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コロナ禍、久しぶりの美術館で盛大な肩透かしを食らう

今日は、コロナが世で騒がれ始めてから初めて、美術館に足を運んだ。鑑賞したのは、東京都美術館『The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション』展だ。

密を回避するため日時指定入場制となっていて、20分ごとに人数制限が設けられていた。チケット販売は展覧会特設ウェブサイトのみということで、昨日のうちにチケットを購入した。Twitterや友人からの情報で、今の時期は人数制限がかけられていることで人が少なく、快適に鑑賞できるチャンスだということだったので、今日の日を楽しみにしていた。そこに追い討ちをかけるように先月科博に行ったという友人が、「いい写真が撮れた」と、人が一人も映っていない写真を見せてくれたものだから、期待も大いに膨らんだ。

ところが、行ってみたら大したことがなかった。建物の入り口から企画展への入場口までは、ソーシャルディスタンスを保つように声がかけられたり、入館者へのアルコール消毒を徹底するなどして、かなりしっかりと対策がされている印象だったのだが、展示室に足を踏み入れたらそこは以前とさして変わらない光景が広がっていた。

確かに、土日祝日の混む時間帯に比べたら人はかなり少なかったが、鑑賞者がソーシャルディスタンスを保てるほど空いてもいなかった。スタッフの方はいたものの、距離が詰まりすぎていてもソーシャルディスタンスをとるように言われることはなく、鑑賞ラインを超えたお客さんがいた時だけ声をかけてくる感じだった。

作品の展示方法なども平常時の展示と変わらず、音声ガイドがある展示に人が集中し、1つの作品に4,5人がかぶりついてみているような場面もあった。
なんと、展示室は通常運転だった。

美術館によく足を運ぶ人ならわかってくれると思うが、人気の展示をじっくりみたい時は、前の人と距離を詰めて並ばないと、どんどん後ろから来た人に追い越されて永遠にじっくり鑑賞できないのではないかという強迫観念めいたものがある。そのせいで、ソーシャルディスタンスを保ちながら鑑賞したくても、それがなかなか難しいのだ。

コロナ対策でソーシャルディスタンスを保った鑑賞を期待するなら、展示方法や人数制限、展示室のスタッフの立ち回りを工夫しないと、鑑賞者はソーシャルディスタンスを保ちにくいと思う。どういう工夫かと問われてもいい案は一つも浮かんでこないのだが、事実として、ソーシャルディスタンスを保ちにくいシステムになっていることは確かだ。

このままでも特に問題がないのならそのままで別にいいのだけど、あまりに期待を膨らませすぎたせいで、肩透かしを食らった気分になった。自分が悪いのだけど。

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口うるさいことばかり書いていても読み返すのが嫌になるので、企画展の感想も記録しておく。

展示は、思っていた3倍の量があり盛り沢山だった。有名どころを多く展示し、大まかな浮世絵の歴史を辿りながら網羅的に紹介されていて、浮世絵の入門書のような感じで浮世絵初心者でもかなり楽しめる内容だった。

神奈川沖浪裏をはじめとする北斎の『富嶽三十六景』や、東洲斎写楽、歌川国芳など、教科書でみたことのある絵師の作品が一度に見ることができて、かなり贅沢な時間を過ごせた。図録も購入してしまった。

図録をみたら、私の好きな、国芳の『近江の国の勇婦於兼』が載っていた。後期に展示されるのだろうか?だとしたら後期も見に行きたいと思う。

大切なお時間を使って読んでくださり、本当にありがとうございます! 気に入っていただけましたら、サポートをいただけるととても嬉しいです。これまでにいただいたサポートが、私のモチベーションとなっています。