたことは、ほんとうに大きい出来事でした。

当時は周りの大人に、
人生をたのしんでいる人が見つけられず、
みんな文句と不満と足りないものばかり。
年を重ねていくことの楽しみもない様子。

おまけに、お酒を飲んではワーワーぎゃーぎゃーで、ちっとも面白くもなければ品もなかったのです。向き合うことも変えようとすることもなく現状に甘んじて手っ取り早い快楽に真っ先に手を伸ばすといったところにも、ムムムって思っちゃっていました。

大人になるのって、
こんなにさびしいことなのかな、、、

大人が抱える大変さもまだまだ知らない未熟者ではあったけれど、分からず屋なりにも抵抗があったことを思い出す。

そんな時に出会えた弥太郎さんですから、
わたしは目をキラキラさせて
夢中になって、
たくさん影響を受けました。

こんな素敵な大人から
もっともっと色々なことを教わりたい。

こういう大人の話だったらいくらでも聞ける!!と、大人アレルギーをここから徐々に克服していったことも思い出す。

そう。
信用できる大人との出会い、
ってやつでしたね。

他にもいろいろしゃべりだしたら止まらないので、弥太郎さんについての話は、また今度。

弥太郎さんの本は定期的に触れたくなる。

心落ち着くことば達に会いに行って、
気持ちの豊かさを拾い集めに行こう。

" きほんはいつも、自分を助けてくれる "



この夏の出会いの話。




信号??

そう、信号機ー!


そして、
この信号機をデザインされた秋田道夫さん。

に出会えた夏。

このひとつの出会いで
2023の夏は最高だったじゃないか!
と、心底思えるほど舞い上がっているのです。

オセロで一気にひっくり返って形勢逆転するような、この夏のしんどさが一気に向きを変え、瞬く間に景色も変わり、この夏のステキな贈りものを頂いた気分です。


ほんの数秒で。
写真を撮られていたほんの数秒の間に、
動いている本物の秋田さんを見て、声を聞いて、にこやかな表情を見て、身に纏っていらっしゃるオーラに引き寄せられて。

アンテナがビビッと反応したの。

瞬時に好きと感じました。
信頼を置いている瞬発力です。

もともとね、
ハヤカワ新書情報より、
お名前と刊行内容を目にして知ってはいたの。

" 素敵な妥協 "
" 研ぎ澄まされた普通 "

読む前からワクワクする言葉だわ。

プロダクトデザイナーという存在を知り、
デザイナーの思考とはどんな世界なのだろう、どんな景色なのだろう、おもしろそう!と気にはなっていたものの、自分には縁遠い世界のお話かもと思ってしまっていて。

なのにね、実際にお見かけすると、
あれよあれよと気づいたら虜です。

目には見えないものを
感覚的にキャッチできた喜びは極上です。

そしてそして、線。
描かれる線、です。
ここに一番くらっときました。

なめらかで迷いのないのびのびした素直な線に魅了され、許されるなら、周りも役割も何も気にしなくてよければ、その場にずっといたかったものです。

" 魅力的 "とは、また会いたくなること。

わたしは、またあの" 線 "に出会いたく、
Twitterへ。🕊


そしたらね、もうね、
目に飛び込んでくるツイートの言葉の数々に
心掴まれてばかりで。。。

ハッとするような大事なことを教わりながら
どんどん余分なものが削ぎ落とされていく感じ。

身体に染み込ませて、馴染ませて、
自分の感覚にしていきたい言葉ばかり。

そう、師匠の技を盗みたい弟子の気持ちになりました。
師匠の思考のエッセンスを限りなく知り尽くしたい、とスクロールする手が止まりません。

見れば見るほど虜になるし、
追いかけても追いかけてもまだまだ遠い背中。

わかりやすいシンプルな言葉でありながらも、
時折、秋田さんが意図するものの本質にたどり着けず、もっと深掘りしたい言葉にも出会う。



わかるようでわかっていない。
もっと本質に迫りたい。
けど、言わんとしていることを感覚的に直感的に受け取り、いやいやすごい。。

残る言葉というか、
自分に大切だと思う言葉が蓄積されていく。

いつかあの言葉が意味していたことを実感する日をたのしみに、言葉を受け止め、
よく考えて、自分に落とし込みたい。

こんな素敵な方がいらっしゃったことを知らなかったなんて。。

これまで知らなかったことが悔やまれましたが、いえいえ、この夏の大収穫として結果OKです。
これから知っていけばいいのですから。(^^)

