見出し画像

〈キャリア〉汎用性ってなんだ

さて転職活動も佳境を迎え、ポストコンサルキャリアを見据えた活動も結果待ちになりました。
しばらくnoteの投稿ができていませんでしたが、アウトプットも少しずつ再開していきます。
コロナの状況で、食うに困らない汎用的なスキルを身に着けることが重要だねといったコメントをYahooニュースで大量に見たので、自分なりの考察を述べてみようと思います。

はじめに

私はコンサルタントとして社会人のキャリアをはじめ、だいたい3年半たちました。新人時代の話は以下からどうぞ。

世間的にはコンサルタントは、その後どのような業界にいっても活躍しやすい汎用性の高いキャリアと思われていることが多いです。昨今の東大生もキャリアに悩んだなら、まずコンサルという人も結構いるらしいです。

コンサルに行けば、とりあえずその後の転職に有利だろうと思われるかもしれませんが、それも一部の戦略コンサルのみだと転職活動を通じて気づきました。○○特化のコンサルなら、○○に特化して、恐らく業界を渡り歩いていけるでしょう。ただ、汎用的なスキルを持ったビジネスマンなんて、一流企業の数以上にいるのです。”大人たち”のいう汎用さってなんだろうなって今一度考えてみました。

進路に係る汎用性の話 文系/理系

高校生のときクラスが文系/理系に分かれたときを覚えてらっしゃいますか。

そのときどのようにクラスを決めましたか。

理系への進路を取った友人たちの中には、
「向いてなくても、文系学部を受験できるから、理系のほうが汎用性高い」といったことを言っている人がいたのを覚えています。

彼らの当時の言い分は、選んだ進路が得意なものじゃなくても、後から進路変更ができるのが理系(数理科目の優位性、学習科目の多さ 等)といったものでした。理系学生は、総じて数理系科目にはめっぽう強いので、数理系科目が得意ではない人が多い(もしくは深くまで学ばない)文系学生に対してはアドバンテージがあります。

まぁ納得です。

一方で、彼らは数理系科目傾倒の学習態勢となるので、文系科目へ割く時間は少なくなります。全体の学習科目は文系以上に多い彼らですが、数理系科目へのウェイトが多いので、汎用性は保たれつつも文系科目への専門性は確実に失われていきます。いわゆる、トレードオフというやつです。

では、汎用性と思っていた理系学生の諸君が受験期になり、数理系科目は得意だけど好きじゃない、やはり大学は文系学部で少し数字を触れるところにしようと決めたとします。そう、文系への転身ですね。

では元・理系組の彼らが受験で勝負する土俵は何か、それは文系科目になります。なぜなら経営・経済・商学部といった数字に触れる部署は総じて、数字に強い学生が集まる傾向があります。となると、元・理系組の学生はアドバンテージのある数理系科目では差がつけられません。そうすると、土俵は自ずと文系科目になってきます。

汎用性が高いと思っていた理系学生諸君が文系進路へと方向を変えた場合、戦う土俵は、専門外の文系科目となるわけです。

専門分野での戦いから逃げれば、逃げるほど、自分の苦手な土俵で最後の勝敗が決するのです。

汎用性とは戦える分野が広い分、内容が薄くなりがちになります。
汎用性で人と戦うのはそれなりに危険が伴うのです。

進路に係る汎用性の話 学部選びの話から就活まで

私が高校三年生当時、担任と進路相談をしました。

担任 「コンス、お前は何になりたいんだ」

コンス「わかりません。とりあえず就職しやすい学部がいいです」

担任 「じゃあ、○○大学の経済学部を目指せ。何にでもなれるぞ」

とまぁこんなやりとりをしたことを覚えています。
やがて10年前になりますが、色々嫌な思いもしたので、鮮明に思いだせる場面ですね。

冷静に考えれば、教師にしかなったことのない大人が、学生にこの学部に行けば何にでもなれる(=汎用性が高い)というのは無責任極まりないです。

日本では、大学の学部と就職先の業種が全く異なっても何もおかしいことはありませんし、就職のし易さに大きな影響もありません。
一方で、海外では学部と就職先の業種がマッチしていることが大前提です。なぜなら、専門家として、プロとして、学生を雇うためです。

ありがたいことに日本では育成の文化があり、異動や転勤を通して、キャリアを育んでいくという考えが未だに根強く残っています。
といった意味では、どこの学部に進学しようが、就職での不利はあまりないのです。突破しないといけないのは、大学名(学歴)フィルターでしかありません。

