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読書メモ|『私の顔は誰も知らない』

今回はインベカヲリ★さんの『私の顔は誰も知らない』。お気に入りの本屋さんで見つけて即買い。

この本は、インベさんがさまざまな女性たちから聞いた彼女たち自身の話やインベさん自身のエッセイがまとまったものですが、その共通項が「みんな社会にうまく適応しているように見えているが、実際はそうではない」というギャップや葛藤を抱えているということ。

いろんな女性が登場するんですが、
「本当の自分がわからない」
「自己イメージと他者からのイメージの乖離への違和感がある」
「トラウマとかないけど自分の中で自分に対する制約ができちゃっている」
「『こうありたい』ってものを持ってる人を見ると共感するし面白いけど、自分はそうなれないと思って心がザワザワして複雑な心境になる。怖い。」
とか、わかるな〜という話が結構多くて、さまざまなモヤモヤや葛藤を抱えつつ”普通の人”らしく生きている人はたくさんいるんだなと思った。

というか、これだけ生きづらさを抱える人が多い社会での”普通”って何なんだろう。”普通”なんて幻想でしかないなんて頭で思っていても囚われ続けちゃうし、”普通”だとなんだかんだ安心しちゃったりするもんなんだよな…


そして1番印象に残っているのは、

他人には全部見透かされていると思え、と自分に言い聞かせた。どんな相手でも、初対面で会ったその瞬間、自分のコンプレックスも、頭の悪さも、育った環境も、親の顔も全部見られている、人間にはそれくらいの洞察力がある、と思うことにした。そうすると、人前で格好つけたり頭のいいふりをすることが恥ずかしくなる。その場に相応しい自分を演じて、それっぽく振る舞ったところで滑稽でしかない。

『私の顔は誰も知らない』p.104-105

というところ。
自分がこう見られたいとか場違いにならないようにとか、色々考えて武装しがちですが、むしろその気持ちを見透かされている方が恥ずかしい、というのはすごくわかる。
周りを見て振る舞いを変えることは多少は必要ですが、過剰適応してしまうとか見栄を張ってしまうとか素直になりたいとか、そういうのには有効な考え方かも。そういう時って意外と内に内に、自分に自分にと意識が向いちゃってる気がして、それを外に開いていくことが必要だと思うんだけど、「どうせ見透かされている」と開き直れてしまえばそこってクリアできるのかもしれない…なんて思ったりもしました。




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