見出し画像

時事ネタ【コーチ視点での都知事選。2位と3位を隔てたキーワードとは】

3連単・現職→石丸→蓮舫に予測した方、おめでとうございます!
個人的にも期待通りの結果となり、今日は番外編として、メンタルコーチの視点からその解説をしてみたいと思います。

政党別支持率データを抜粋(TBS Youtubeより)

☆言行一致の法則

人は、言っていることとやっていることが違う人を嫌います
これはもう無条件に人間に埋め込まれている反応です。

3位の蓮舫さんは多くの組織票を有していました。これは上記データからも明らかで、立憲民主党、共産党、社民党が支持母体であることは明らかです。応援演説等にもこれら政党色が根強くあり、いわゆる無党派と呼ばれる方々の視点に立てば、

・無所属はあくまでも(自称)であって、無所属ではない
・オール東京といいながら、オール東京ではない

という矛盾に対する反発心が生み出されることになります。実のところ、最近の選挙では単純に「無所属」だと票を得やすいという風潮からこのような政党の紐付き無所属が増えています。
 
しかし、人々の心理的反応を考えるならば、むしろ政党の所属として旗色を明確にした方がよい。むしろ、その方が支持母体の票や無党派でもそちらに近い方々の票をより獲得できた・とも言えるでしょう。

これはマーケティングやブランディングでも同様に言われているところであり「無所属」というブランドの選択を誤ったと言えそうです。
 
また、加えて言うならば、これで政党に復帰して国政へ再起しよう等ということになれば、政治家個人としても政党としても、これらの作為を認めることになるわけですから、両者により支持離れが起きることは明白でしょう。

一方で、2位となった石丸さん。
こちらは政党「維新」からの応援を断り、無所属のブランディングを貫き、その言行を一致させました。市民の寄付と民間の応援を背景にした展開は見事であり、結果として無党派層においては知事現職とも五分以上の戦いを見せ、3位の蓮舫さんとはダブルスコアを超える支持を獲得しています。
 
まさに無所属のお手本のような戦いだったと言えるのでは・と思います。
「判官びいき」という言葉もあるように、人は巨大かつ傲慢、理不尽な組織に立ち向かう個人の小さな勇気を応援したくなる生き物です。まさにこの心理効果が表れている結果だったと思います。

世代別支持率データを抜粋(TBS Youtubeより)

☆過去より未来

そして人が「票」というものを託すのは、未来への投資に他なりません。
この点でも両者には致命的ともいえる差がありました。

3位になってしまった蓮舫さんの選挙運動では「過去」に矢印を向けた話題が多すぎたのです。

国政で展開した与党の裏金問題をはじめとして、神宮外苑を含めた公共工事の問題。これらを国政時代同様に「批判」して、相手のポイントを下げる、足を引っ張る手法を選択していました。一方で政策は出さず、出したものに「やり遂げる」熱量のある約束が何もありませんでした。これは前記項目にも通じますが有権者からは「無責任」に映ります。無所属であるにも関わらず、政党色を濃く出してしまった悪手でした。

一方で2位の石丸さんは政策を展開。未来の東京をどうしていくのか、日本全体にそれがどう波及していくのかという文脈を言語化し、都民へと「実現する政策」を具体で「責任」をベースに提案していました。
 
そんな両者にとって、個人的に潮目になったなと思ったシーンの一つが、蓮舫さんがプロジェクションマッピングの40億に対し肯定の反応をしてしまった瞬間でした。

支持母体の議会や電通という会社を意識したのかもしれませんが、神宮外苑はNOだけど、プロジェクションマッピングへの支出は問題ないということになると、都民はそこにまた矛盾を感じざるえません。

そして、現職と対抗候補と呼ばれた二人が「肯定」したのに対し、石丸さんがズバッと「無駄遣い」と切って捨てた。その論拠も明快でしたし、都民の感じていた疑問を言語化したとも言えるシーンでした。

この時、蓮舫さんは「無駄遣い」を批判しながら自らも「無駄遣いをする(政党既得権者)」の一員になってしまったのです。蓮舫さんに票を投じても違うところにお金が流れるだけで利がない。有権者にそんな判断をさせうる状況にもなったわけです。

となると、無党派における「変化を求める」有権者カテゴリーの選択肢は、石丸さん一択という形になっていきます。特に石丸さんが是々非々で対談に臨み、現職にも蓮舫さんにも関わっていた部分は、有権者へ言行一致の誠実性を示した部分でもあったと思います。

石丸さんが10代~30代において圧倒したのはネット活用の部分だけではなく、自分たちの未来を託しうる存在として映った。だから若い人が投票に足を運んだとも言えるでしょう。この点で蓮舫さんに不足していたのは、実は「Attitude(姿勢)」そのものです。選挙を通して誰に向き合うのか?といった戦略的準備とその落とし込みが不十分であったのだと思います。

政策別支持率データを抜粋(TBS Youtubeより)

☆この選挙をどう活かしていくのか?

そして上記データからも明らかであったように、蓮舫さんがもっとも旗印にしていた筈の「行財政改革テーマ」で石丸さんが断トツで票を得る結果になっています(現職が医療・福祉で強いのは、前記の60代~80代の支持を網羅しているところと同じとも言えそうですね)。ここは本当にプロジェクションマッピングからの流れが悪かった。「外苑どうする?」で「都民投票」と逃げて、石丸さんに「その投票の為に50億使うなら、他に出来ることあるだろう」と切られる悪循環。
 
「無駄遣いをしない」という政治家としてのブランディングに大きな傷を負いました。蓮舫さんとしては、政治家としても今後の立ち振る舞いでかなり難しい状況になってしまったかもしれません。

☆個人の感想です

さて、ここからは改めて数字で見ていくと、今回の都知事選ではざっくり1100万人の有権者がいて投票率が約6割なので660万票。1位の現職が約290万、2位の石丸さんが約165万、3位の蓮舫さんが約128万なので、この3者で88%強を集めた結果になっています。また、もともと組織票として国政比例から予測されていたのが現職(270万票・自公国民都ファ)、蓮舫さん(150万票・立民共産社民)でした。
 
石丸さんは残る無党派240万票から3割強を得て、現職と蓮舫さんからも票を奪取した結果といえます。とはいえ、現職に勝つためには、投票にいかなかった可能性の高い「無党派かつ40代以下」カテゴリーからあと200万票近く(現職の票も増えるので)集めないとなので、投票率としては最低80%代が必要そうにも見えます。自公が支援している都知事現職の壁の高さがうかがえますね。
 
ただ、若い人が立ち上がることで国政政党2位を含む3つの政党支持者に対し、無党派だけでこれを打ち破れたという結果は大きかったと思います。トップになれなくても対抗になれる。誰かを落とすことが出来る。これは国政与党の自由民主党、ましてや2位の立憲民主党にとってはより脅威となりうる結果でした。

「批判(過去)」ではなく「政策(未来)」を自らの言葉で責任と共に訴えていく。特に今回は、政治というカテゴリーにいる方々の経済音痴具合が明らかになり、これが悪い意味での官僚跋扈一因であることもチラリ見えてきたかと思います。
 
若い人の給与を、手取りを増やせる「経済」に通じた政治家を送り込むこと。その為には批判者ではなく、経済を理解し、政策として実行できる存在が必要となる。これがひとつの補助線になるようにも感じました。

東京以外に人々にも他人事にはならないこの結果。私達も日々を諦めず、未来への選択をしていきましょう!
 
では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?