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インタビューは人を救う|ライター塾を開きました

くらしの当事者たちが、「半径5キロの子育て」を考え、伝えていくメディア、コマロン。8月にスタートしてから1カ月がたちました。2日には、初めてのオンラインイベント「コマロン編集会議~ライター塾」を開きました。参加してくださった皆さま、ありがとうございました。

独り言が大きな気づきに

SNSやブログを使って、誰もが情報の発信者になれる時代になりました。主語の大きなニュースがある一方で、独り言のような足下からの発信が共感の輪を広げ、社会に大きな気づきを与えることが増えました。「わたしも書いてみたい」、そう考える人は少なくありません。

コマロンでは、そんな思いを持つ人のために今回のライター塾を企画しました。初めての試みにもかかわらず、全国から20人以上の男女が参加してくださいました。それぞれの自宅から、中には赤ちゃんを抱いたり、お子さんの相手をしたりしながら、つながることができました。

みつはた

「インタビューは人を救う」

今回は、授乳服メーカー「モーハウス」(茨城県つくば市)の代表、光畑由佳さんをゲストスピーカーにお迎えしました。コマロンに記事を書く毎日新聞の記者3人と共に、インタビューすること/されること、情報を発信することの意義、取材・執筆のコツ――、といったことを、参加者からの質疑応答を交えながら、共に考える2時間となりました。


「インタビューは、人を救うことができるかもしれません」。これは光畑さんが今回のライター塾の講演のなかでお話されたことばです。高校生のころのラジオ取材を皮切りに、これまでに1000回以上、取材を受けたという光畑さんは、「インタビュアーに話しを聞いてもらい、問いかけられることで、自分の考えが整理され、引き出され、次のステップを見いだすきっかけを得た」と話します。

そして、それは自己肯定感の高まりにもつながっていた、と。これから、誰かにインタビューして何かを発信したいと考える参加者にとってはもちろん、日ごろからインタビューを仕事とする記者にとっても、勇気と励ましにあふれた内容でした。

光畑さんにインタビュー

参加者に、インタビュアーになったつもりで光畑さんに質問を投げかける「実践」の時間も取り入れました。「困難に直面しながらも継続していくコツはなんですか?」「絶望的な壁にはばまれたときに光畑さんを支えたものについて教えてください」「ここまで20年以上、走り続けられるモチベーションについてお聞きしたいです」――と、講演の内容をさらに掘り下げるよい質問が続きました。

コマロンが大事にしているのは、子育てのなかでそれぞれが感じる小さな疑問や、気づき、喜び、悩み、そうした声をつないでいくことです。ここnoteにも、そうした原稿をこれからもたくさん、載せていきたいと思っています。

輪が広がっていく

どんなことならコマロンで書けるだろう、そんな問いかけにはいろいろな意見が返ってきました。小学生の娘を持つ女性は、母子ともに、柔軟剤や芳香剤の香りに対する過敏症に悩んでいると話してくれました。多くの人にとって何気ない香りが、ある人にとっては苦しみの原因になり得るということを知ってもらいたいと言っていました。

また、子育てサークルへの参加をためらった経験を持つ女性は、「どんな人が運営するサークルなのか分かれば入りやすいはず」と語り、サークル主催者へのインタビュー記事を提案してくれました。

レポート

光畑さんは、昨年開所したという子連れで来られるコ・ワーキングスペース(茨城県境町)からこのオンライン講座に参加をしてくれました。そのため、子どもたちが遊ぶ声や音がかすかに聞こえてくるなかで行われた、コマロンらしいイベントになりました。

参加者の中にはコマロンに記事を書いてみたいと手を挙げてくれた方もいました。こうして少しずつ、「インタビュー」「取材」をへて「書く」という体験の輪が広がっていけばいいなと思っています。

【書いた人】平林由梨。都内市部在住。小学校と幼稚園に通う2人の子どもがいます。毎日新聞東京本社の学芸部という部署で取材、記事の執筆をしています。食卓に出来合いのお惣菜を並べることに既に後ろめたさは感じませんが、それに伴うプラスチックゴミの増加は何とかしたいと思案中。長野県で育ちました。