一方的にでしたが、
この夏のとっておきの出会いとなりました。





これまで手がけられた製品を軸に、
モノが生み出される過程、
かたちが生まれる瞬間、
それまでの秋田さんの思考、センス、着眼点、工夫、そして想いまでもが辿れる本書。

秋田さんの人となりも知れちゃうのも魅力ポイント。

普遍的なものをベースに、
モノを作る、生産する人への配慮、
使う人への優しさ。
長い目で考えられて生み出されてきた数々の製品。

そう、指の先の先までデザインされている、それが素敵なの。

そして、
すべてがキラリと光って映る。

丸みからやわらかな印象は受けながらも、
キリッとしたオーラ、
洗練された空気感を纏い、
デザインとしてのオシャレさも感じる佇まい、存在感というのでしょうか、
「かたちは本来どうあるべきか」を追求する先に生まれたかたちに魅了され、そこに秋田さんらしさも感じられて。

" 研ぎ澄まされた普通 "って
こうして見るものを引き寄せるのね。

正円は、誰が描いても正円ですし、どういう大きさになっても正円のままです。
だから時代とも関係ないし、飽きられようがありません。同じように、正四角柱というか、切り口が正方形になる直方体は正円と同じで、個性や時代を含まないのですが、それ以外だとやっぱり時代を吸い込んでしまうのです。

大量に使われる製品は「研ぎ澄まされたふつう」でなければならない

この溝は組立工場の作業ラインにあるローラーの幅に収まるように設計されていて、これがあると組み立ての際にローラーの上をボディがスムーズに走るので、流れ作業がしやすいのです。
見た目の美しさだけでなく、製造生産についても配慮したデザインにしました。

デザインとは「素敵な妥協」をすること

遅刻しそうになって急いでいる人がゲートを抜ける時に、膝や向こう脛を打っても痛くないようにという配慮だったのです。
人の側だけではなく機械も痛くないようにすれば、機械の表面にも傷がつかず美しさが長く保たれるのではないかと思い、ロジカルと人の機微を加味してデザインしていきました。

セキュリティゲートのはなし


そして、
与えられた条件のなかでいかに面白くするか。

ここで秋田さんらしさが際立ち、
味付けのしかた、
付け足したり減らしたりする
この味付けの塩梅がすばらしく、
デザインやアートをよく知らない者でも、
すっかり魅了される秘密はきっとここにあるのでしょうね。

ひとつのスケッチにたいして、いろんな人の誤解がいろんな角度から集まってきて、その結果、なにか新しいものが生まれてくるのが好きなんです。

アイディア・スケッチは美しき誤解


雪かきスコップから
ナイフのかたちが生まれついたのは、
なんと素敵な発想の転換でしょう。

さまざまな事情から
オーソドックスな形状になったとされていますが、こうした背景を知り、発想のセンス、デザインのスタートにうっとり。

(腰を深く曲げなくても雪をすくえる画期的なアイディアから、スコップをひっくり返し、切ろうとしていないのにすでに刃が切る角度になっていて楽に切れるナイフにしたいと着地する飛躍力に感動。)

ほかにも使い手を想ってのさまざまな工夫が施され、" 重さ "もデザインされているカトラリー。

見る見る欲しくなりました。


わたしのwish listのひとつに、
このカトラリーで日々の食を堪能するという
願いが付け足されました。


最後の最後に、
かっさらわれた箇所を。

強いて言えば、小学校をデザインしたいという気持ちがずっとあります。
建物から内装から机や椅子、遊具まで総合的にやりたいんです。

デザインはどこへ行くのか

教育的なものや、美意識を育てるようなものは、やりたいというより、プロダクトデザインの義務ではないかと考えています。
いわば「しつけのデザイン」。
そういう意味では、デザインの行き着く先は
「教育」と「言葉」なのかもしれません。

