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Impression【成長を支援するということ①・支援の本質】

今日からこちらではエビデンスとなる論文やそれらに基づいた書籍を紐解いていき、その Impression(感想)と日々の実践の中でつながるところなどをシェアしていきたいと思います。そして、まずチョイスしたのがこちら

「成長を支援するということ」(英知出版)

です。今回は第一章「支援の本質」について触れていきたいと思います。

☆ここでの前提とは

対人支援者が効果的(主に科学的)かつ感情的に個別最適に近づく支援を行う。そんな時に私たちは、相手から3つの変化を観察することが出来ます。

① Personal vision(夢、理想等)を発見、再確認することで自身の未来像や情熱の対象、目的、価値観といったものが明確化する。
② ①により感情、思考、行動が変化し、行動による自身の成長や理想への接近を実感する、出来るようになる。
③ ①②のプロセスにおいて人々と「共鳴する関係」が築かれ、維持されたその関係がまた新たな可能性を見出す種となっていく。

ということです。そして、この①~③の達成をする為になにが必要か。どのようなアプローチが効果的なのか? ということが本書の大テーマにもなっているわけです。

☆過去原因論との決別を

本書でも指摘されているように、誰かに対して支援を行う際に、人々は「問題を正す」というアプローチをします。当然、日本でも上下関係による「こうすべき」「ああすべき」という親、上司、教師からの指示、命令による「Must」文脈での関わり方は依然として多数派です。
 
そしてコーチと呼ばれる方々の流派の中でも、本書で指摘される「誘導型コーチング」。相手の意志や願いに寄り添うのではなく、外(会社や学校といったクライアント達)から規定された短期的な目標を達成する為にコーチングを用いる方も主流派になる。これも疑いようのない事実で、特に本書でも指摘されるビジネス・エグゼクティヴで顕著なのも同様でしょう。

本書ではこれら

「問題を正そうとするのは間違った方法だ」

と冒頭から一刀両断しています。こうしたアプローチは短期的な成果こそあれど、長期的にはマイナスであるということです。

これらはGRITの研究でもあるように短期的なモチベーションで動かし、その後のリバウンド等のデメリットを無視するのではなく、持続的効率的にエネルギーを生み出すパッション(情熱)の感情をつかうことが社会の成功者にみられる特徴であることとも符合します。

☆思いやりのコーチングとは

本書ではこうした目の前のたった一人と感情的共感的につながり、相手が自身の願いや意志に気づき、その達成や必要としている成長への支援を行うコーチングを「思いやりのコーチング」と表現しています。
 
これ、自分が「月(moon)のコーチング」と呼んでいるものと同じだなと思いました。

コーチが太陽のように圧倒的に輝いてしまうと、メンタルおちている人には逆に辛かったり、比べてしまって本音を話ずらかったり。あるいは反発してコーチングなのに争うようなコミュニケーションになってしまったりします。
 
そこをわかったうえで太陽型を取り扱う方法もあるのですが、本来的にコーチングは月のように存在感は示しつつも、穏やかに相手を受け止めている。そんな態度や在り方の方がストライクゾーンを広くとり、より早く心理的安全性を築くことが出来ます。このポジションは、災害支援におけるPFA(サイコロジカル・ファースト・エイド)でもとても重視されているところです。

ですので、コーチング≒エネルギッシュのようなイメージがある方は、本書の購読とあわせてアップデートしてもらえたらいいな・とも感じています。

☆本書の背景

行動科学や脳科学等も活用したこれらの学びはどんな内容なのか。どのように結びついているのかは次章以降ということですね。
 
著者たちはケース・ウエスタン・リザーブ大学に所属し、メンバーで立ち上げたコーチング研究所のリーダーシップに関する公開オンライン講座には14万人を超える参加者を集め、感情知性を通じて心を動かるリーダーシップのコースでは215ヵ国80万人超の参加者がいたとのことで、背景としては日本とは規模感からして違うなと感心してしまいます。
 
というところで、続きます!


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