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私たちはいつからカエルを触れなくなったのか?

出産のために帰省中の実家は、大分の田舎にある。

田舎とはいえ、私が子どもの頃にたくさんあった畑や田んぼはほとんどが埋め立てられた。
ドラえもんに出てくるような、謎のコンクリート製の管が積み重なった空き地もなくなり、若い家族が住むおしゃれな家がどんどん増えている。

過疎化と高齢化に歯止めがかかることはありがたいが、一方で自然が減ってしまうことに寂しさも感じている。
子どもの頃、祖父と近所の川に探しに行っていたホタルは、まだいるのだろうか?


そんな地域なので、ガーデニングが趣味の両親が、丹精込めて作り上げた我が家の庭は、生き物たちの住みかであり、息子にとっても格好の遊び場になっている。

昨日も「虫さんいるかな~?」「トカゲさんいるかな~?」と探索していた息子の元に、新たな出会いが訪れた。

小さな雨蛙が2匹、葉っぱの上にちょこんと鎮座しているのを、母が発見。もう60代だが、相変わらず目が良くて驚く。

「触りたい!」と目を輝かせる息子。
「触ってみたら?」と言うと、恐る恐る手を伸ばす。

ツン!と触ると、蛙は驚いて跳び跳ねた。

追いかける息子と、触られる度に逃げる蛙の攻防戦。

「虫はいいけど、カエルはなんだか気持ち悪いな…」と思いながら見ていた私だったが、よく見るとすごく綺麗な黄緑色で、つぶらな目をした雨蛙がかわいらしく見えてきた。


よく考えれば、子どもの頃はカエルやトカゲを平気で捕まえていたのに、いつからそういうものを触れなくなったんだろう?

嬉しそうにカエルを捕まえている大人は少ない。わざわざ観察しなくても、どんなものかはある程度知っているし、正直興味がない人がほとんどだろう。

ただ不思議なのは、なぜ「気持ち悪いから触れない」までになるかだ。
大人になるにつれて怖いものは減っていくのに、両生類と爬虫類についてはどんどん恐怖感と嫌悪感が大きくなるのは、きっと私だけではないはず…。


そんなことを考えていると「ママも触って~!」という息子の無邪気な声がした。

うん、なんだか今なら触れる気がする。逆に今触らなければ、もう一生触れない気がして、勇気を出して、逃げる雨蛙を捕まえてみた。

「カエルってこんな感触だったっけ?」
全く気持ち悪くないし、小さくてかわいい。

“思い込み”とは怖いものだ。


息子の手に雨蛙を乗せてあげると、はじめは肩をすくめて緊張していたが、じーっと観察していた。

子育ては大変なこともあるけれど、やっぱり楽しいものだし、学ばせてもらうことや気づかされることが多い。
子どもと一緒だからこそ体験できることや、忘れていた感覚を取り戻せることもたくさんある。

これからも息子と一緒に“好奇心”を持って、新鮮な気持ちで世界を見ていきたい。
“思い込み”という色眼鏡を外して。

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TCS認定コーチ
MCS認定マザーズティーチャー
PAA認定パートナーシップコーチ
岩谷けいこ(いわたに けいこ)


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