デザインはどこへ行くのか


もうね、ひたすら感動。。

" 小学校をデザインしたい "

わーーーー素敵すぎませんか。
なんだか泣きそうにもなっちゃうのです。

小学校をデザインしたい、と秋田さん。
小学校を作りたい、と近しい人が発言していたことも思い出す。
(教師であり、理想とする教育を小学校でしてみたいと述べていました。)

いろいろと感動しちゃいました。。

そして、
デザインの行き着く先は、
「教育」と「言葉」なのかもしれない。

この着地に、
わああああ見えてるものがすごい、
見ようとしているものがすごい、、、
グッときました。。

こんな感動が最後に待っているとは思いませんでした。
素敵すぎました。。


余談ですが、
うれしくなった話をみっつ。

秋田さんデザインの湯呑み
80mmのはなしの中で、

真空二層ではないから、熱いものを入れて手で包むように持つと、ほんのり温かいところも好きです。手のひらを「たなごころ」と言いますが、そういう表現が似合う温かさがあるように思っています。

80mmのはなし


この「たなごころ」のワードに
なつかしさとやわらかさが思い出され、
ある一冊の本が思い浮かびました。

中学生のときに通っていた英語教室で、
ミニテストに合格すると1枚もらえるカード、30枚集まると3000円分のすきなものが買ってもらえるシステムで手にした本です。

英語教室の先生に、
日本語の本をおねだりする私ったら、、、(>_<)

とにかくこの頃から
日本語の美しさに影響を受けていたことにうれしくなったし、

「掌(たなごころ)」の言葉が素敵だったのでご紹介。

手の平にあるもの
手の平のことで、もともとは「手の心」だったそうです。
手の中心という意味ですが、実際、手の平と心は、深い結びつきがあります。
手と手を握り合えば、心が通じたような気がしますし、緊張している時は、手に汗をかきます。
怒りに震える時は、手をぎゅっと握りしめていることでしょう。
もっと、手の心に敏感になれば、自分の心や人の心も、わかりやすくなるかもしれませんね。
もしよかったら、今、そっと両手を差し出してみてください。
掌、そう、手の心を上にして、あなたの心を、ささげ持つように...。
どんな心か見えますか。
ふんわりとした、あたたかい心がのっかっているといいですね。

美人の日本語

そしてね、驚いたのが、

おとなりにある言葉が、
「機嫌」だったのです。

偶然に過ぎませんが、
ほっこりうれしい気分になりました。



そして、

1921年にフランク・ロイド・ライトが設計した自由学園明日館という建物があります。

フランク・ロイド・ライト、、、?
んーーー。

は!!!
火山のふもとでだ!!!

「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった。

この一文からはじまる本書。
書き出しを覚えている本って限られているけど、これは忘れずにいるね。

所長は、大戦前のアメリカでフランク・ロイド・ライトに師事し、時代に左右されない質実でうつくしい建物を生みだしてきた寡黙な老建築家。

そうだったー。
久しぶりにこの名前に触れてハッとしたなぁ。

「火山のふもとで」読みたいなぁ。
なかなか時間が捻出できないというよりか、カラダが日々に追いついていかないものだから、長編を読み切る体力と集中力が今はないの。かなしいけど。

小説を読むよろこびがひとつひとつのディテールに満ちあふれた、類まれなデビュー長篇。

おっしゃる通りです。

わたしもだいすきな作品です。
あの静けさと美しさにまた浸りたいなぁ。。


びっくりうきうきサプライズ。

「かたちには理由がある」を読み始めて
数日経った頃。

幕張へ車で移動していた時に、目に飛び込んできたの。

おや、これって、、、?