さて、汎用的な学部に入学した学生たちは、何で苦労するか。
就職活動、そしてその後の転職です。

もし、高校生の時点でやりたいことが明確にあるならば、かならずその専門性が身につく学部に進学すべきです。

弁護士になりたいのであれば、法学部
医者になりたいのであれば、医学部

といった具合です。

もし特段進路への希望がわからないといった場合には将来の欲しい年収について考えてみることも一つの手です。

銀行員になって世界・日本の経済を見たい、そして高い給料が欲しいというのであれば、経済学部を選んでみる
会計事務所に勤め、パートナーになって何千万も稼ぎたいという人は、商学部(会計系)を選んでみる

といった理由であれば、結果的に自分が本当にその専門家になりたいのか、明確に働く前に理解することができます。

前述の通り、日本では学部と業種の関連性は薄いので、なりたくないものがわかれば、新卒の就活時に自分の専門性を変えることができます。

これだけでも汎用性だけでなく、自分でしっかりと進路を探したメリットにもなるはずです。

汎用性が高いから、○○学部

”市場価値”が高いから、○○株式会社の総合職

と汎用性や何の根拠もない”価値”に捉われた根無し草のキャリアであれば、真に自分がやりたいこと自体を見つけることも難しいと思っています。

ましてや、自分のやりたいこと・企業をようやく見つけたとき、そこに刺さる武器を身につけられていると思いますか。

そういった意味で汎用性に頼りすぎるのは非常に危険だと思っています。

コンサルキャリアの汎用性

さて、では世間が思うようにコンサルキャリアは汎用的なのでしょうか。

自分が転職活動をした経験からいうと、Yes 3割、No 7割である。

私はいわゆる業務コンサルであり、特定の業界やソリューションについて薄く知っているタレントである。戦略コンサルとして、企業の将来像を描くなんて仕事はしていない。

業務コンサルの特徴とは、

・ジュニアであれば常に自分の年齢の2周り以上のキャリア15年選手を相手にしている(ときには経営層)
・泥臭くお客さんオフィスに居座り、時にはフロアを走り回ってお客さんと喧々諤々と議論を交わす
・O365(パワポ、エクセル)が人より少し早く使える
・人に出しても恥ずかしくない資料が作れる

といったくらいでしょう。

私に限れば、ビジネスモデルの具体的な立案もしなければ、ものすごく細かい分析もしない。中期経営計画や成長戦略も描いていないです(コストとかリスク削減の話や経営報告資料の作成経験はあり)

コンサルタントとしては、それなりにお客さんに喜んでもらえるだけの仕事をしてきたが、いざ転職!といったときに、企業の募集要項にマッチするスキルなんてほぼないことに絶望しました。

自分自身のスキルセットを洗い出したとき、これといって武器も見当たらないのです(人並みレベルに英語とベテラン選手への対人能力があるくらい)

まさにコンサルであれば、どこのプロジェクトに行っても戦える”汎用的な”コンサルタントであると同時に、自分のキラーカードや得意分野を一切持たない人材であると気づき、世間ずれというか、将来への一抹の不安を覚えました。

自分という人材が応募した企業の7割からは、いらないと言わたのですから。

戦略も描けない、システム開発もできない、分析もできない、特定業界の専門知識もない若手に何ができるのでしょうか。
雇い主側からすれば、それならもう少し経験のあるシニアを雇えばよいですし、コンサルキャリアの人材を雇う必然性はそもそも事業会社では薄いのです。

では、汎用性が3割あったと言えるのはなぜか。

若手ながら、クライアントと膝を突き合わせ、上司のハードな要求にこたえ、一定のスピード感と自立性をもって仕事を進めることは、どの企業からでも評価してもらえたからです。

良くも悪くも、コンサルキャリアでは年収が若手のうちから、それなりに高いです。年収の高さは市場価値とほぼ同等なので、年収が高い=それなりのポジション、キャリアを築いてきたとも解釈してくれるのです。

コンサルになれば、どんなキャリアでも描けると思っていた学生時代の自分の甘さを叱ってやりたいです。

一方で、コンサルファームの中でも、事業会社に20年勤める人材以上に業界やソリューションに詳しいスペシャリストも多くおり、そのような方の市場価値は非常に高いと思われます。

但し、今後コンサルファームのフレームワークや知見は陳腐化するものも多いでしょうし、今のジュニア世代がコンサルファームでのスペシャリスト人材になり、この先20年生き延びていけるかは少し疑問に思っています。
(これが私が転職活動を始めた理由でもあるのですが)

終わりに

完全に思いつきで汎用性について語ってみました。
転職活動の結果も含め、まとめnoteを書くようにします。
1記事2000字あれば十分なのに、書きすぎてしまった、、、

サポートいただきありがとうございます!フォローもぜひ!