中国のサイバーセキュリティ事情 - 企業紹介(5)
今回も前回に続き、2021年中国サイバーセキュリティ年会にスポンサーとして参加していた企業で、まだこちらで紹介していない企業を取り上げたいと思います。
中国電信、阿里云(アリババクラウド)、360政企安全も紹介してはいませんが、これらは有名な会社でもあり、日本語で紹介しているサイトもそこそこあるので、その他残りの4社を紹介したいと思います。
〇 恒安嘉新 (正式名称:恒安嘉新(北京)科技股份公司、英文名称: EVERSEC )
同社の設立は2008年で、本社は北京に構えています。
モバイル端末向けの悪意あるプログラムからの防御製品や、通信データの収集、分析ツール、脅威感知・応急処置プラットフォームなどを提供しているほか、通信ネットワークの最適化を図る製品なども提供しており、5G(向け)サイバーセキュリティフレームワークというソリューションの提供も行っています。
同社は特許取得にも熱心なようで、すでに221件の申請を行い、2021年3月末までに22件の特許が認められているようです。
同社の紹介動画もありました。
〇 安恒信息 (正式名称:杭州安恒信息技术股份有限公司、英文名称: DAS-SECURITY)
同社の設立は2007年で、本社は杭州に構えています。2019年に、中国版ナスダックと言われている「創業板」に上場しているようです。
同社は「中国の安全に助力し、デジタル経済の推進に助力する(中国語原文: 助力安全中国,助推数字经济)」をミッションに、クラウドセキュリティ、ビッグデータセキュリティ、IoTセキュリティなどの製品やサービスを提供するとともに、スマートシティ向けのセキュリティソリューションの提供なども行っています。
同社は北京オリンピック、広州アジア大会、G20杭州サミットなどにセキュリティベンダーとして参画もしていたのと、「海特(ハードウェア/ファームウェアセキュリティ)」、「猎影(APT攻撃関連)」、「卫兵(=衛兵、Web/モバイルセキュリティ)」の3つの実験室(=研究所)を持っているようです。
同社も会社紹介の動画を用意していました。
〇 亚信安全(正式名称:亚信安全科技股份有限公司)
同社の設立は 2014年11月で、本社は南京に構えています。
同社は認証/データ/エンドポイント/クラウド及びエッジのセキュリティ製品、サービスを提供しており、予測、防護、検査、対応に対応する全体的なプラットフォームを提供しています。
顧客は通信キャリア、金融、政府、製造業、医療、エネルギー、交通系などで、中国の両会や一帯一路トップフォーラム、G20サミットなどにもセキュリティベンダーとして参画しているそうです。
また、同社は「産・学・官」ならぬ「産・学・研(=研究機関)」の連携推進も積極的に行っているようです。
〇 长安通信 (正式名称:长安通信科技有限责任公司、英文名称: Changan Communication Technology Co., LTD)
同社の設立は2002年で、本社は北京市に構えています。
同社は中共中央サイバーセキュリティと情報化委員会が管理する「国家コンピュータネットワークと情報セキュリティ管理センター(中国語原文:国家计算机网络与信息安全管理中心)」から全額出資を受けている、いわゆる国有に分類される企業です。
同社は、情報セキュリティ、サイバーセキュリティ、インターネット通信の各製品やサービスを提供していますが、サイバーセキュリティにおいては、脅威検知システム、DDoS攻撃防御システム、セキュリティテスト評価サービス、クラウド可視化セキュリティ運用サービスなどを提供しています。
同社は専用ページを用意し、「技術が会社の基本的な競争力。研究開発能力を備えた人材こそ会社の競争力の源である」と明記するなど、人材とトレーニングに重点をおいているようですが、新人教育なども積極的に行っているようです。
さて、今回は4社ほど紹介させていただきましたが、ここで中国ネタは小休止し、次回(8/2公開予定)はシンガポールのサイバーセキュリティ事情についてお届けしたいと思います。
※中国を中心としたSDGsや再生可能エネルギーについて綴っている姉妹ブログの方もぜひ!