車ですから早々と通り過ぎてしまいます。
けれども、遠くからと瞬間的な近くからの観察を何回か繰り返すうち、どうやらこれは本物かもしれない。

と、心臓がドキドキし始めます。

何度目かの信号を通り越す際、
ついに赤信号で車が停まります。

まじまじと見上げれば、、、


きゃーーーー!!!!
あった!あったよ!!歩行者信号の裏側に5本線!!これが強度を高めたとされるあの5本線かぁ!!わ!カーブも!!とひとり大騒ぎでした。

ほんと思いもよらぬというか、
東京のオサレな所にあるとばかり思っていたので、まさか千葉にあるなんて、とたいそう驚きました。

ちょっとしたサプライズで出会える贈り物、ってやつでしたね。


これが日曜日の出来事で、翌月曜日。

どうやら千葉だけでなく、埼玉にもあると知り、もしかして家の近くにもあったりするのかも、、、?とよぎる。

帰り道。


わぁ!あったー!
ひさしがないバージョンも!

今まで何度も通りすぎていたのに、
全然気づいていなかった。。

さまざまな信号機を見上げて
思ったのだけれど、
想像以上に大きくてずっしりしていたんだな、って。想像以上にゴツくて、えーー信号機ってこんなだったんだ、って驚くのもあったり。

この薄さは、ほんとすごいと思った。
すごい発明モノだと思う。

正に、
" 横から見た時に「消える信号機」"


おや?

おやおやーーーーー?!

いまは包帯ぐるぐるミイラちゃんだけど、
これってもしかしてそうよね?

ね!そうだよね!!
と舞い上がり、人目も気にせずバシャバシャ写真を撮っていました。

青信号になっても渡らず、
ようやく渡ったあとにも、またバシャバシャと。

通りすがりの車の人からしたらきっと、
" あの人は相当信号機に興味があるようだ "
と、思われたかもしれません。ふふ

大変楽しくなってしまい、
最後には「半猫」ちゃんさえ見えちゃいました。


うれしさの続きがあってね。
家を出て最初に出会う
ファースト信号機も秋田さんデザインだったの。
なんてツイてるの、って思いました。

秋田さん信号機を見ると、
わたしは気分が上向きに。
どんな出会いがあるかな?
街歩きたのしい!って気分になれます。


るん。


吸い込まれるーー。


NFT版についてた画集で
椅子のデザインがあったのですが、
あの椅子、ワタシホシイ。トテモホシイ。
絵でみてるだけで座りたくなったよ。

デザインのこともなにも知らなかったけれど、
秋田さんお一人の人間に惹かれて手にした本、
「かたちには理由がある」。


外山さんから教わった" 朝飯前 "の時間で本書を読み、弥太郎さん、火山のふもとで、それから美しい日本語に惹かれていた頃を思い出すなど、いろいろな気持ちがめぐりました。

本書をきっかけに
普段目にしているあらゆるモノは
だれかの手によってデザインされ生み出され、
わたしたちの景色すらもあたらしく生み出してくれているのだと気づきました。

視界には入っていたけれどピントが合っていなかったものがたくさんある事に気づき、観察の先にあたらしい出会いや発見があることを改めて教わりました。

長々と書いてしまいましたが
知れば知るほど魅力を感じる理由は、
と考えたところ、

秋田さんを分解していくと
その答えに近づいた気がしました。

分解していくと、
プロダクトデザイナーであり、
暮らしのデザイナーでもあり、
景色のデザイナーでもあり、
言葉のデザイナーでもある。

そしてね、何より
こころを軽くしながらも、
タフさと強度、心持ちをあげて
ハートのかたちを整えてくれる
ハートデザイナーの一面にドキッと心奪われたというお話でした。

とは言うものの、
つまるところ秋田さんは秋田さんであって、
秋田さんをあらゆる角度から見てそのちがう表情に楽しませてもらい、感動をもらっているのだなと。


右手に弥太郎さん。
左手に道夫さん。

こんな素敵なおふたりに
いろいろなことを教わり、
わたしも暮らしを" デザイン "していきたい。

おふたりに共通している、
この誠実さに惹かれているのです。

あたらしい思考、
あたらしいアイテムを手にして、
そして、あたらしいあたりまえを日常に溶け込ませていこうと思いました。

キュン。





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