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Impression【成長を支援するということ②・インスピレーションを与える対話】

「問題を正そうとするのは間違った方法だ」

ここから始まった第一章の前回はこちらから。

① Personal vision(夢、理想等)を発見、再確認することで自身の未来像や情熱の対象、目的、価値観といったものが明確化する。
② ①により感情、思考、行動が変化し、行動による自身の成長や理想への接近を実感する、出来るようになる。
③ ①②のプロセスにおいて人々と「共鳴する関係」が築かれ、維持されたその関係がまた新たな可能性を見出す種となっていく。

ということです。そして、この①~③の達成をする為になにが必要か。どのようなアプローチが効果的なのか?
 
ここから第二章に入ります。

☆つながり。関係性の重要さとは?

支援プロセスの中心にあるのは支援する、される人相互の「人間関係」。
「思いやりのコーチング」の目指すところはコーチングをする人と受ける人の間に「共鳴する関係」を築くことと明確に定義がなされています。そしてまた、この第二章では【影響を与える人】の特徴として

① インスピレーションの源としての役割を果たす
② 心からの思いやりや気遣いを示す
③ サポートや励ましを差し出す
④ 相手が夢や情熱を発見し、追及する際の手助けをする

という4つの指摘を行っています。この4つはコーチングを行うものとして、プロアマ問わない基本的な立ち位置、土台とも言えそうですね。僕自身もこれまでこの業界的に見てきた印象として、コーチとして壁に当たっている方の多くが①と④に課題を持つパターンが多いように感じます。 
 
また「誘導型コーチング」において
 
【持続的な変化を引き起こすことがあまりなく、可能性をフルに開花させるような努力につながること、ましてや達成することもほとんどない】
 
とはっきり指摘しています。こちらもやはり、僕自身もよく経験から見てきた部分ともいえるでしょう。

例えば、実際によくあるケースでは、コーチが目の前のパートナーではなく「報酬」を与える会社にフォーカスしてしまっているような状況です。つまり、契約先の会社に対して利己的な成果を主張したいがために目の前のクライアントを「誘導」し、それっぽい結果を作ろうとします。
 
そして、優れたリーダーや観察力の高い個人のみならず、多くの人はこうしたコーチの関わり方を見抜きますし、相応に反応します。優秀な人ほど「アリバイ」を持たせてやろうと演じますし、クライアントが演じ始めてしまえば本質的な変化や改善などが起こるわけもありません。
 
思いやりのあるコーチング。うちの「Moon」スタイルでのコーチングは最初に丁寧に心理的安全性と関係性を紡ぎますので、これらの誘導型を生業とする方からはよく「のんびり」といったフィードバックを頂いたりします。ときには「自分だったら論破して従わせられる」もはやコーチではないティーチングの話を言い出す人もいます。
 
けれど、一ヶ月、二ヶ月と時が進むとこうした誘導型を行った彼ら、彼女らは、必ずと言って良いほど行き詰っていってしまいます。そして、本質的な自己認識や明確な状態を描いてこちらのスタイルのクライアント達とは成果において離される一方になっていくわけです。

☆共鳴するとは?

こうしたスタイルの差は、スキルではなくマインドセット(考え方)に由来するとも言えるでしょう。思いやりのコーチングを実践できるコーチは、目の前のクライアントに集中し、
 
「この人の成長が周囲の人に影響を与え、会社や組織全体によい影響を与えていくことが出来る」
 
というつながりが見えていて、そこに自信(Confidence)を持ち、信念を貫けるだけの土台があります。

しかし、誘導型コーチングをしてしまう人々はそうではない。目の前のクライアントの成長よりも自分自身の名声や報酬が優先するマインドセット(考え方)であるといえます。その結果として目先、小手先の小利を得ようとするあまり、クライアントの本質的な成長に実は寄与していません。当然、中長期的には依頼主である会社や組織にとっては、むしろ悪影響にすらなってもいる(持続的な案件にならないので自爆ともいえる)ということです。
 
本章ではこうした共鳴する関係の条件として

① マインドフル
② 希望を喚起(未来に矢印)
③ 思いやりを示す

という三つの条件を示しています。特に②に関してはコーチとして意図的にコントロールできるかどうかはとても重要な箇所であるように感じました。
 
というのも、人は「希望」や「願い」といったものを感じられなければ一歩を踏み出すということがとても難しくなってしまうからです。そして、この希望や願いと言ったものは、常に「未来」にあります。
 
ですので、私たちコーチはこの「未来」をいかにして共に探索するかということのプロフェッショナルでもなければいけないわけです。過去の延長から「強制」や「義務」によって、無理やりに押し出された一歩目というものには「価値」がない・とも言えるでしょうか。

本書で優れたコーチがインスピレーションを与えるというには、まさにここの引き出しにあるとも言えるでしょう。ただ傾聴するだけではなく「言葉」を駆使し、対話をして、時には助言も行い、責任あるサポートを実施する。そして、相手のインスピレーションを誘発する。
 
そんな「感情の伝染」による共鳴状態をつくること。

それが、良いコーチの「Standard」とも言えそうです。
第三章へと続きます!


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