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イタリアとマスク

新型コロナウイルス感染拡大により、マスク着用が必須となったイタリア。

日本では日常的にマスクを着用し外出することはなんら問題では無いが、欧米ではマスクを着用していると重症患者だと勘違いをされ、周囲を不安にさせてしまう。私も日本にいたときの習慣で当初は「スッピンだからマスクをしたい…」と思うこともあったが、まずこの国ではスッピンであること自体が全く問題無いので、街中で着用することは一切無かった。日本から念の為持ってきていた数枚のマスクも、抽斗の中で眠っていた。

このような事態になり今後イタリア人はどうするのだろう?と外出禁止令発令中にふと考えていた。日本人以上に、煩わしさを感じるだろうし、単純にマスクを着用しながらどんな過ごし方をするのか疑問に思った。

外出禁止後の3月9日〜4月中旬までは使い捨てマスクが市場から無くなり、皆慌てふためいていた。風の噂で「○○の店で手に入る」という情報をどこからか仕入れると、皆我先にと買いに走っていた。

使い捨てマスクがスムーズに流通をし始めた頃には、様々なアパレルブランドがマスクを製作し始めネット販売を始めた。5月18日(月)以降は営業活動を停止させられていた商業店舗が開かれ、ブティックやMERCATO(市場)の店先ではマスクがたくさん販売されている。そして今、皆自分のお気に入りのマスクを探し買い求めているのだ。

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▲ブティックのショーウィンドウに飾られたマスク。

2枚で€15。やはりブティックで作られたものなだけに、生地や形状がしっかりしているように感じた。

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▲クリーニング屋で売られている洗えるマスク

豹柄や花柄など、かなり派手なデザインが多く見受けられる。

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▲市場で売られている洗えるマスク

Lavabileとは「洗える」という意味。デザインは単色でシンプルなものもあるが、なかなか個性的なものが多い。驚いたのはイタリア国旗のトリコロール柄を付けている人が多いこと。イタリア人の愛国心を強く感じた。

私は日本からポリウレタンの洗えるマスクを持ってきていたのでそれをしばらくは着用していた。近所の人や街ですれ違う人に「それ良いね。どこで買ったの?」と聞かれた。皆より良いマスクを求めているのだと思った。

今は私もマイマスク探究の波に乗ってフィレンツェのPHOというブランドから購入したマスクを着用している。アースカラーが大好きなのでとても気に入っている!(※このマスクはPHOのinstagramアカウントで販売中。一枚€6程度。イタリア国内のみ配送可能。)

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このように今までになかった「マスクを着用する」という習慣に、自己表現や新たなコミュニケーションとして楽しみを見出している姿はとても勉強になった。

そんな中ついこの間、日本のニュースを見ていたところ、ある小学校のマスク着用のルールの中に「白色のマスクであること」や「アベノマスクであること」という記載があることを知って心底驚いた。(まず「アベノマスク」という表現を学校で使っていることも適切でないと感じるが…)そして、おそらくこういったことは、一部の学校だけでは無いのだろうと容易に想像できた。

マスク一つとっても、日本とイタリアの「多様性」や「個人の自由」、「自己表現」の考え方の違いをまざまざと実感させられることとなった。日本でも、少しでも、イタリアのような個人の意見や希望が尊重されるようになれば、皆がもっと生き易くなるのではないかと感じる今日この頃だった。

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