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国立大学職員になりたいひとのためにもう少しだけ考えよう。

続けて語るような内容でもないのですが,もしかしたら知りたいと思っているひともいるのではないかと感じたので,国立大学職員のことを書きましょう。

ところで,国立大学職員は平成16年から独立法人化されていて,今や純粋な国家公務員ではありません。このあたりの経緯については,google先生にお願いするといろいろ出てくると思うので,是非是非調べてみてください。

僕の印象では,独立法人化について世間が特別に盛り上がった記憶はありません。

なんとなく国家公務員の頭数を減らすために,国立大学などがターゲットになったんだろうなぁという感じです。名前が変わっても,お金の出所は同じなので,単に視線を逸らしているだけのテクニカルな話です。
まぁしかしそれはたぶんそんなには外れてはいないと思いますが,一方で国の施策が陰謀とか既得権益とか,政治家や官僚の都合がいいように行っているのだというような類いの議論はあんまり得意ではないので,純粋に日本国民にとってよりよい在り方を考えた結果が独立法人化なのだと理解したいと思っています。


しかし,現場はこれで大混乱したのは紛れもない事実であります。

当時を振り返れば,僕の業務量は破滅的に増えました。いろいろな問題が重なりましたし,過渡期なので仕方がないと言えば仕方がないのですが,残業時間はウナギ登りで増えました。ざっと月200時間は超えてました。3ヶ月でお休み1日しか取れず朝から夜中まで仕事づくしで,場合によっては1週間おうちに帰れないよーみたいなこともありました。


大丈夫です。
今はたぶんそんなことありません。労働基準法を遵守です。
基本的には公務員さんに準拠していると思いますし,人事院勧告の影響もモロに受けると思ってOKだと思います。
独立法人化されてあたかも予算が柔軟につかえるようになったわけでもありません。人員配置が自由になったということでもありません。
大枠では大して変わってないかもしれません。



さて,それではみなさんは国立大学職員の仕事と言えばどんなことを想像されるでしょうか。

大学なので
学務とか教務とかいった学生支援のお仕事が最初にイメージされやすいと思いますが,基本は会社と同じです。

総務や人事があって,経理があります。
情報部門があって,施設管理があります。
図書館や病院などの付属施設もあります。
最近では国際系の部署が多くの大学に備わっていると思います。

大学全体の統括をしたり,文部科学省との折衝をしたりすることもたくさんあります。新しく学部を創ったり,大学院を置いたりするようなことも大学職員さんたちが通常業務にプラスしてがんばっていたりします。

割といろんなことをしなくてはいけないんですね。




ちなみに,学部や大学や大学院を設置するには,大学設置審査というものすごく厳格な審査を受けて合格しなくてはいけません。

なので,無駄に大学が乱立しているということはありません。
どのような大学であっても,たとえばFランとかカンタンに言えるほど無駄な機関ではないということです。所属する先生方や職員さん,学生さん,そういうみなさん一人一人が誇りをもって,教育や研究,そしてその支援に勤しむ,そういうところなのです。



大学の収入は授業料や入学試験料でできていると思うかもしれませんが,そんなことはありません。

国立大学の場合,運営費交付金といって運営に必要なお金を国からもらっています。授業料や入学試験料だけで採算がとれるようなことは当分ありませんし,そういうことにエネルギーを注ぐ機関でもありません。


国立大学がお金稼ぎに一生懸命になっても良いことはあんまりないのではないでしょうか。私学と比べれば授業料は圧倒的に低く,とりわけ理系学部ではその開きは相当なものです。最近まで国立大学では「卒業証明書」とか「成績証明書」とか無料で発行していましたし,場合によっては学外での実習や演習なんかも参加費無料で対応してました。

その代わり(かどうかはわかりませんが),見た目派手にキレイな建物が建ったり,モダンな内装に衣替えしたり,みたいなことはあんまりありません。設備も古く,なかなかそういうところに予算があてがわれることはないんですね。


最近では,予算が毎年毎年削られていくので,人員削減や業務の徹底効率化が求められており,その意味でも大学改革は急務なのです。

もしも国立大学職員になりたいという希望をもっている方がいらっしゃるとすれば,ほのぼのした大学の学生窓口で,学生さんと談笑して過ごす午後の仕事場を想像するのはやめておいたほうがよいかもしれません。

国立大学病院を附属病院にもつ大学であれば,大学に就職したのになんでやねん病院の窓口勤務とか,外部に実習とか演習とかする機関がある大学だとそういうところに配置されたりして,学生どこにもおらへんやないかい,みたいな見当違いの大学職員生活になったり,そうでなくても経理部門や総務部門は一般企業と似たようなもんですから,大学職員のイメージからは離れてしまうかもしれません。


大学職員の矜恃は,日本の最先端教育と研究を間近で支援できることです。

社会が求める要求と,解決が求められる世界の諸問題をいかにして解決するかを本気で考えている現場に身を置き,そのお手伝いができることです。



30年後の日本を支える,いえ,日本をガンガン牽引していくであろう学生さんたちのイマココを支援し,立派な社会人や研究者になっていくその背中を眺めながら,自分もいっしょに伴走している気持ちをしっかりと持って,未来を見据えることができる仕事です。

もしかしたら現場に入れば,想像と異なる場面に何度も出くわすかもしれませんが,その大いなるビジョンはきっとあなたの心を躍らせてくれるでしょう。

問題はいくつもありますが,本質的には大学職員さんのお仕事はいずれにしても誇り高い,日本の未来を支える仕事なのです。


大学職員向けキャリア・カウンセリング

個人または法人のキャリア相談を受けています。
国立大学に長くいましたので,大学職員のみなさんのキャリアについてのご相談をぜひとも受けたいと思っています。
キャリアの相談というと,ちょっとなんかいろいろめんどくさそうですが,職場の悩みとか,不安。これからのキャリア形成への疑問,あるいは目標達成の支援など,自分自身の頭の中を整理するという意味でお気軽にご相談いただければと思います。

福利厚生の一環として,定期的にキャリア・カウンセリングを受けていただくことで,仕事に対するモチベーションの低下を防いだり,目標達成を促す1on1コーチのような役割も果たします。人事評価を含まないカウンセリングは,心身の健康を保つためにも有効です。


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キャリアデザイン事務所 MR.ART
所長 手島稜二/キャリアコンサルタント(国家資格)
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