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「百八円の恋」、染みすぎる。

私は歌を歌うことが好きだ。特にうまくはないのだけど、小さな頃から歌うのが好きな子供だったらしい。物心つく前から水戸黄門のテーマを歌い、近所のおばあちゃんたちにチヤホヤされていたと聞いている。

大学時代にはアカペラサークルに所属していたし、よく一人でカラオケに行っていたから、大学生までは日常的によく歌を歌っていた。でも最近は、感染症の影響でカラオケに行くことができず、全然歌を歌う機会がなかった。

そう思ったら歌いたい欲がむくむくと湧き上がってきてしまって、今日は仕事をしながらいろんな歌を口遊んでいた。

口遊んでいた曲の中に、クリープハイプ「百八円の恋」がある。

私は、映画「百円の恋」でこの曲を知った。映画にぴったりハマっていて、めちゃくちゃかっこいいなと思った。

まず、曲のイントロの歌詞がすごい。

もうすぐこの映画も終わる こんなあたしの事は忘れてね
これから始まる毎日は 映画になんかならなくても普通の毎日で良いから

まさに映画のために作られた曲なんだなと思ったし、主人公の一子そのものだなと思った。

それに、歌詞がすごく当時の自分に染みた。大学生の頃、頑張っても頑張ってもから回ってばかりだった。刺激的な日々なんて求めないから、みんなと同じく普通に生きたいと、強く願っていた。

もう見ての通り立ってるだけでやっとで
思い通りにならない事ばかりで
ぼやけた視界に微かに見えるのは
取って付けたみたいなやっと見つけた居場所

24年間ずっと、思い通りにならないことばかりで、ずっともどかしさと焦りを感じていた。「普通になりたい」と、何度も何度も願った。

でも、今は不思議と、そんな風に思うことはなくなった。確かに思い通りにいかないことばかりだけど、普通になりたいとは思わない。今のままをそのまま受け入れたいと思うようになった。

今では、こっちの歌詞のほうに惹かれる。

終わったのは始まったから
負けたのは戦ってたから
別れたのは出会えたから
ってわかってるけど
涙なんて邪魔になるだけで
大事な物が見えなくなるから
要らないのに出てくるから
余計に悲しくなる

負けたのは戦ってたからなのだ。結果として破れてしまっただけで、ちゃんと立ち向かおうとしていたから、負けることができるのだ。

会社に行けなくなってしまったことは、確かに負けかもしれない。理由はどうあれ、逃げてしまったことには変わりないのだから。でもそれは、立ち向かっていたことの証でもあるのだ。

感染症が落ち着いたら、口遊むだけじゃなくて、カラオケでお腹から声を出して思いっきり歌いたい。絶対気持ちいいだろうな。

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